燻る空洞を愛で染めて
廊下でユンギヒョンを見つけた。声をかけようと口を開く寸前、ユンギヒョンの隣にいた男がキスをしているのが見える。え?って固まってる内に側にあった教室に二人は入っていって扉の中に消えていった。見てはいけないものを見たってわかってるのにその場から立ち去る事が出来ずに扉の前までたどり着く。窓はカーテンが閉められてるし中は見えないけれど、声だけは聞こえた。ユンギヒョンの喘ぐ声だ。

「もっ、いいから。ちんこ入れろって……はぁっ……んっ」

「慣らさないと入んないでしょ。ほら指何本も入ってる。中でかき回してあげるから」

「やっ……おちんちん欲しっ……あっ……あぁっ……ん」

くすくす男が笑う声に混じって水音がぐちゅぐちゅ響く。自分が今聞こえてる声の状況が信じられなかった。嘘だよねユンギヒョン。

「お前の、おちんちんで……俺の後ろの穴めちゃくちゃにずぽずぽされたいっ……あはっ……ああぁ……はぁっ、早く、早くぅ」

強姦とかじゃなく、むしろユンギヒョンの方が乗り気そうな感じで普段と別人でありえないくらい卑猥な言葉を吐く。一瞬夢かなって思うくらいの豹変っぷりだ。扉の前でへたり込んで座りながら、驚きすぎてつい出そうになる声を手で抑え込む。

「ははっ、俺のちんこ好き?」

「うん!そう、好き!はぁっ……お前のおちんちん好きぃ……あぁっ、はああああぁっ、ぐっ、おちんちん来て、入って、るっ……はぁっ……あぁっん」

「美味しい?はぁっ、すっげ、締まる」

「嬉し、おちんちん奥まで突いてっ……はあぁっ、あああぁっ、精液っ……俺の中に、はぁっ、出してっ、あっ、あっ、あああぁっ」

机がガタガタと震えるように音を立てていた。ユンギヒョンは気持ち良さそうに受け入れていて状況を信じられないまま、意を決して恐る恐る教室の扉を開ける。鍵はかかっていなかった。

まず目に入ったのは机に寄りかかるように覆い被さるユンギヒョン。それからユンギヒョンに突き刺したそれで獣のように貪るさっきの見知らぬ男だった。ユンギヒョンのうしろは男が出した精液でぐちょぐちょに汚れているし、教室の床にもそれらはぶちまけられている。

「あっ、ああぁっ、テヒョンア、はぁっ、おまえも、あぁっ、混ざるのか?」

混ざる、俺が?この淫らな行為に?二人は恋人なんじゃないの?立ち尽くしたままでいると律動を男が漸く止めたかと思うと、俺の腕をひっぱってユンギヒョンの前に立たせた。

「お前も興奮して反応してんじゃん。淫乱なけつまんこにお前のちんこ入れて犯してやれよ。こいつ、みんなのオナホだから」

肩をぽんぽんと叩かれながら、勝手に腰のベルトを外されてズボンを床に落とされた。下着も脱がされて、反応してしまっているものが露になる。

「恥ずかしがっちゃってかーわいい!顔真っ赤だな」

「テヒョンア、早く、テヒョンアのガチガチのおちんちんっ、はぁっ……俺にハメて……」

ユンギヒョンが後ろの穴を手で目一杯拡げて誘うまま、興奮ではち切れそうな屹立をユンギヒョンの内側に撃ち込んだ。既にぐずぐずに溶けたように熱くなっているそこをふたたび犯していく。

「はぁっ、あっ、あぁっ……テヒョンアのおっきい、おちんちんが、はぁっ、俺の中、突いてっ、あぁっ……んっ、気持ちい……俺、弟に犯されて気持ち良くなっちゃうっ……あぁっ」

机や椅子がぶつかり合う。わけもわからないくらいに乱暴に突いて、ユンギヒョンの腰を掴んでる。なんでこんな事やってるんだろう、ユンギヒョンに反応して煽られて小さな穴をただ抉り続ける。
パンッ、パチュッ、パンッ、パンッ、グチュ……。
前に入っていた男のものであろう精液が潤滑剤の役割を果たして、滑らかに包み込んだ。

「俺のっ、お尻にっ……はぁっ、ずぽずぽっ、テヒョンアのおちんちん入ってっ、ああっ、もっと深くぅ……テヒョンアの、精液っ、飲ませてっあぁっ、んっ……」

ぐりんとユンギヒョンが腰で円を描くように擦りつけてまた違ったところに突き当たる。繋がったところが熱をもったように熱くなって、腰の動きを止められない。ユンギヒョンの誘うままに、激しく突いてその穴に強く焦がれた。

「ユンギヒョンっ、はぁっ、くぅ……っ……」

びゅるるっ、びゅくっ、どぷっ、きゅうう。
ユンギヒョンを白で染めていく。男のを塗り替えるように濃く。

「テヒョンア……はぁっ、テヒョンアっ……あぁっ、気持ちい……中にでてる……あぁっ、テヒョンアの、せーえき……気持ちい……あっ、あぁ」

びくびくびくって痙攣してユンギヒョンも床にぶちまけたのが見えた。肩で息をして、ぴくぴく震えている。出しきったそれを抜くとガタンっと他の机にぶつかりながら力が抜けたようにユンギヒョンの身体は落ちていった。

「電池切れちゃったね、ユンギ。ほら、それしまって次の授業行きなよ。後は俺がやってあげるからさ」

「いや、あの……」

「いいからいいから。好きにさせてやっただろ。言うこと聞けって」

落ちていた下を拾って押し付けてくると男は俺を教室から追い出した。廊下に無理矢理出されて慌てて下を身につけているうちに、後ろで鍵を掛けられる。ここにいてもどうすることもできないし、どうしたらいいかもわからなくなってその場を逃げ出した。

翌日、昨日あった嘘みたいな光景が頭から離れないまま、いつも通り学校へ向かおうと電車に乗っていた。同じ学校の生徒がやけに自分のいる車両に集中しているとは思ったけれど、特別不思議に思う事もなくぼんやりとまた昨日の事を考え出した。あの場から逃げ出してしまった後にユンギヒョンはどうしたんだろう。次に顔を合わせて平気な顔をしていられる自信はなかった。
「おはよう、テヒョンア」

「えっ、あぁ……おはようございます」

後ろにユンギヒョンが立っていた。人混みに紛れて気づかなかったのだ。眠そうに、いつもと変わらない様子で接して来たので思わず自分も彼に合わせてしまう。昨日の事をこんな場所で掘り返すわけにもいかず、ただ思い出しては顔が熱くなった。チラチラと後ろを気にしているとユンギヒョンが揺れてもいないのに突然俺に寄りかかった。どうしたのかと振り返ってみると同じ学校の生徒が堂々とユンギヒョンの身体をまさぐっていた。まわりも同じ制服で、みんなユンギヒョンが触られてるのを見てるはずなのに誰も声をあげない。みんなグルなんだ。それに気づいてユンギヒョンを窺うと、彼はまた熱を孕んだ瞳で自分の身体を無遠慮に触る相手を見上げていた。この異常な行為はユンギヒョンの合意の上で行われている。止めようとした手は宙を切った。

「んっ、っ……はぁ……」

服の上から下の方を触られているのに、身じろぎするくらいで抵抗もなく好きにやられている。最初は一人だけが。後からだんだん手が増えてきて、とうとう集団で触ってくるようになった。服をめくって胸の突起をつまんだり、滑らかなその素肌に手を滑らせたりと無数の手がユンギヒョンの身体を這っている。その穢らわしい行為から目を離せないのはきっとユンギヒョンに惹かれているからだ。昨日と同じように茫然とここに立ち尽くしている。吊革を掴んだ手が汗でつるりと滑った。

「はぁっ、テヒョンア……お前、は?」

後ろにいるユンギヒョンがわざわざ俺を振り返る。そうして俺の手を自分の胸に誘導していく。

「触って……んっ」

触るって言われてもどうすればいいのか。とりあえず、他の人がやっていたように見様見真似で乳首を捏ねてみた。声は押さえぎみだけどすぐに面白いくらいに反応してくれる。ぴくぴくと触れる度に身体が跳ねていた。

「もう苦しいだろ、脱がせてやるから」

続けてベルトを外す音が聞こえる。床にズボンが落とされて下着も脱がされている。こんなところで衣服を完全に脱ぐなんて。ぎょっとして周りを見回したけど、同じ学校の学生に取り囲まれている形になっているから、他からは全く見えていないらしい。ずぶずぶとユンギヒョンの前にいる男が前から後ろの穴に指を呑み込ませた。胸元に顔を預けた状態のユンギヒョンはふぅふぅ言いながらそれを大人しく受け入れている。指が抜き差しを開始すると益々前にいる男に顔を埋めるようにしなだれかかった。

「自分で解してんの?べちょべちょなんだけど」

確かに言う通り、指には汗というには粘着性のある液体が絡みついている。後ろから一旦出して、俺に見せつけるように指を開いたり閉じたりを繰り返す。

「駅のトイレで、っ……自分で、はぁっ」

「はは、準備できてるってさ。どうすんのお前」

どうするのか、って……。そんな事言われても。そのまま黙っているとユンギヒョンが俺のベルトに手を掛けてくる。ちょっと待って欲しい。止める暇もなく、ずらされた下から俺の自身を丸見えにされる。

「そんな不安そうな顔しなくても、俺が良くしてやるから……んっ」

しゃがんでから、パクリと小さな口に含んで電車に揺られる動きに合わせるように頭を動かす。

「はぁっ、ユンギヒョン……」

べろ、と舌で舐められる。自分以外の熱が行ったり来たりしては唾液で濡らしていった。

「んっ、んく、はあっ、……っあ……ちゅぱっ……ん」

口にくわえている状態のユンギヒョンの腰を先ほどの男が掴む。ずぶ、と男のものが呑み込まれていくけどユンギヒョンはほとんど声をあげなかった。声は俺に吸収されて、昨日とはすっかり違っている。

「んっ、っ……っ……はぁっ、んっ……っ……」

振動が震えて伝わってきた。男はユンギヒョンに捩じ込んで、ユンギヒョンは俺のをくわえてる。

「ホントにAVみたいだな」

「それっぽく撮影して編集しようぜ、白昼堂々男子高校生痴漢電車!なんつって!」

周りが騒がしくなって何人かが携帯をこちらに向けてきた。ユンギヒョンが俺のちんこをくわえてんの、皆に見られちゃってる。夢中だったのに、人の視線を意識してしまって恥ずかしい。カメラに写らないようにと顔だけでも隠そうと下を向いた。下を向くとユンギヒョンが俺のをしゃぶって気持ち良さそうに突かれてるのがもろに視界に入って来る。やばいと思ったときには先端から熱が放出されていた。びゅくっ、ぴゅっぴゅっ……。元々白かった肌が俺の白で汚されていく。顔や髪がべとべとになってしまって罪悪感が募った。

「ごめっ、ごめんなさいっ」

「うわぁ顔射したのかよ」

「年下の癖に」

非難する声に縮こまっていると、揺さぶられているままのユンギヒョンは自分の顔についた精液をぺろりと舐めとった。

「っ……いいよ、俺は……怒ってないし。嬉しいから……っ……はぁっ」

「えぇっ……ユンギ顔射すると髪につくからやめろって俺達にはいつも……」

「テヒョンアなら、いい……はぁっ、んっ……っ……!」

男が射精したのか、二人は身を震わせて一旦止まる。抜き取ると白濁がユンギヒョンの白い脚に零れて伝っていった。周りは顔を見合わせては俺を睨んでる。なんで俺だけなのかって目で。

「お前なら何してもいいってさ、ハメてやれよ」

さっきまでユンギヒョンに突っ込んでた男が、ユンギヒョンを抱え、立ったままで片足を大きく開かせる。

「ユンギの大好きなテヒョンくんのこと、ちゃんと誘えよ。固まってるぜ?こいつ」

「……っあ、テヒョンア……の、おちんちん、で……俺の……にしゃ、射精……っ……」

ぷるぷると震えながら淫らな言葉を口にするユンギヒョンは聞き取れないくらい小さな声だった。こんなに大胆な事をしてるのに、関係のない周りにはバレたくないのかずっと声を抑えている。

「ヒョンの言うこと……聞ける、よな?……っ……来て、テヒョンア……っ、あぁっ……んっ、んっ……っ」

俺に貫かれてもその声はひどく小さかった。ユンギヒョンは自身を擦りながら、とろとろになった穴で俺のちんこを味わう。前の男の精液が絡みついてぐじゅぐじゅして、ちんこを入れる為に存在してるような穴の中に欲を埋めた。突き上げると声は出さずにただぎゅうっと俺を抱きしめて耐えてくる。ずぷっ、ぱちゅっ、とどうしても鳴る水音は電車の音が大半かき消してくれた。腰を打ち付けては突き入れて、周りがそれを見ているのに全然止められなくて。グルに向けられる携帯カメラのレンズもなにもかも、グル以外の周りの視線すら気にならない。目の前のユンギヒョンの穴を埋めてあげることばかりに夢中になってぱちゅぱちゅと腰を振った。

「テヒョンア……中っ……っ、んっ、ん……っ」

「っ……はぁっ、っ……はぁ……」

ぴゅっ、びゅるっ、どぷっ……。

力が抜けてユンギヒョンの全体重が繋がったまま俺にかかってきた。よろけてしまいそうなのを、後ろにいたグルの学生が支えてくれる。放心している間もなく、周りにいた学生たちは俺からユンギヒョンを引きはがすと、素早く拭き取って衣服を着せてほとんど元通りにした。髪についたのが完全には綺麗になってなくて、これが現実に起きた事なのがはっきりわかる。俺も数人がユンギヒョンを綺麗にしている間に着乱れをなおした。

「お前とユンギのAVはユンギに後で見せてもらえよ。ユンギに送るから」

「あの、これって集団で何をして……いや、その……動画って……どこかに売ったり、するんですか?」

「何も聞いてないのか?ユンギのズリネタ動画が欲しいって俺達にリクエストしてきたんだよ。セックスの内容も、もろユンギ好み。だから見るのはユンギだけ。俺達も協力者だから見るけどさ」

肩を組まれてニヤニヤと笑われる。先輩は俺よりも身長が高くて体格もいいからちょっとだけ怖い。びくびくと身を縮こませているうちに高校のある駅について、一目散にユンギヒョンが電車から駆け出していく。普段は最小限の動きしかしないのに、やけにすばしっこくてあっという間に見えなくなった。

「終わった後はああやって逃げちゃって、次に会ったときには何もなかったみたいな顔して授業受けてんだぜ」

「僕のときも、そんな感じ……でした」

「でも身体触ると一気にスイッチ入ったみたいに淫乱に変わるんだよな、俺らは生きたオナホの虜だよ」

苛立つ。オナホなんて。ユンギヒョンがこんな奴等のオナホになって喜んでいるのが悲しくって、自分もこんな事に荷担してしまったのがまた腹立たしい。

学年が違うので靴箱の辺りで学生達は皆離れていった。ユンギヒョンと同学年だけで、違う学年は俺一人だ。なんでだろう。偶然見てしまったから引き込むしかなかった?それとも、さっきみたいに俺が特別だったからなのか。先程の場面を思い出すと熱が上がりそうで慌てて振り払う。いけない。

一旦忘れて午前中は授業を受けた。午後になり微睡む頃に自習を告げられる。授業を受けているうちは先生の話に耳を傾けて集中できていたのに、一人で黙々と課題をやっていても全く集中できない。電車の中で俺に抱かれていたユンギヒョンを何度も思い出しては悶々とする。寝てしまおう。そう思って席を立ち、監督の先生に伝えて保健室のベッドに向かった。

ノックをしようと腕を上げたとき、またあの声が聞こえた。

「先生っ、はぁっ、せんせ……っ」

「ユンギ、授業中に何を考えたのか言ってみなさい」

「はいっ、先生っ……んっ、あぁっ、授業中にセックスの事、考えてました……あぁっ、せんせぇっ」

相手は保健室の先生、恰幅のいい中年男性。先生は落ち着いているからまだセックスまではしてないみたい。ユンギヒョンが一人で擦ってる音が扉に耳を近づけるとようやく聞き取れた。

「だからここに来たのかい?」

「おちんちん、入れて欲しくて、来ましたっ、はぁっ」

「悪い子だねぇ、そんな子にはお仕置きだよ」

「やっ、いやだっ、お願いします。先生のおっきいおちんちん入れて欲しいんです」

「嘘つきだ。本当は誰のちんこを入れて欲しいのかいってみなさい?」

「年下、後輩のおちんちんっ……ですっ……」

「好きな人がいるのに私のが欲しいのかな?」

「欲しい、です……はぁっ、好きな人に謝りながらしますから。先輩に、レイプされて、処女をあげられなかった、から。だからせめて、好きな人に喜んでもらえるようなセックスできるように、勉強させてくださいっ……ぁっ」

何それ。全然何も言ってくれなかった。何も聞いてないよ。レイプなんて、一体いつ。ユンギヒョンの先輩はもう卒業してるから、結構前かもしれない。それを俺に全く悟らせないなんて。近くで見ていたはずなのに歯痒かった。

「辛かったね、よく頑張ったよ」

「毎日、どんな時でもちんこが俺の中に入ってるみたいな感覚で、ずっと気持ち悪くって。入ってないのに入ってるのがいやで。おちんちん入ってきたらその違和感がなくなったんですっ……ぐすっ……はぁっ」

「よしよし、偉いねユンギ。今日も先生が穴を埋めてあげるからね」

ギシと保健室のベッドが二人分軋む。ユンギヒョンが先生のをもういれたのか、ギシギシと音を立ててベッドを揺らしている。先生とまでこんなことを。この学校で一体ユンギヒョンは何人とセックスしてきたんだろう。

「ごめ、ごめんなさいっ、他の人のおちんちん入れて、ごめんっ……ぐすっ……ごめんっ、好きっ……好きだった……好きだったのに……俺っ……あっ、あっ」

ぐずぐず泣きながらユンギヒョンが突き上げられていく。

「本当は見られたくなかったのに……もしかしたらって誘ってみて、おちんちんっ、入って来て……俺っ、嬉しく、て。あっ、あぁ……」

ベッドの軋みがよく聞こえる。もう嫌だ。他の人に犯されてるユンギヒョンなんて。はた、と気づく。自分になら?自分にユンギヒョンが犯されてるのならいいのか?自分勝手な欲望に気付いて青ざめる。ユンギヒョンとセックスした自分は今、他の人と同じ所まで堕ちてしまったんだ。ユンギヒョンを性欲の対象にして消費してる。これじゃ自分もおおぜいのセフレの一人と同じ事なんだ。胸がズキズキ痛んで、悲しくなった。

体調が悪いと嘘をついて早退してから数時間後、携帯にユンギヒョンからメールが届いた。

以前と変わらないそっけないような一文。

「テヒョンアへ」

その先に続く添付された動画をDLする。再生するとユンギヒョンが俺のをしゃぶってるのが画面いっぱいに映し出された。周りの学生が人垣になってて学生服以外は画面には映らなかった。上手く隠れられていたようで少し安心する。それからユンギヒョンが俺と繋がる所も、俺の上で泣いてたのも全部見えた。俺の背中に腕を回してて顔が見えなかったときの表情とか、全部。凄く幸せそうで、嬉しそうで。それが辛かった。こんなことされてるのに。返信には一度ちゃんとお話しましょう、と場所を書いてメールを送信した。その返事は来なかったけど翌日、待ち合わせ場所に行ってみるとユンギヒョンはきちんと待っていた。

「テヒョンア……俺の事軽蔑、しただろ」

「違っ、呼んだのはそういう事じゃないです」

「男に腰振って喜んで、最低だもんな」

「だから違っ……」

「付き合わせて悪かった。お前とはこれっきりにするから」

「違うってば!」

ぎゅってユンギヒョンを抱きしめる。驚いてもがくユンギヒョンにちゃんと聞いてもらうために言葉を挟ませないように続けた。

「俺はユンギヒョンが好きなの!」

は?って顔で俺を見上げる。予想もしてないよね。俺もこうなるなんて思ってなかったんだから。

「ユンギヒョンとちゃんと付き合いたいから呼んだんです。このままの関係なんて嫌です。これきりにするのはもっと嫌です!」

「……俺が他のいろんな男に抱かれてるの知ってるだろ。なのに、なんでそんな事言えるんだよ」

辛そうに顔を逸らすけど俺はユンギヒョンから目を逸らさない。

「それでも、好きです」

「その……セックス依存症、なんだよ、俺……分かるだろ?だからお前と付き合うのは……」

「なら俺とだけセックスしてよ。俺だけにして。その……頑張りますから」

お互いにセックスと言うのに顔を赤らめる。もうとっくに身体を重ねてきたのに。セックスに溺れていないときの会話は数日ぶりで、やけに気恥ずかしい。

「……考えておくから……じゃあ」

耳を赤くしたまま、ユンギヒョンが離れていった。それからというものの、ユンギヒョンは俺を度々自分から誘いに来るようになった。場所はホテルだったり家だったり、空き教室だったり。本当にセックス依存症なんだってくらいどこでも俺を求めてくる。あれからユンギヒョンは俺以外とはセックスをしなくなった。けど、ユンギヒョンの性欲に付き合うのは大変だ。結構体力もあって、持久力だけならユンギヒョンの方が上かもしれない。

時間があればユンギヒョンとセックスばかり。でもセックスをやめたらユンギヒョンは他の男にまた抱かれに行ってしまうかもしれない。俺が、頑張らなきゃ。ユンギヒョンの穴に俺が詮をする。もう誰もユンギヒョンを犯せないように。

「テヒョンア、はぁっ、あぁっ、んぁ……っ、テヒョンア、疲れて、るだろ……本当はぁっ、嫌だろ?俺……っ……はぁっ、ああぁっ」

「ううん、嫌じゃないよっ……はぁっ、ユンギヒョンをいっぱい愛してあげる、からっ……はぁっ、ユンギヒョン大好き、大好きです」

「テヒョンア、愛してる……あっ、あぁっ、ごめん、ごめん。俺のせい……ぁっ、あぁっ」

何度も何度もごめんと愛してるを繰り返す。その穴をまた白で染め上げていく。

いつかこの白が綺麗な白に変われますように。



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