「誰からだろ……めずらし、樹からじゃん」
「茉由ちゃーん、入学初日から遅れるのはマズいんじゃない?早く行きなさいよー」
「やば、忘れてた。行ってきまーす!」
私は玄関を元気よく開け、花の高校生になろうとしてた。学校の偏差値はまぁなんて言うか……とても低い。
けれど、制服は可愛いので毎年人気の高校なのだ。私も制服が可愛いからという理由で入ったから何も言えないんだけれど。
後からお母さんと合流することにして、自分だけ先に高校へ向かった。
やっぱり制服がオシャレ、かつ偏差値はそんなに高くない学校なのでお化粧が派手な人、着こなしが個性的な人がたくさんいた。
私はこれからの高校生活に心を弾ませて校門をくぐった。
「えーこれから新入生のみなさんには…」
校長の話の時に眠くなりあくびし始めた隣の男子。すっごく退屈そう。しかも緊張して途中でトイレって抜け出したのは笑ってしまった。
私の隣は優しそうな肌が白くて綺麗な女の子だった。私は友達作れるチャンスだと思って声をかける。
「私、音無茉由。しばらくよろしくね!」
「神永翼です、よろしくお願いします…」
「同い年なんだからタメ口でいいよ」
そういうと翼はでも…とモジモジし始めたので、好きに呼んでいいよと笑った。
一応周りの男子にも挨拶をして翼を含めてみんなで連絡先を交換した。翼は緊張がほぐれたようで少し笑顔になっていた。
これから友達たくさん作るぞ!まずは部活入って、SNSでもみんなフォローしたりして……この時の私はウキウキしていた。
「そう言えば知ってるか?神原の奴」
「何、結衣がどうしたの」
授業中に前の席の男子が話しかけてきた。どうやら誰かに話したくてうずうずしてたようだ。
「何よ、早く言いなさいよ」
「あいつ、読モ?とか言うの始めたらしいぞ」
神原結衣。顔は可愛いし、ちゃんと毎日化粧したりブランドものの話を女子としていてザ・女の子の結衣が読モに選ばれたらしい。
そりゃあの顔で、化粧がうまければスカウトの1つや2つはあるでしょ。
「けどな、同中の奴いわく性格はめちゃくちゃブスらしいぞ。人を下げて自分が上じゃないと嫌らしい。男子にチヤホヤされたいだけらしいし」
私は興味がなかったので、適当に話を流して授業を聞いていた。
だったらあんまり結衣を怒らせなければいいだけの話じゃん。
話はついていけるか分からないけど、そこまで悪い人じゃないでしょ。この時の私は彼女の本性を知らなかった。