EPISODE.14



いよいよコリーダコロシアムの決勝戦が開始される。

ルーシーに変装したサボ、ナマエ、バルトロメオ、レベッカに続いて入場してきたのはバージェスだった。
2年前、エースを処刑に追い込んだ黒ひげ海賊団の一員の登場にナマエの瞳が鋭くなる。


「ウィーハッハァ!!メラメラの実はおれ達が頂く!せいぜい頑張るんだなァ!!」
『っ』

「数多の強豪ひしめく各ブロックから勝ち残ってきたこの5名が!!更なる戦いを繰り広げコリーダコロシアムの頂点を極めるその決勝戦が!!今まさに始まろうとしているー!!!」


決勝戦に出場予定だったドフラミンゴファミリーの幹部、セニョール・ピンク、ラオG、マッハ・バイス、デリンジャーの4人は欠場となっていた。・・・恐らくルフィが関係しているのだろう、その代わりにコロシアムの英雄と謳われているディアマンテが出場し、場内は更なる大歓声に包まれた。


――決勝戦のリングの中心に立つディアマンテと5人の勝者たち。この中の誰か1人だけが、メラメラの実を手に入れる事が出来る。
バルトロメオは相変わらず観客に喧嘩を売り、サボとナマエはバージェスを警戒し、レベッカは自分の知らないルーシーを誰だろうと考えていると・・・突然、入り口の方からDブロックの結果に納得がいかない戦士達がたくさん乱入してきた。

あんな意味のわからねえ結果を認めないと言い、殴りこんでくる戦士達に身構えるレベッカの前に立ちはだかったのは――ディアマンテだった。


「往生際が悪いぞてめえら、おれの興行ぶち壊すんじゃねえ!」


言いながら、闘牛士のように赤いマントをひらひらとさせるディアマンテ。何も知らず、そこに向けて一斉に攻撃する戦士達だが――武器はマントに弾かれ、勢いよく後ろへと吹き飛ばされていった。


――ディアマンテはヒラヒラの実を食った"フラッグ人間"で、どんなものでも触れればはためく物質に変えることができるという。
抜いた剣の一つを手に取り布のように変え、闘牛の形にしたディアマンテは戦士たちを金網の橋に追いやった。
倒れていった1人の血が網の間をすりぬき下にある水の中へと落ちていくと、それを見たディアマンテが妖しげに笑う。


「引き返した方がいいぞお前ら?決勝には決勝に相応しい闘魚が放ってある・・・やつらは血の匂いに敏感だ・・・」


その瞬間、水の中から出てきた闘魚はこれまでの闘魚とは遥かに大きさも、破壊力も違った。突進してきた闘魚は戦士たちを襲い、その恐ろしい光景に唾を飲み込む観客たち。


「てめェら見たか!闘魚の突進を!リング上の戦士にも手を出すルール無用の極悪ぶり・・・性格は最悪、こいつらは予選までの闘魚とは階級が違う!各群れのボスクラスの闘魚だ!!そしてその中のたった1匹の背に・・・今大会の賞品、メラメラの実が乗っている!!!」


決勝のルールは簡潔――その実を奪い、最後までリングに立っていたものが優勝だ。

司会席にあるゴングが大きく鳴り響き、今6人のバトルロワイアルが幕を開ける。


「まだ誰も動かない!最初に仕掛けるのは一体誰だァ!?」

「ウィーッハッハァア!!」
「『!』」


最初に行動を起こしたのはバージェスだった。
バージェスは目の前にいるサボに攻撃を仕掛け、サボとナマエは左右に分かれてその攻撃を避けた。

そのまま高く舞い上がったサボはリング外周を走りはじめ、水中からサボに狙いを定めた闘魚が水しぶきをあげながら外に飛び跳ねてくる。リングの上に打ちあがってきた闘魚はサボに攻撃を仕掛けるが難なく避けたサボはその闘魚の背中に何も無いのを確認すると次々と打ちあがってくる闘魚の背中を確認していく。
よく見れば闘魚の顔には数字が書かれてあり、今のところ【02】、【06】、【03】の闘魚には賞品はついておらず、ハズレのようだ。


【08】の闘魚が今度はバージェスに襲い掛かる。しかしバージェスは避ける事無く、闘魚に向けて波動エルボーを放った。武装色の覇気を纏った右腕で衝撃波が発生するほどの強力なエルボーを繰り出し、闘魚は一撃で倒されコロシアムの客席に風穴を開ける程の威力を見せる。

しかし一匹倒した所で闘魚はまだ水の中に沢山おり、次から次へと打ちあがってくる。


「おおっと!またしても闘魚が新たにもう一匹リングに突進していく!!こ、これは!!出た出た出たァ!!悪魔の実を乗せた01闘魚だ!!」
「あいつか!」
『!』


【01】の闘魚はリーダーなのか、リングを囲うようにして他の闘魚たちが回りこみ、そして一斉に攻撃を仕掛けてきた。



「性懲りのねェ魚共だ!」
「無駄無駄!」
「おれに牙を向けるとは血迷ったか?」
「一気に来たな・・・!」
『っあなたに用は無いの・・・!』


バージェス、バルトロメオ、ディアマンテ、サボ、ナマエに闘魚が倒されていくなか・・・【01】の闘魚が標的に選んだのは――レベッカだった。


「弱肉強食、まず弱者が狙われるのは自然界の摂理!!端からここを狙っていたようだー!!」
「ッせめて鎖だけでも・・・!!」


剣を構えたレベッカは【01】闘魚につけらえている鎖を狙い、反撃を仕掛けようと高く飛び上がるが・・・剣は弾かれ、そのまま勢いよくリングに落ちてしまった。

走り出したサボは強く地を蹴ると【01】闘魚の尾びれを掴み背中に乗り、それを見たディアマンテがサボに攻撃を仕掛けようとする・・・が、瞳を鋭くさせたナマエがディアマンテの前に立ちはだかる。


「おおーっとォ!ディアマンテと偽名の一騎打ちだー!!」

『邪魔はさせない!!』
「へっ、誰だか知らねェがおれの前に出たらどんな目に遭うか分からせてやらねェとなァ!!」


ナマエは掌と足に向けてキラキラの実の能力を集中させ、淡い光に包まれるのを合図に目を鋭くさせるとそのままディアマンテが振り下ろしてきた鋼鉄の剣を蹴り払った。


「!?なんだァ?その力・・・」


高い金属音が鳴り響く。
見ればディアマンテの剣の切っ先が折れており、会場はどよめきに包まれた。


「今度はおれが相手だァ!!メラメラの実はおれが頂く!!!ウィーッハハァ!!!」
『っ』


ディアマンテの背後にいたバージェスが再び右手を構える。丁度ナマエの後ろの席に座っていた観客たちは先ほどの波動エルボーを目の当たりにしたせいか逃げはじめ、レベッカもバリアを張っているバルトロメオの背後にちゃっかり逃げていた。

ナマエが月の壁ムーン・ウォールを展開し、バージェスの攻撃を受け止めようとしたその時――ナマエの目の前に、サボを乗せた【01】闘魚が落ちてくる。


『!ルー、シー?』


闘魚に乗っていたサボはバージェスを見下ろすと人差し指と中指、薬指と小指を密着させ、構えはじめる。


「"竜の鉤爪"」
「波動エルボー!!!」


双方の攻撃がぶつかり合う。激しい衝撃波が場内を襲い、リング外の水が激しく波を打つ。やがてバージェスの右腕に装着してあった装甲に亀裂が入り、派手な音と共に破壊された。


「な、なんと!バージェスの防具が砕け散ったァああああ!!!」

「さすがだべ大先輩〜〜〜!!!」
「そう簡単にはメラメラの実はくれねェか・・・」
「戦闘の仕方が違うじゃねェか・・・あいつ本当に麦わらか?それに――・・・あの女・・・」


ちらりとナマエに視線を向けるディアマンテ。

――先ほど、自分の剣を蹴り上げた際に、一瞬だが前髪で隠れていた額に月の模様が浮かんでいたのを見逃さなかった。ナマエの正体が分かったのか、「面白くなってきやがった」と妖しげに口角を持ち上げるディアマンテに気づかず、ナマエは心配そうにレベッカの方へ視線を向ける。

・・・目の前で繰り広げられるあまりにもレベルの違う戦いに、剣を持つレベッカの手は震えていた。


「(命を取る気で攻めなきゃ・・・わたしに勝ち目は無い・・・!兵隊さん、私は・・・・・・っやってみせる!!!)」


背中を見せるディアマンテに剣を振り下ろすレベッカ。絶対に攻撃を仕掛けないレベッカが攻撃を仕掛けた事により場内は驚愕し、その攻撃はディアマンテの足を打つ・・・・・・が、その剣には刃が無く、切れていなかった。


「なんだその剣は?刃が無ェじゃねえか・・・・リング状は殺し合いの場だ。人を斬れねェならおめェが血を流せ。それで客は興奮するのさ!!」
「うあああ!!!」
『レベッカ!!』


かわされないようにレベッカの足を踏みつけたディアマンテは作り出した棍棒で思いっきり顔面を殴りつけ、 直撃した兜が割られ地に伏すレベッカ。


「!しまった!おいマッスルメロン!お前あの子を守れ!!」
「バルトロメオっスけど!?」


加勢したいところだがサボはバージェスの相手をしているため、その場から離れる事が出来なかった。
慌てて駆けつけたナマエは頭から血を流すレベッカを起こすとキッと目の前に立つディアマンテを睨みつける。


「レベッカ、お前の母・・・スカーレットの死に様を知っているか?」
「!」
「ふふふ・・・・オモチャの兵隊が泣き叫んで実に見苦しかった・・・」
「っ・・・・・!?」





   



戻る
















×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -