「ちょっと、奏。じゃーま!ホットケーキミックス置けないだろ?目なんか瞑っちゃってどしたの、奏?」
その声にパッと目を開けると、そこにはニヤニヤとした笑みを浮かべてる琉夏くんがいた。
やられた…!
「酷いよ、琉夏くん!」
「何が酷いの?俺は新婚さんらしく、新米奥さんと一緒に片づけをしようって言ったんだよ。」
琉夏くんの罠に引っ掛かったことと、その言葉に言い返せないことが悔しい。
もう、なんでこの人こんなに余裕があるの…?
「ううう…。もういい!私、お風呂に入ってくるから、適当に片しといて!あ、今度は絶対に覗きに来ないでよ!」
「なあ奏、それって…?」
「フリじゃないから!」
それだけ言い捨てて、着替えを取りに部屋に向かった。
面白いなーなんて言ってる呑気な琉夏くんの声が聞こえてきて本当に悔しい。
年下の琉夏くんの翻弄されて、無駄にドキドキさせられて今にも頭と心がパンクしそう…。
早くお風呂に入って落ち着かなきゃ。
着替えを選んだあと、一度だけ深呼吸をして風呂場へと向かった。