EPISODE.19



シャンクスは、空を漂うバギーに「お前にあげたい宝の地図があるんだが、その前にそいつをルフィに渡してくれ」と麦わら帽子を託した。
帽子はシャンクスからバギー、トラファルガーローを経て、ルフィの元に届けられた――が、バギーへの宝の地図は嘘だった。そう言えばバギーが動くことを知っていたからと、呑気に騙した相手に説明する旧友シャンクスの相変らずのいたずらっこぶりに、バギーが怒り狂ったのはいうまでもない・・・。


――海軍大将達は、赤髪のシャンクスへ攻撃するつもりはないが、指を咥えてルフィを逃がすわけにも行かず、クザン・サカズキ・ボルサリーノの3大将揃って、ローの潜水艦がある海中に向けて一斉攻撃を加えた。


「・・・これでまだ生きてたらァ、あいつらァ運が良かったんだと諦めるしかないねェ〜〜〜」


ハンコックは、ルフィの追跡を続ける為に軍艦1隻を出してマリンフォードを離れ、ミホークも「白ひげと戦うことは承諾したが、赤髪は協定の範囲外だ」と、そう言い残してその場を後にした。


「マルコ。これ以上応戦するな、大人しく手を引け」
「ッ・・・赤髪・・・」
「これ以上欲しても両軍被害は無益に拡大する一方だ!!!まだ暴れ足りねェ奴がいるなら、来い!!!おれ達が相手をしてやる!!!」


海軍兵士達は、この先四皇と対峙するなど出来るわけもなく立ちすくんだ。
最後にシャンクスは黒ひげこと、ティーチに視線を向ける。


「どうだティーチ・・・いや"黒ひげ"」
「・・・・ゼハハやめとこう!!"今"欲しい物は手に入れたんだ。お前らと戦うにゃあ・・・まだ時期が早ェ!!!」


部下たちを連れて、マリンフォードを立ち去っていく黒ひげ海賊団。
・・・この先、黒ひげ海賊団がこの海において重要な脅威となることは目に見えていたが、センゴクはその背を黙って見送った。


――静まり返ったマリンフォードに、シャンクスの声だけが響いた。


「全員――この場はおれの顔を立てて貰おう」


落ち着きを取り戻した白ひげ海賊団の者達は、改めて深い哀しみと喪失感に襲われながら、体を引きずるようにして退却を始める。

――戦争に勝利した海軍にも喜びはなく、えもいわれぬ虚無感と取りこぼしたものの大きさに脱力したように、負傷者の手当てを始めた。


「"白ひげ"、"エース"・・・二人の弔いはおれ達に任せて貰う。戦いの映像は世に発信されていたんだ・・・これ以上、そいつらの死を晒す様なマネはさせない!!」


一部の海軍幹部は「この二人の首を晒してこそ、海軍の勝鬨は上がるのだ」とシャンクスの言い分に反対したが、センゴク元帥が制止する。


「構わん!!お前なら・・・いい。赤髪、責任は私が取る」


センゴクが決めた事に海軍幹部も何も言えなくなる。


「戦争は・・・・終わりだァ!!!!」」



――かくして"大海賊時代"開幕以来、最大の戦い"マリンフォード頂上戦争"はここに幕を閉じ――歴史に深く刻まれた。





   



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