0時。それは日付が変わる瞬間。そして、わたしが待ちに待った瞬間でもある。

***

プルルル…と発信音が体の中にまで鳴り響く。この時間だけは、見たい番組も聴きたいラジオも、みんなそっちのけ。はやくはやく。なかなか電話に出ない沖田が、とてもじれったくて。変にソワソワしてきてしまった。


プルルル…ピッ

《…悪ィ。気付きやせんでした》
全く悪びれた様子がない彼を想像して、クスクスと小さく笑う。心配して損しちゃった。

『ううん、大丈夫。仕事だったんだもの。仕方ないよ』

お疲れ様、と伝えれば、さんきゅ、と返ってきた。こんな日まで仕事なんて、やっぱり公務員って厳しいんだね。

『それでね、あの…』
《?どうかしやした》
『あの、えっとね……た、誕生日…おめでとう…!』

言った!言えた!なんとこれを言うために今朝からずっと練習をしていたのだ。
無事に伝えることが出来て、ほっと胸を撫で下ろす。ここに沖田がいなくてよかった。こんな真っ赤な顔、絶対に彼に見せられないもの。

《…窓の外、見てくだせェ》

思いもよらない返事に少し呆気にとられつつ、言われた通りにカーテンを開く。今宵は満月のようだ。月明かりが強く、夜だというのに、夜ではないみたい。

ふと視線を下に下ろせば、先ほど、否、今現在電話をしているはずの沖田の姿が。携帯を耳に押しあて、こちらへ片手を上げる。と、同時にわたしは羽織を掴んですぐさま家から飛び出した。

『そ、総悟くん!?どうしてここに…』

すると沖田は、あー、と言って頭を掻きながら視線を違う方向へと向けだした。その行動にますます分からなくなる。いつもならハッキリと物申す彼が、なぜこんなにも言葉を濁らせているのか。

「アレでィ……誕生日くれェ、好きな女と過ごしたかったんでさァ」

その言葉に、今度はわたしが何も言えなくなる番になった。さっきよりもずっと顔が、手が、足が、体中すべてが火照りだす。羽織なんて必要ないくらいに。

『……』
「…さすがに夜中は迷惑だと思ったんですけどねィ」
『っ、そんな!こと…ないよ!』

恥ずかしさやら照れやらで何を言えばいいのか、頭の中はショート寸前である。とりあえず言わなきゃ。でも、何を?

そう混乱してはいるものの、やっぱり一番は嬉しくて。会いに来てくれたこともだけど、彼の一言で動揺してしまう程こんなにも嬉しいんだ。


『わたしも…総悟くんの誕生日に、一番にあなたに会えて幸せ』

愛おしそうにわたしを見つめる彼が、月明かりに照らされて、ひどく妖艶に見えた。それにわたしは、少なからず酔いしれてしまったようだ。



『誕生日、おめでとう……ずっと好きよ』



背伸びをして、珍しくわたしからキスをした。










(当たり前でさァ、)
(そう言って彼はわたしを抱き寄せた)







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総悟おめでとう!
私こそ好きだよ!愛してるよ!!←

でも久々だからか、とってもカス文になってしまった…(泣)



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