8月2日(木) 弐大猫丸

ハジメもイズルもなかなか身体が柔らかい。
子供のうちから基礎をしっかり教えておけば将来立派な選手になる事間違いなしじゃあ!!



遊びに見立てて鬼ごっこと言ったら、終里ともやったとブーイングされた。
無ぅ…他に子供でも無理のないトレーニングんど知らんしのぉ…。

「にだいおにいさん、ほかになにもおもいうかばないんだ?」
「はじめ」
「うん。かわいそうだからおにごっこやってあげよっか」
「おお…!気を使わせてスマンのぉ!!」

豪快に笑って頭をガシガシ撫でてやれば、ハジメとイズルは迷惑そうに逃げようとする。
そこまで力は入れておらんし、本気で逃げようと思えば逃げられるはず。
きっと言うほど嫌がっておらんのだろうと判断した。

「よぉし!!鬼ごっこじゃああああああああああ!!!」
「……にだいおじさん、うるさい」
「おじ…っ!?ハジメ!今ワシの事おじさんと…ッ!!」
「にだいおにいさんおにな。いずる、にげるぞ!」
「ん」

ショックを受けるワシを置いてさっさと逃げ始めるハジメとイズル。
ワシは……ワシは……っ!!

「おじさんじゃないわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「うわあっ!さけびながらおっかけてきた!!」
「……!」

子供の足に負ける訳がないわ!!
と、捕まえた後にこれじゃあトレーニングにならんと気づいた。
わ、ワシとした事が…!!

「ずるいぞ。おわりおねえさんだってちゃんとごじゅうかぞえたのに」
「スマンのぉ……じゃがワシはまだおじさんじゃないぞぉ!!」
「わかったけど…こんどはちゃんとかぞえなきゃだめだから!」

ピシッと人さし指を向けて言うハジメと、その隣でコクコク頷くイズル。
無うぅ……どうやら拗ねさせてしまったようじゃ…。
子供との付き合い方なぞマネージャー時代には必要なかったしのぉ…。

「はじめ」
「うん、にげよう!」

悩んどる内に二人は蜘蛛の子散らしたように逃げて………無ッ?

「……手は……繋いどらんのぉ……」

終里とやった時は、二人で手を繋いで一緒に逃げたと、そう聞いた。
それが今では、並んで走ってはいても、手は繋いでいない。
速度を合わせる様子はあっても、手を繋ごうとする様子はない。

「よおおおおおおおし!!!捕まえるぞおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「ちょっとおじさん!ちゃんとかぞえてよ!!」
「おじさんじゃないわあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」



(手を繋ぎながら歩いていた道は)
(ようやく二つに分かれ始めたのかもしれんのぉ)

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