EPISODE.12



エースが解放された事により海賊たちに希望が見え始めた。

最初はうろたえた海兵たちも任務を全うするため、エース達が降り立つところに向けて砲弾を向け――ルフィとナマエを掴んでいたエースは「一旦バラけるぞ!」と指示し、頷いたルフィは持っていたMr.3を遠くへ投げ飛ばし、エースから離れた。
ナマエも邪魔にならないよう離れようとしたが――エースにぐいっと腕を掴まれ引き戻されてしまった。


『わっ』
「ったく・・・何かあってもおれに構うなって言っただろ?」
『そ、そういう訳にはいかないよ。エースは私の』


お兄ちゃんなんだから、と言おうとした言葉はどこかへ消えてしまった。エースの左腕に強く引かれナマエの顔がその厚い胸板に押し付けられたからだ。
苦しい、と暴れるナマエを見て笑みをこぼしたエースは「あとでたっぷりとお説教だな」とナマエを片手で抱きしめたまま、空いた方の手で足元にいる海兵らに狙いを定める。


「炎戒――火柱ァ!!」


炎を身に纏ったエースはナマエに炎が当たらないよう細心の注意を払いながら、地面に向けて巨大な火柱を放つ。その爆風と炎によって地面で待ち構えていた海兵は一斉になぎ払われ、空中でナマエを横抱きにすると誰もいなくなった地面に降り立つエース。
続くように上空からルフィ、そしてMr.3も着地をし(Mr.3は失敗していたが)、燃え上がる炎から出てくるエースの鋭い瞳に思わず後ずさる海兵たち。

――さすが白ひげ海賊団の2番隊隊長を務めるだけあって、その力は想像以上のものであった。


「・・・戦えるか?ルフィ」
「もちろんだ!」
「お前たちに助けられる日が来るとは・・・夢にも思わなかった。二人ともありがとう」
『わ、私は何も・・・ルフィのおかげだよ』
「ニッシシシ!白ひげのおっさん達が助けてくれたからな!」

「助かった気になるな!ここがお前らの処刑場だ!!」


――周りを囲む海兵が一斉に襲撃する。しかしゴムで出来た身体のルフィは弾を弾き返し、エースもナマエも自然ロギア系の能力者なため銃弾は当たらず、通り抜けていく。


「ッ怯むなァア!」
「叩っ斬ってやる!!」

「ナマエ、口閉じてろ。舌切んなよ?」
『え・・・?』


武器を持ち、襲い掛かる海兵たち。左右から刀を向けてくる海兵に口角を持ち上げたエースは何を思ったのか、横抱きしているナマエをそのまま上空へと投げ飛ばした。

すかさずエースに向けて刀を振り下ろす海兵たちだったが自然ロギア系に通常の攻撃が効くわけもなく・・・斬った感触はあるものの斬れたのは炎と化した身体のみ。それもすぐに再生してしまう。


「大事な妹なんだよ。手出し無用で頼む。――火拳!!!」
「「ウワアァア!!!」」


海兵を倒すと同時に落ちてきたナマエを受け止めるエース。突然のことにナマエの顔は硬直したまま、やがて我に返ると怒ったようにエースを睨んだ。


『い、いきなりっ・・・・』
「悪い悪い!・・・ナマエ、おれから離れるんじゃねえぞ」
『!私だって戦える・・・!』
「月が出てなきゃ使えねえだろ、お前の力は」


そう会話している間にもギア2に入ったルフィは戦闘態勢に入ると周りの海兵を倒していき、エースも援護に入る。雲さえなければ、月さえ出ていれば自分も少しは加勢できるのだが・・・自分の非力さが歯痒く、恨めしそうに空を見上げるナマエ。

――息の合ったルフィとエースの戦いに白ひげ海賊団は希望を笑みを浮かべると3人を逃すための道を作り、海兵たちをどんどんなぎ倒していく。

出来た逃げ道を走りながらエースは隣を走るルフィを見て、微笑んだ。


「――強くなったな、ルフィ」
「へへ!いつかエースも越えてみせるさ!」


小さい頃はすぐ泣いて、エースやナマエにすがりついていた弟ルフィの成長が嬉しく、エースの言葉にルフィも嬉しそうに微笑んでそう言った。

そんな3人の退路を絶ったのは――先ほどダイヤモンド・ジョズを倒した大将クザンであった。


「明日もねェのに『いつか』って・・・こっから逃げられるわけねェじゃねェの」
「――ルフィ、下がってろ。ナマエを頼んだぞ」
「分かった!」


クザンは氷、エースは炎を身に纏い、二人の壮絶な戦いが始まる。

二人の戦いに巻き込まれぬようルフィはナマエを自分の背に隠し、強い爆風が辺りを襲った。


「あ、青キジさんの氷が一瞬にして消えた・・・!」
「ふっふっふ・・・うちの2番隊隊長だぞ・・・あのくらい当然!」





   



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