EPISODE.11



橋を駆け上がるルフィとナマエを戦場にいる全ての者達が固唾を呑んで見つめた。
大将達は白ひげ海賊団の隊長達と競り合っているため、間に合いそうにない。

あともう少しのところで二人の前に立ちはだかったのは――海軍の英雄、ガープだった。


「ここを通りたくばわしを殺してでも通れ!!!"麦わらのルフィ"!!」
「!!」
「それがお前達の選んだ道じゃァ!!」
「ジジイ・・・!」
『おじいちゃん・・・!』
「いやだァ!!!できねェよじいちゃん!!!どいてくれェ!!!」


「強い海兵になれ」と自分達を鍛えていたのに、それを裏切って進んだ海賊への道。


「できねばエースは死ぬだけだ!!!いやな事などいくらでも起きる!!わしゃあ容赦せんぞ!!ルフィお前を敵とみなす!!」
「!」


ルフィが懇願するもガープは一切退こうとせず・・・咄嗟にルフィはナマエの胸を押し退けると覚悟を決め、ギア2を入れる。


『ルフィ!おじいちゃん!』
「!」


「「うおおおおおお!!!!」」


――ルフィとの戦いを前に、ガープの脳裏を横切ったのはエースの「今になって命が惜しい」という言葉だった。生きる意味、生きる喜びを知ったエースに新しい世界で生かしてやりたいという親心がよぎる。

・・・ガープは目を閉じ、ルフィのパンチを顔面に喰らって吹っ飛んでいった。
孫と祖父のその戦いを黙って見守っていたセンゴクは「貴様も人の親だ」と歯を食いしばった。



吹き飛んでいく祖父の心配をするナマエにルフィは「行くぞナマエ!!」と手を差し伸べ、地面に倒れるガープと処刑台にいるエース、交互に見やったナマエは意を決したように頷き、ルフィと共に階段を上がっていく。


――さっきの衝撃か足元が崩れ始め、バランスを崩しながらも二人は漸く・・・処刑台の上へと足を着いた。


「ハアッ、ハアッ・・・・・・やっと・・・やっと・・・辿り着いたぞ!!」
「ナマエ・・・ルフィ・・・ッお前たち・・・っ」
『っエース・・・!』


ナマエは目に涙を浮かばせながら強く強くエースを抱きしめた。エースも抱きしめ返したいところだが手錠のせいで自由が利かず、それを見て何かを思い出したのか、ルフィがズボンのポケットから一つの鍵を取り出した。
その鍵は争いの中、ハンコックから貰った手錠の鍵だった。これさえあればエースを救う事が出来る。

急いで手錠の鍵を外そうと試みるルフィだったが、それをセンゴクが黙って見過ごすわけがない。隣で目を鋭くさせたセンゴクは能力を解放し神々しい光を放ちながら、巨大化した。


「私から逃げられると思うなァ!!」


センゴクに気を取られているうちに、どこからともなく飛んできたボルサリーノの光線が、ルフィの持っていた鍵を破壊してしまう。
海楼石で出来た手錠は能力者には触れる事すら出来ず、今この場にいるルフィもナマエも能力者であり成す術が無かった。

せっかくエースのところまで辿り着けたというのに・・・何か策は無いのかと悩む暇もなく、センゴクがその拳を振り上げる。・・・するとその時、気を失っていた処刑兵のうちの1人が立ち上がった。


「ううっ、いきなり気を失ってしまったガネ」


その処刑兵はルフィと共にやってきた元バロックワークスのMr.3であった。
何故彼がここに、という疑問もすぐに考えられなくなる。センゴクの大きな拳が目前に迫ってきているのだから。


「ッナマエ!バリア張ってエースを守れ!」
『!う、うん!』


ルフィは自分の親指から空気を入れ、身体に空気を入れて膨らませセンゴクの拳をゴムで受け止めた。


巨大のギガント風船!!!」
月の壁ムーン・ウォール!』


衝撃に巻き込まれないよう、ナマエは自分とエース、そしてMr.3の周りに光のバリアを展開する。
エース達は無事だったものの、その衝撃に耐え切れなかった処刑台が先に崩れ、そこにいたナマエ達が落下していく。センゴクの攻撃を受け止めたルフィは副作用で身体が子どものように縮んでしまっていた。

落下している最中、下で構える海兵らは大砲、武器をそれぞれ所持し、すでにこちらに狙いを定めて居る。落下しながらも態勢を整えたナマエが再び月の壁ムーン・ウォールを張るが、月の力が弱くどこまで耐えられるか分からない状態だった。


「ッ鍵を作る!すぐに錠を外すのだガネ!!」
「分かった!!」
「私がここにいる理由が・・・亡き同胞への弔いのためだとしたら貴様、私を笑うカネ!!」
「笑うわけねェ!!!」
「ッ兄を救え!!麦わら!!!」


Mr.3がロウで作った鍵がルフィの手に渡ったとほぼ同時、海軍達の放った砲撃が、ルフィ達を襲う。
海楼石で能力を封じられた生身のエースには耐えきれない量の砲弾・・・その場にいた全員が息を呑んだ――刹那。


砲弾の爆炎の中から、炎のトンネルが立ち上がる。


「ッお前たちは・・・昔からそうさ。ナマエ、ルフィ・・・おれの言う事もろくに聞かねェで無茶ばっかりしやがって!!!」


間一髪のところでMr.3が作ったロウの鍵でエースの手錠を外す事ができ、エースのメラメラの実が発動した。
赤く燃え滾る炎の中・・・エースは傷だらけの妹と弟の姿を見て困ったように笑い、そしてその笑顔を見たナマエ達も涙を流しながら笑った。


「『エース!!』」





   



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