EPISODE.18



「"叫べ、恨め、苦しめ!!お前たちは何の罪もない被害者だ!ふはははは!!考えろ・・・おれを仕留めに来るか我々ドンキホーテファミリーと共におれに盾突く13名の愚か者たちに裁きを与えるか・・・選択を間違えればゲームは終わらねェ。星1つにつき1億ベリー!!"」


1億ベリーという多額な賞金に、それまで逃げようとしていた者達の足が止まる。続けて映像にはドレスローザ受刑者たちの映像が流された。



1つ星――。
レベッカ、ロビン、錦えもん、フランキー、そしてドレスローザ元王女のヴィオラ。

2つ星――。
ゾロと、ドレスローザ元軍隊長キュロス。

3つ星――。
サボ、ルフィ、ロー、ドレスローザ元国王リク・ドルド。


「おれもかよ!?」
「情報が早いな」
「(よ、よかった・・・おれはバレてねえ・・・)」


面倒な事になったなと呟くサボの横で倒れたままのウソップは心の中でホッと安堵の息をついた・・・が、まだ発表はこれだけでは終わらなかった。


「"さらに!!今日おれを最も怒らせた男がいる・・・お前らをこんな残酷なゲームに追い込んだ全ての元凶・・・こいつを仕留めた奴には5億ベリーだ!!"」


5つ星――そこに映し出されたのはウソップであった。


ええええええーーーーーーー!?!?!?


ルフィ達より更に上の5億というとんでもない金額がつけられたウソップは目が飛び出るのではないかというくらい大きく見開かせた。


「"ふふふ・・・そして聞いて喜べ。ラッキーチャンスだ。こいつだけは殺さなくていい・・・生け捕りにしたやつに同じく5億ベリーを与える!!!腕の1本や2本無くしてもいいが・・・絶対に殺すんじゃねェぞ?伝説の悪魔の実の能力者・・・おれはこいつの力が欲しいんだ"」


続けて映像に映し出されたのはなんと――ナマエであった。


「た、大変れす!ウソランドが・・・!」
「ナマエさんまで・・・」


5億ベリーという金額に、映像を見ていた者達の顔つきが一気に変わる。それまではウソップのことをゴッド・ウソップと呼び崇めていた者達も目の色が変わり、妖しい顔で此方を見つめていた。


「5つ星2人に1つ星2人、3つ星も1人いるぞお!!」
「ゴッド・ウソップすまんが死んでくれー!!」

「サボくん、どうする?」
「地上に出るぞ、全員だ!急げ!!」

「"迷ってる時間はないぞ?刻一刻と人間は倒れ、街は燃えていく・・・おれを殺すか13人の受刑者を仕留めるか・・・さあ、ゲームの始まりだあああ!!ふははははは!!!"」


ウソップはレオたちに「逃げてくれ」と指示すると、頷いたレオ率いる小人軍団がウソップの身体を持って走り出す。それに続くようにサボたちも逃げようとする・・・が、途中で足を止めた錦えもんは同志のカン十郎を探すべく一旦分かれる事になり、他の者達は地上へと続く道を駆け走る。
後ろからついてくる数十人の賞金稼ぎをみたバルトロメオがバリアを張り、その道を塞いで時間を稼いでくれている間に上へと登って行く一同。

サボは走りながら、隣を走るナマエに視線を向ける。


「ナマエ、今はその"声"ってのは聞こえないか?」
『・・・うん、今は大丈夫みたい。ごめんね、私もきっかけがよく分からなくて』
「大丈夫ならいい。・・・絶対にドフラミンゴなんかに渡さねえから。おれの側、離れるなよ」
『!』


サボの姿が一瞬エースと重なり、驚いたようにサボを見つめるナマエ。その視線に気づいたサボが「ん?」と笑顔で首を傾げれば、ナマエは気恥ずかしそうにして顔を逸らし、なんでもないと応えた。


「ふふ、おれの側離れるなよ・・・だって!サボくんってばかっこつけんぼ!」
「う、うるせえ!」


――プルプルプル。


ロビンの電伝虫が鳴り、出るとそれはゾロからだった。ゾロは今ルフィと一緒に王の大地という場所にいるらしい。


[ロビンか!!見たか今の?ムカつくなーミンゴ!!ナマエはあいつがいるから大丈夫だろうけど・・・ウソップはなんか大爆笑だな]
「ッなんだとルフィ!!!」
[はははは!レベッカもリストに入っちまったけどあいつ・・・大丈夫かな?]
「わたしここにいるよ!ルーシー!」
[!おお丁度良かった!今兵隊がここに・・・・・・あり?]
「!兵隊さん、兵隊さんも人間に戻ったんでしょう!?ねえルーシー、どんな人!?」
[どんな人って・・・お前何言ってんだ?あの片足の兵隊が、お前の父ちゃんだったんだよ!]

「え・・・・・・」


走っていた足が自然と止まる。片足のおもちゃの兵隊も呪いが解け、人間になったその姿は――コリーダコロシアムに飾られていた銅像の人物と全く同じだったそうだ。
まさか幼い頃から一緒に暮らしてくれていたおもちゃの兵隊が、実の父親だったなんて――思いもよらない事実にじわり、視界が歪んでいく。

楽しい時も嬉しい時も・・・辛い時も苦しい時も、どんな時だっておもちゃの兵隊は側にいてくれた。





――お前に戦い方を教えよう。

――いいよ。兵隊さんがいるもん。

――お前が傷つかない方法を教えるんだ。人間の本能はもっともっと優れている、それを引き出せ!人間の力を信じろ!わたしはオモチャだ・・・いつ限界が来るか分からない!!立て、レベッカ!!強くなれ!!!





「ッやっぱり・・・」

[よかったな!兵隊のやつ今はどっか行っちまったけど・・・いいかレベッカ、まだ泣くなよ。兵隊は死なせねえ!お前も無事でいろ!お前が食いたがってたメラメラの実・・・やれなくて悪かったけど、その代わりおれが必ずドフラミンゴをぶっ飛ばしてやるから!!おれの仲間の側・・・離れるな!こんなゲームすぐ終わらせるから、生き残れ!!いいな!!]

「ッ・・・う"ん"・・・・・・!!!!」


泣き崩れそうになるもロビンに支えられながら、地上へと這い上がるレベッカたち。


「ルフィ、そっちのメンバーを教えて」
[一緒にいるのはゾロにトラ男、それに・・・]
[リク・ドルド三世とわたしはヴィオラよ]
「!!」
「「「「リク王様!!」」」」
「そう・・・その5人ね。こっちは今――え?」


顔を上げたロビンは目を見開かせた。先頭にいたコアラとサボが何か会話していたかと思えばコアラは来た道を戻るように地下へと降りていき、サボはナマエの手を引っ張ってそのまま地上へと勝手に出て行ってしまったのだ。
・・・約2年間、サボ達と共にいたロビンはこれが初めてではないのか半ば諦めたように溜息を吐きながら「とにかく今はレベッカやウソップと一緒にそっちに向かうわ」とだけ伝え、電伝虫を切るのだった・・・。



   



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