7月26日(木) 七海千秋

ハジメくんとイズルくんは双子の兄弟で、5歳の男の子です!
ハジメくんはしっかり者だけど、しっかりしすぎていて少し心配です!
イズルくんは物静かで、ハジメくんの名前以外しゃべっているのを聞いた事がありません!
イズルくんの言いたい事は全部ハジメくんが代わりに言ってくれます!
もう少しみんなとお話ししてくれると嬉しいです!
二人はとっても仲良しさんです!



いつもどおりホテルのロビーでゲームをしてたんだけど、なんだか眠くなってきちゃったから伸びをしてみた。
そうしたらちょうどハジメくんとイズルくんが二人で手を繋いでロビーに入って来た。

「ハジメくん、イズルくん、おはよう」
「おはよう、ななみおねえさん」
「はじめ」
「いずるも、おはようだって」

挨拶をしたらハジメくんが返してくれた。
おねえさん、なんて、当然だけど言われた事ないから少し照れる。
イズルくんの方はやっぱりハジメくんの名前しか言わない。
それでもハジメくんはイズルくんの言いたい事がわかるみたいだからいいのかもしれないけど、でもやっぱり少しくらい私達とも話すようになってほしいなって思う。

「二人とも朝ごはん?まだもうちょっと時間ある…と思うよ?」
「あさごはんのまえに、げーむ、おそわろうとおもって」
「ゲーム?……私に?」
「そう。げーむのことは、ななみおねえさんがいちばんくわしいって」

確かにゲームの事はこの島で一番詳しいだろうけど、一体誰が言ったのかな。ウサミちゃん?
それにしても、わざわざこんな朝早くにゲームを教わりにくるなんて、ハジメくんもイズルくんも少し不思議。
いいよ、って手招きしたら、ハジメくんが嬉しそうに寄って来た。
ハジメくんに手を引かれたイズルくんはいつもと同じで無表情だけど、ハジメくんの手をぎゅっと握ったままだからそんなに気にしなくていいのかな?

「二人はゲームってやったことあるの?」
「おれはないけど、いずるはいっかいだけやったことあるよ」
「そうなんだ」

イズルくんのほうを見たら、こくこく頷いていた。
うーん、喋らなくても意思疎通ができちゃうから喋る必要ないって思っちゃってるのかも。

「イズルくんに教えてもらうんじゃなくていいの?」
「かんたんすぎてつまんないからおしえないっていわれた」
「うー、ん?それってどんなゲームだったのかな?」

簡単すぎてつまんない?
でもイズルくんて5歳、だよね?
5歳でも簡単にクリアできるゲームなんてあったかなぁ。

「えっと、おっかけてくる、くさったしたいをやっつけるやつ」
「……情報少なすぎて絞り切れないけど、簡単すぎてつまんないようなゲームじゃないと思うんだけどなぁ」
「いずる、すごいから!」
「……はじめ」

イズルくんを褒めるハジメくんが本当に誇らしげで、イズルくんは恥ずかしいのか少し俯いてハジメくんの口を繋いでない方の手で押さえた。
なんだ、ちゃんと自分の感情があるんだね。
少し心配しちゃってたけど、これなら別に大丈夫かな。

「ハジメくんはイズルくんが大好きで、イズルくんもハジメくんが大好きなんだね」

きょとん、って大きな目を丸くしたハジメくんが、花が咲くみたいに幸せそうに笑って頷く。
ハジメくんの口から手を放したイズルくんも、俯きながら小さく頷いた。

「よーし!じゃあそんな二人が楽しめるゲームしよっか!」

二人の空いてるほうの手を握って輪を作る。
ハジメくんは握り返してくれて、イズルくんは握り返してくれないけど、振り払われないから大丈夫…と思うよ!

「七海さん、お二人にどんなゲームをやらせてらっしゃるのですか?」
「え?主人公とヒロインの名前を自分で決められる恋愛シミュレーションゲームだけど」
「なっ、ガキになんてゲームやらせてんだオメーは!!」
「え、どうして?」
「あ、いずるがちゅーしてきた」
「はじめ、はじめ」
「ちゅー」


(ハジメくんは明るくて)
(イズルくんは照れ屋さん)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -