「ねえハジメ、かんきんしてもいいですか?」
「かんきん?かんきんってなんだ?」
「ずっと二人でいっしょにいるってことですよ。してもいいですか?」
「うん!おれもする!かんきんする!!」


「いいですかハジメ。かんきんされるなら、ハジメはずっとこの部屋にいないとだめです」
「イズルは?」
「ぼくもハジメにかんきんされるので、この部屋にいます」
「ふーん。かんきんって、なんだかカンタンなんだな」


30分後。


「……なー、イズルー」
「だめです」
「まっ、まだなにも言ってないだろ!」
「外にあそびに行きたいっていうんでしょう?だめですよ。だって、かんきんちゅうですから」
「……かんきんってたいくつだな」


「ツマラナイならゲームでもしましょうか」
「する!おれね、きのうソウダといっしょに…」
「ハジメ」
「?」
「かんきんちゅうは、ぼくとハジメいがいの話はしちゃだめなんですよ」


「……?なんでだ?」
「あのね、ハジメ。かんきんちゅうは、せかいはぼくたち二人っきりなんです」
「ソウダもタナカもいないのか?」
「いませんよ」
「ミオダとか、コイズミとか……」
「いません」


「だぁれもいないのか?」
「いません」
「……おとうさんとおかあさんは」
「いけませんよ、ハジメ」


「二人でずっといっしょにいるってことは、ほかのだれもいらないってことなんです。ハジメは、かんきんしていいって言いましたよね?かんきんするって言いましたよね?だからハジメはもう、ぼくとハジメのこといがい、気にしちゃだめです」
「……ぜったいに?」


「ぜったいに、です」
「う、うぅー……なんか、かんきんって、やだな……」
「でも言いましたよね?あと、『いちぬけた』は、かんきんにはありませんから」
「……かんきん、やだ……」


「ぼくがいるだけじゃ、いやですか?」
「イズルはヤじゃないけど……」
「ほかにだれもいないのがいやなんですね」
「……ん」
「……じゃあ、トモダチをしょうかいしてあげます」
「ともだち?」
「はい。クローゼットの中にいますよ」


「……ぬいぐるみ?」
「今日からトモダチになる、モノクマとモノミですよ。これでさびしくないでしょう」
「……にんぎょうあそびなんて、おんなのこみたいだ」
「どっちがいいですか?」
「ウサギ!なんかつよそう!」
(つよそう……?)


「いくぞモノクマ!モノミアターック!!」
「……『うぅ…も、モノミごときになんでこんな力が…!?』」
「モノミはくさもちいーっぱいたべてるから、まけないんだぞ!」
「『うぷぷ……でも残念!ボクにはまだスペアがいるのだ!』」
「な、なにー!?」


だいいっかいモノクマモノミたいせん、しゅうりょう。
しょうしゃ、モノクマ。



「……くさもちのはなししたら、なんだかたべたくなってきた……」
「じゃあおやつにしましょうか」
「うんっ!」
「おやつの草もち、クローゼットのおくにかくして……ああ、ほら、ありましたよ」
「わー、くさもちだー!」


「さて、ハジメ。ぼくたちは今なにをしていますか?」
「はいっ!かんきんですっ!」
「そうです。かんきんちゅうは、ごはんもアーンして食べさせてあげるんです」
「あーん?」
「はい。ハジメ、アーン」
「あーん!」


「イズルも!あーん!」
「……あーん」
「おいしい?」
「おいしいです。ハジメが食べさせてくれたから、いつもよりずっとおいしいです」
「そうなのか?」
「そうなんです。ハジメも、ぼくが食べさせてあげたほうがおいしかったでしょう?」


「んー、よくわかんな……イズル、こわいかおしてるぞ」
「ぼくが食べさせてあげたほうがおいしかったですよね?」
「え、あ、」
「ねえハジメ、そうでしょう?おいしかったでしょう?」
「う、うん…!イズルにあーんしてもらったほうがおいしい…!」


「そう言ってもらえてよかったです。もういっこ食べますか?」
「う、ううん!もういらないっ」
「そうですか……ツマラナイ……」


「……イズル、ちょっとだけ」
「だめです」
「……じゃあじゃあっ、かくれんぼしよっ!」
「かくれんぼですか」
「そう!かくれんぼ!おれ、オニやるから!」
「いいですよ。目をつぶって、100数えてくださいね」
「うんっ!!」


「……きゅじゅはち、きゅじゅきゅ、ひゃーくっ!もーいーかーい!?…………へんじしないから、かくれたんだよな?」



「い、いまのうち…そと…っ」
「ハジメ」
「ひっ!!」
「かんきんなのに、かってに出ていこうとしたらだめでしょう?」
「だ、だって…」
「やるって言ったじゃないてすか。やくそくしたのとおんなじですよ?それなのに、やぶるんですか?」


「うそついたらはりぜんぼん、です。やくそくをやぶるのも、はりぜんぼんですよ。どうしますか?はりぜんぼん、のみますか?」
「の、のまないっ!!」
「じゃあ、ドアノブにさわるの、やめましょうか」
「……うん」
「ほら、絵本読んであげますから」


「えほん?ほんと?」
「ほんとうです。なにがいいですか?」
「モノミのだいぼうけんっ!」
「……いいですよ(じょうそうきょういく、しっぱいしたかもしれません)」


「……ブリキのモノミきこりが……、……?ハジメ、ねちゃったんですか?」
「…zzz…」
「……ツマラナイ」


「このかんきんごっこは、いつまでつづけられるんでしょうね。……大きくなったら、ごっこじゃないかんきんもできますか?してくれますか?ねえ、ハジメ……」
「……いず…すきぃ……zzz……」
「……かわいいねごと言ってくれるんですね」


「大きくなるまでに、これをふつうにしちゃえばいいんですよね。だいじょうぶ。さいのうにあいされているぼくになら……ハジメにあいされることだって、かんたんにできるはずです」


ハジメ起床。


「イズルー、イズルー」
「なんですか?」
「おなかすいた」
「……夕ごはんのじかんですね」
「かんきん、いっかいやめよう?ごはんたべて、おふろはいったらまたはじめればいいだろ?」
「……またはじめていいんですか?」
「?」


「だって、かんきんするんだろ?」
「するというか、したいです」
「おれもイズルとずっといっしょがいいから、かんきんしたい」
「……そとにあそびにいけなくなりますよ?」
「う…それは……あっ、ほら!そのときだけかんきんきゅーけーしよう!」


「そんなのかんきんじゃないです。ツマラナイ……」
「じゃ、じゃあ、そとであそんでからかんきんはじめよう!」
「おんなじですよ」
「うー……かんきんってたいへんだな……」


「……大きくなったら」
「ん?」
「大きくなったら、ぼくがハジメをかんきんしてあげます。この部屋いっぱいにおもしろいものをあつめて、ハジメがたいくつしないようにします。だから、そのときは……ハジメも、ぼくのことかんきんしてくださいね」


「もちろんだぞ!じゃあ、それまでかんきんはきゅーけーだな!」
「はい。大きくなるまでおあずけです」
「よーし、ばんごはんたべにいくぞっ!イズルっ!!」
「はい、ハジメ」





かんきんごっこ END1 : おおきくなったら



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