愛してるけど?
頬袋に餌でも詰めているのかと思うほどに膨らませながら分かりやすいくらいに拗ねている。

「皆に言わなきゃいけないのはわかります、僕も皆に言ってますから。でも言った同じ分だけ返して貰わないと」

「ちゃんとお前にも言っただろ、メールで」

「Vヒョンの方は良いんです。同じ日に送ってくれたんですから」

口ではそう言うが表情が若干不服そうだ。テヒョンアへのメールは一応の納得があるなら、尚更問題点が見えない。

「ジミニヒョンには直接口に出して言っちゃったじゃないですか」

「あ〜、うん?」

メールではなく、口で言う方を返せと要求されている。目がとろんとしてて酔ってるからか眠そうにしてんのにわざわざ部屋に来て。返却期限は今ここですぐ。他に言ってしまうのは許す癖に、これでは心が広いのか狭いのかよく分からない。

「愛してるけど?」

どうしても照れたような言い方になった。すんなりとは言えない性質なんだ。改まると余計に。

「ちゃんと出来るまで言わせますよ」

「あ、愛してるぞ……?」

一度言ったのだけでも恥ずかしいのに、二度目は輪をかけて照れた。今度こそ。ど壺にはまるわけにはいかない。

「……愛してるぞ」

言えたと思った。これで終わりだと。どうだと言わんばかりに俯いていた顔をあげる。目の前にジョングクの顔が迫っていた。何もこんなに間近で見つめなくたっていいのに。じいっと見つめられるから、また顔を下に向けた。

「もう一度言ってください」

「……愛してる」

「僕も愛してます……ねぇ、もう一度?」

耳に口を押しつけてねだってくる。これは何回言えば終わるんだ。でも俺は末っ子には甘くて。せがまれれば期待に応えようとしてしまう。だってそうだろ、あの純粋な瞳で見つめられて無視できるはずがない。見る度に何かと顔は緩んでしまうし可愛くてしょうがなかった。ベッドのスプリングが軋む。今日だってまた弟の我儘を許して甘やかしてしまうんだ。

「俺も、愛してる……んっ……は……」

ジョングクの指にまとわりつく潤滑剤の水音でぐちぐちと響く。この数分間で一体何度同じ言葉を繰り返したのか。彼は全然満足する気配を見せずに子供のようにねだった。

「愛してるって、はぁっ……んぁ……」

後ろはぐずぐずになってしまってもう最初ほど言葉を繰り返す羞恥はなくなっている。良い所を撫でられて指に吸い付いたり、派手に水音を立てたりしてしまう方に意識がいってしまうので早くしたくてたまらない。指がひかれたかと思うと今度は入り口を舐められた。そのまま舌先を沈められる。

「っ……や、やだ……グガ、汚いのっ……恥ずかし、ひっ……」

浅いところに舌の生暖かい湿った感触が伝わってきた。舌を丸めたり広げたりして中に入っている最中に自在に大きさを変えるから新鮮な感覚だったがその快感を味わうほど余裕がない。

「汚くないです、ヒョンは綺麗ですよ……んっ」

「やああ、やっ……ひっ……やだ……っ」

「僕が部屋に来る前にお風呂も済ませてたし、内側も慣らしてあったのわかってますよ」

清潔にしているから良いという問題ではない。嫌々と首をふるうちに、諦めてくれたようで舌を引っ込められた

「じゃあ、どうしたら良いですか?」

「そ、れは……だから、もう早くここに……はぁっ」

四つん這いになったまま腰を高く上げて揺らす。両手で皮膚を引っ張って見せつけるように。

「グガのおっきいので……俺の中、埋めて……?」

頭を床につけて後ろ側を見つめると天地を逆にしたジョングクが見えた。俺の腰を掴んで入り口に擦り付けようとしている。

「……はやく……っ……ジョングガ、俺を愛して。……俺も愛してるからっ……ひぁっ……んっ……ああああああああああぁっ……」

ばちゅんと勢いよく一度に押し込まれた。いつもはもうちょっと優しい方なのに、最初からいきなりだ。ぱんっぱんっと腰を打ち付けられて、その衝撃で反射的に高い声が出る。いつもより声も抑えられなかった。

「あっ……んっ、はぁっ、ひああああっ……ふっ……ああぁっ、あっ、あっ、んぁ……あっ……っ……はぁっ、いっぱい奥突いてグガァ……きもちよくして……っ……あっ……」

「はぁっ……やっぱ酒飲んだ時のヒョンえっちすぎ……はぁっ……普段と喋る態度そんなに変わらないのにいつもより煽られます。」

もう入らないという位置までギチギチに押しつけてはすぐに引き抜く。

「ユンギヒョンのここ狭くて気持ち……ふぅっ……腰揺れてるし、僕に突っ込んで欲しくって堪んないって表情してる……はぁっ、愛してます!」

「はぁっ……そう、だよ……あっ、あっ、はぁっ……んっ、ジョングガので俺の気持ち良いとこいっぱい突いてっ……はぁっ、ん……ああああぁっ……俺もっ」

ぱちゅぱちゅとまた響く。液体が掻き出されてシーツはもうびちゃびちゃに濡れている。内側でまた大きくなってはち切れそうだ。

「愛してるからっ……グガが一番っ……ひゃああああああっ……はぁっ……あっ、あっ、激しっ……」

急に一段階は速度をあげられて奥にばかりめちゃくちゃに当たった。ずぷっずぷっとねちっこく突かれて、最後にはびゅくっと跳ねて、中でぶちまけられる。抜かれると同時にうつ伏せでそのまま充電が切れたように起き上がれない。
どうするかと聞くのでしばらく休んでから風呂に入ると答えた。

「僕も今日は酔ってて……ちょっと物足りないですけど」

「俺もまだしたいけど、スケジュールに響くから一回で我慢な?」

近寄って来たので頭を撫でてやると、大人しく撫でられながらまだ興奮したような目で切り出される。

「何も言わなくても僕が一番愛してるって言ってもらえたから一応目標達成です」

指でピースサインをつくって見せられた。そうか、それを言わせたかったのか。

「一番言って欲しい言葉をわかってくれたのが何より嬉しいです」

照れたように笑いながら言う。それはこっちの台詞だった。

俺がねだらなくとも一番言って欲しい言葉をお前はいつも俺に言ってくれてるんだから。


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