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靴紐を結んでいると地面に影が差した。テヒョニヒョンかと思って振り返ったら、ユンギヒョン。

「どっか行くの」

「はい、Vヒョンと二人で夜ご飯食べに行きます。ヒョンも来ますか?」

「俺はいい」

そう言うと部屋に戻って行く。玄関まで何しに来たんだろう。入れ替わりでテヒョニヒョンがやってきたので、ジョングク達は宿舎を出ていった。

最初は付き合えないって思った。俺とじゃ幸せにしてやれないって。手に入らないと決めつけて、ただ隠した。それが振り向かれて、些細なきっかけで手に入ってしまった。いざ、付き合うと欲が出た。自分以外との幸せをあんなに願っていた相手に、俺以外との幸せを望まなくなってしまった。独占したい。こんな気持ちを抱えるようになったのを知られたくない。困らせるだけだ。俺と二人きりじゃない時間を作るな、なんて現実的に不可能。ジョングクといると、どんどん自分がおかしくなってしまう。淡白な方だったのに、そういう事をしている時間は俺だけを見てくれるからと夢中になった。夢の中でさえ二人でいる時を見て。頭の中ではこんな事ばかり考えてるんだ。言えるわけないけど。

ところかわってジョングクは自分が食べ終わったから、デザート食べてるヒョンに許可をとって退席中。出かけた時のヒョンの様子が変だったから心配で、もうすぐ帰るから部屋で待っていて欲しいと伝えるだけのつもりだ。人気のない端の方に行って通話ボタンを押す。随分長い時間出なくて寝ちゃったのかな、と思ったら通話口からユンギヒョンの声が聞こえた。

「……っ、何」

苦しそうな声だ。具合悪そう。

「熱あるんですか?風邪?」

「んっ、平気……」

ユンギヒョンの吐息がやたら通話口にぶわっとかかる。全然平気じゃなさそうだった。

「すぐ帰りますから!本当に大丈夫ですか?」

息が響いてしまって向こう側の声が何を言っているか聞こえづらい。耳を押し付けてみるとくちゅくちゅと水音みたいな音が少しする。

「はぁっ……ん、テヒョンアは?」

「Vヒョンもすぐに一緒に帰れますけど……あの、何かその、一人でしてます?」

向こう側で小さく喘ぐ声が聞こえた。体調が悪い声っていうよりかはもっと、なんていうか。俺と二人きりの時に出す声みたいな。

「してなっ、してないっ……んぁっ……」

やけに強く否定されるけどもう音量をあげてしまったから、ユンギヒョンが自分で擦る音とか時々内側に入れてるような音まで全部拾ってしまっていた。

「……っ、は……んっ……ぁ……」

「何もしてないならVヒョンと電話替わりますね」

もちろんテヒョニヒョンはこの場にいないから嘘だけど。電話口から焦ったようにいやだとうわごとのように繰り返される。慌ててるユンギヒョン、可愛い。

「いやだ、嘘だから、だめ……ジョングガの事考えてたから……っ……俺の声聞いていいのグガだけ……他の人やだ」

手を止めたからか、声が明瞭に発音される。必死なのが伝わってきてもう愛おしさでどうにかなりそう。すぐ帰るって伝えてから食べ終わったテヒョニヒョンを連れて宿舎に戻った。

ガチャと音が聞こえて向こうから足音が近づいてくる。本当にすぐに帰ってきてくれた。俺の我が儘に付き合わせてしまうのが心苦しくてたまらないのに、嬉しくて仕方がない。本当は最中に電話なんてとる気がなくて恥ずかしさもあって悩んだ。けどテヒョンアといるはずでも俺の事を一瞬でも考えてくれてんのに、電話に出ないわけにいかなかった。俺の声、聞いたら反応してくれるかな、ってちょっと期待もして。電話の声が心配する調子から上擦った声に変わって、ますます手が止められなくなって。気づかれてるのに何もしてないって恥ずかしさで否定したらテヒョンアに聞かせるなんて言うジョングクの言葉でようやく手が止まった。お前じゃなきゃ、やだ。

「ただいま、ユンギヒョン」

「待ってられなくて、ごめ……んっ」

ぎゅうって抱きつくと頭を撫でられてキスをした。あんなに待ち焦がれたジョングク。そのまま性急に押し倒される。俺があんな風に急かしたから合わせてくれてるんだなって思う。いつも俺に合わせてばっかりで何もしてやれてない。

「いつも……っ……ごめん……はぁっ」

「謝ることないです、僕は嬉しいですから」

本当にいいやつ。さっきまで自分でいじってた胸元に舌を這わされる。くすぐったいけど気持ち良くって、俺の好きなとこばっか。

「俺の事考えてた?こんなになってるの、可愛い」

ちゅうちゅう吸われて舌先で転がされて奉仕してばっかで、俺はどうしたらいいのか。ジョングクにされっぱなし。

「も、いい、からぁっ……んっ、グガの好きにしろって」

グガに抱かれてればそれで幸せなんだから。夢だと思ってた事が現実になってる。乱暴にされたってグガが気持ち良くなるなら我慢するのに、激しさはあってもどこまでも甘くて優しいし。こういうときにグガは普段みたいに甘えたり我が儘を言わない。甘やかされるばかりでいいのか、俺は。

ぐちゅってグガのが俺の中に入ってきてとろとろになってるとこを突いてくれる。受け入れる側になると出来る事も少なくてきゅうって締めたりするしかない。内側でぴくってすんのが可愛くて時々繰り返すとすぐ気持ち良くなっちゃうからやめて、って止められた。気持ち良くなって欲しくてやってんのに。

「ユンギヒョンの中、いれてるだけでもう気持ち良いから……これ以上は」

はぁっ、はぁって俺の上乗っかって苦しそうに言うからきゅってまた締めてやる。痛くしていいから好きに動いていいのに。ぎちぎちになったのが俺の隙間を埋め尽くして擦れた。

「……っ……はっ、ん…あっ」

動く度にくちゅくちゅ音が鳴って、もっと掴んで揺らして欲しいって思う。俺がグガに夢中になるみたいにお前も俺でいっぱいになって。

「んっ……ジョングガ、好きっ……」

ずぷずぷと奥まで呑み込んだのを、抜かれる直前にジョングクの腰にぐっと足を絡ませた。最後まで抜けなくって、こぷっ、てそのままちょっとだけ吐き出される。ジョングクが俺で気持ち良くなった証だから、それも感じたい。俺の身体を気遣って、グガはあんまり乗り気じゃないからちょっと無理矢理。

「グガ、好きっ……はぁっ……あっ……あっ……ふぁ……んっ、すき、すきぃ……グガすき」

繋がった先からぱちゅぱちゅ音がしてる。腰を打ち付けてくるジョングクの背中に腕をまわしてぎゅうっと引き寄せて口を合わせた。

「すき、すき、ぐが……んっ……ちゅ……っ……くちゅ……すきっ……んっ……すきぃ……んっ……すきっ……ちゅっ」

俺の方が先に気持ち良くなっちゃって頭がぼんやりしてる。何回出したかもわからずに余韻に浸った。

「んぁっ、すき。すきぃ……ジョングガ……あっ、あっ、あああああぁっ……すき。はぁっ、ん……すき、ジョングガ。すきぃ……んっ……っ……すきぃ……」

「ユンギヒョン……はぁ、好き……俺も、好き……」

どぷってまた白濁が注がれる。

ジョングクから与えられる熱は甘くて優しくて、やっぱり自分はもらってばっかりだったから、意識が落ちるまで好きを繰り返した。


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