EPISODE.08



「ナマエ・・・ッ何で、どうしてお前まで・・・!」


――エースの漆黒の瞳に映る最愛の妹の姿・・・ナマエは、今だ信じられない現実に愕然とするエースを見上げ、漸く目を合わせる所まで来れたと安堵の笑みを浮かばせた。


「ナマエ!」
『!ルフィ』


喜びを隠し切れないルフィは思わずナマエに抱きついた。久しぶりの再会に話したい事は沢山あったが、此処は戦場・・・先ずはエース救出のほうが先だ。
傷だらけのルフィをみたナマエは「じっとして」と、ルフィの額と自分の額をくっつけ、静かに瞳を閉じる。

するとルフィの身体が淡く光り始め、みるみるうちに切り傷など軽い怪我を癒していった。――治癒能力はあくまでも対象者の自然回復を一定の時間早めさせるだけで、本来治らないものに限っては治せる訳ではない。


『今はこれくらいしか出来ないけど・・・傷を癒しただけで、体力が戻ったわけじゃないからね』
「ああ!十分だ・・・さんきゅー!ナマエ!」

「おー、そんな力もあったのかァ」
「『!』」
「お前のじいさんは恩人だが・・・仕方ねェよな。男一匹選んだ死の道」


クザンが氷槍を持って再び二人に襲い掛かる。
ナマエを守るようにして前に立ったルフィが反撃しようと身構える――が、上空から青い炎を身に纏った不死鳥マルコが現れ、クザンに攻撃を仕掛けた。

ルフィはその間にエースの元へと向かおうとするが、ボルサリーノが光の粒子となってルフィの前に立ちはだかり、遠くに蹴り飛ばされてしまった。


「うわあああl!」
『ルフィ!』

「・・・構えろ!」
『!』


ルフィを振り返った瞬間、頭上からセンゴクの声が聞こえ・・・処刑台を見上げればそこには薙刀を振り上げる処刑兵の姿。


「・・・やれ!」
『エース!!!!』


その場にいた全員の視線が、エースへと向けられる。隣にいるガープは歯を食いしばるようにして目を瞑った。

刃先がエースの首元まで下ろされた――刹那。どこからともなく出てきた"砂"が二人の処刑兵を襲い、遠くまで吹き飛ばされていく。


「誰だ!?」
「・・・ふん」
「貴様ァ・・・白ひげに旧怨あるお前は我らに都合よしと思っていたが・・・ックロコダイル!!」
「あんな瀕死のジジィ後で消すさ、その前にお前らの喜ぶ顔が見たくねェんだよ!」


元々敵であったクロコダイルがまさかエースを助けてくれるとは思ってもなく、大きく目を見開かせたルフィ。

クロコダイルから底知れぬ怒気を感じ取ったセンゴクは口を閉ざす。・・・するとどこからともなく飛んできたドフラミンゴがクロコダイルの首を跳ねる――が、すぐに砂の能力によって首は元に戻り、クロコダイルとドフラミンゴの戦いが始まった。


「ッなんだかよく分かんねェけど、助かった・・・!ナマエ!行くぞ!」
『う、うん!』


ルフィの包囲壁突端をきっかけに、4人の能力者が岸に上がったことになる。・・・白ひげはこのチャンスを逃さなかった。リトルオーズが鉄壁の包囲壁の一部を阻害した事と、ルフィの無鉄砲な突撃の機会を勝機とみて指示を出した。


「オーズ、そこにいろ!!お前の力が必要だ!!!ジョズ、"切り札"だ!!全員準備を・・・広場へ突入するぞ!!!」


その号令を機に、海中からもう一隻の白ひげ海賊団のコーティングされた外輪船バトルシップが浮かびあがってきた。海面に投げ出されていた海賊達は、皆この船にしがみついて乗り込んで行く。

・・・外輪船バトルシップはまっすぐにリトルオーズに向かって突き進み、リトルオーズがその船を持ち上げて包囲壁を一気に乗り越えて海賊達を湾内に入れた。これにはさすがのセンゴクも驚き、怯んだ。


「・・・やられたな、わずかなネズミの穴一つ!!抜け目なく狙ってきおった!!!包囲壁はわしらの障害になりかねんぞ・・・!」


ガープの言葉に唇を噛み締めるセンゴク。エースの姿を間近に見た海賊たちは口々にエースの救出の雄叫びをあげた――が、立ち上がったリトルオーズは海軍からの集中砲火を浴びてしまい、倒れてしまった。


「ッエーズ、ぐんを・・・っかなら、ず・・・!」
「オーズ・・・!!」


倒れたオーズに無言で背を向けた白ひげは広場へと降り立つとその手の薙刀を一振りし、広場にいた力の足りない海兵達が一気に吹き飛んだ。


「野郎共ォ!!エースを救い出し!!!海軍を滅ぼせェエェェェ!!!」



白ひげのその号令に、海賊達は士気を一気に高めた。

――白ひげの腹部からは血が流れており、かなりの重傷を負ってしまっているというのにこの破壊力・・・これには、センゴクも覚悟を決めねばならなかった。


「ガープ・・・こりゃあおれ達も・・・タダじゃあ済まんぞ・・・!」




   



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