"自分の人生は自分が主役"?そんなの、只の綺麗事にしか聞こえないわ。理由は単純。私が"主役"になった事なんて一度だって無いからよ。








今日からスター!





幼稚園児の頃から劇はナレーターか裏方、良くて脇役だった。なにもそれだけじゃなく、私生活においてもそう。

恋愛小説に例えるならば、いつも恋に悩む乙女の相談に乗る友人役。中一以来そのポジションから昇格できた事は未だかつて無い。

初めは『くっつくといいな〜』とか、『羨ましいな〜』で済んだ。だがそんな主人公の友人役を演じ(?)続けて六年目。さすがの私も悲しくなってくるワケで。

好きな人くらい欲しいな〜と密かに願っている今日この頃。



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「名前聞いてぇーっ!また彼氏が女子に告白されてて…」

放課後、とあるファーストフード店に入り、親友であるみーちゃんの相談に乗る事が日課のようになっていた。

みーちゃんの彼氏はそれはそれはモテるそうで、いつも目を腫らせながら愚痴を吐いている。

『はいはい。今度はどした?』

ジュースのストローを弄りながらポテトを摘んで口に運ぶ。慣れ過ぎて、最近じゃ『まさか嫌味?』とも思うようになった。

そんなんだから、いつまで経っても好きな人すら出来ないんだ。……経ち過ぎじゃね?もう十分待ったよね、アレ、なんか涙出てきた。

「!!名前…泣く程私の事に真剣になってくれてるんだね……!!」

私の醜い心境に気付く筈も無く、「さすが親友…!」と言って感無量に浸る親友。


「ごめんね、いっつも私の話ばっかり…」

『いいのいいの。親友じゃん。私、応援してるからさ!』

「名前…ありがとう!じゃあ、またね!」

『うん。ばいばい!』

小さな事で泣いて悩んで喜んで。可愛いなぁ、と思わず笑みが零れた。





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翌日は雨という事もあり、バスの中はいつも以上に混んでいた。ぎゅうぎゅうに詰められて苦しいったらありゃしない。

『(今日の体育は中止かな…ラッキー)…………っ!?』

突然手のようなモノが私のお、お、お尻に触れた。それから次第に撫で回されていく。

私も痴漢に合う程魅力あるのか……じゃなくて!脇役人生を歩んできた私には勿論、痴漢というのは初めてで。どうしていいか分からず、只ギュッと目を瞑り、鞄を抱くように持った。


――グイッ

『!?え、あ……わわっ』

突然誰かに腕を引っ張られ、向かった先は何故か出口。そのまま降りようとしたので慌ててICカードをタッチする。


訳が分からないままバス停に降りて、顔を上げた。

『あ、あの…どうし………』

あらやだ、凄くイケメン。思わず息を呑む程の美貌な学ラン高校生で。まさか私を連れ出したのは…この方!?


「…大丈夫でしたかィ」

ん?何の事?キョトンと首を傾げれば、男の子は「あー」と頭を掻いて目を逸らした。

「アレでさァ…痴漢」

『!ああ、そういえば…』


まさか、まさかまさかまさか!!私を助けてくれたの!?

そう認識すれば急に火照り出す顔。ホラ、あれだ。初めて男子にこんな事されたから驚いてるんだ。


小さな声で『ありがとう…大丈夫です』と言えば、彼は良かった、と言って綺麗な顔でふにゃりと笑った。


―どきん




そろそろ脇役は卒業かも知れない。







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なんだこれ/(^q^)\
沖田さんちょこっとしか出てないww





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