long story-trip- | ナノ




ずらっと並ぶ券売機を目にして、やっと今日のスタートラインに立てた気がした。
なんだか…ここまで長い時間旅をしてきた気がする。
よし、本番はここから!
そう呟いて、チケットを買って琉夏くんに手渡す。
4時からチケットで安くなったし、そんなにお客さんもたくさんいるわけじゃないから結構ゆっくり見れるし、得した気分になる。
入口から見える青の世界にだんだんと心が躍るのが分かった。

「琉夏くん、行こう!」

「なんだか急に元気になったね、奏。」

「うん。久しぶりだからなんだか嬉しくなっちゃって。早く行こ。」

駅の改札口のような機械にチケットを通し、中に入る。
最初に出迎えてくれるのは、実際にヒトデやナマコを触れるタッチプールと呼ばれる水槽。


「へえー面白い。こういう体験スペースもあるんだね。ほら、奏。ナマコに触ってみたら?」

「なんでナマコをチョイスするのよ。ヒトデだって他の魚もいるのにさあ。怖いからイヤです。丁重にお断りいたします。」

なんてことを言いながら、一通りタッチプールで遊んだらいよいよ本番。

通路の向こうまで続く水槽。
自然の光が差し込んで実際に海の中を泳いでいる気分になる。
沖縄に住んでると、周りに海があることが当たり前になってるから気づかないけど、海の青ってやっぱりホッとするなあ。

「奏、ちょっと待って。デジカメ持ってる?記念に写真撮ろう?」

「デジカメ…持ってたかなあ?」

そう言ってがさごそバッグを探る。
多分、前に使って入れっぱなしにしてたからあると思うけど…。

「あ、あったよ琉夏くん。じゃ、水槽の前に立って!撮ってあげる。」

「…奏。それ本気で言ってんの?それともボケ?突っ込んでいいのか分からないんだけど。一緒に撮ろうって言ってんの。」
         
              

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