EPISODE.06



ルフィ一行が来たことにより、更に活気づく白ひげ海賊団。
勢いは留まる事を知らず海兵らを倒していく――が、海軍の戦力は衰えたというわけでもない。計画も罠も関係ない、ただエースの元に一直線に突き進むだけのルフィは元からの怪我もあったが、だいぶ疲労が溜まっているのか普段なら避けられそうな攻撃も食らってしまい、海賊達の先頭をきることもありリトルオーズ同様に海軍の総攻撃を受けてしまう。

怪我が増えていく弟の姿にエースは懇親の力を込めて、ルフィに向けて叫んだ。


「来るな――ルフィ!!」
「!?」
「ッ・・・分かってるはずだぞ!おれもお前も海賊なんだ、思うままの海へ進んだはずだ!おれにはおれの冒険がある・・・おれには、おれの仲間がいる!お前に・・・立ち入られる筋合いはねェ!!」
『(エース・・・)』
「お前みてェな弱虫がおれを助けに来るなんて、それをおれが許すとでも思ってんのかァ!!ッこんな屈辱はねェ・・・ッ帰れ、ルフィ!何故来たんだ!」


――その言葉は、どうしてもルフィに届いて欲しかった。自分の失態によって起きたこの騒動に、弟まで道連れにするつもりはなかった。もしこれがルフィではなくナマエだったとしても・・・恐らく同じ言葉を投げかけていただろう。

しかしエースの懇願も無視し、ルフィの足は止まらない。


「おれは弟だ!!!!!」
「!!」
「海賊のルールなんておれは知らねェ!」
「っ分からず屋が・・・!」


兄弟の盃を交わした血の繋がらない・・・だけどルフィにとっては世界で唯一の兄弟だ。
ルフィの叫びに思わず手を止めた海兵。
弟と名乗ったということは、必然的にルフィがゴールド・ロジャーの息子――今はまだ捕まっていない、双子のうちの一人になる。麦わらのルフィがもう1人の息子だというのか、世界が騒然となったその時・・・再び電伝虫を手に取ったセンゴクが口を開く。


「そいつはゴールド・ロジャーの息子ではない!・・・だがその男もまた未来の"有害因子"!!幼い頃エースと共に育った義兄弟であり、その血筋は・・・"革命家"ドラゴンの実の息子だ!!!」


これには再び戦場と、各国の一般人達がざわめき動揺し、ルフィを知る者達はその血筋に納得した。


「もう隠す意味はないわ・・・ルフィはすでにそんなレッテル物ともせん程の無法者・・・兄弟揃って大馬鹿もんじゃ・・・!」

「エース!!」
「!」
「好きなだけ何とでも言えェ!おれは死んでも助けるぞォオ!!!」


目の前に聳え立つ巨人兵を、意図も簡単に殴り倒すルフィ。
その姿を見て不適に微笑んだ白ひげは側にいたマルコに「アレを死なすんじゃねェぞ」と、白ひげもまたルフィに未来を懸けた瞬間であった。





*


エースは処刑台の上で、身動きのとれない体で苦悩した。
自分一人の身勝手さで、大勢の仲間が、尊敬してやまない白ひげが、守るべき弟の命を危険に晒している。彼等は皆、命を捨てる覚悟が出来ている・・・。

暫くしてエースは、パチッと目を開くとゆっくりと頭をあげて、目の前の現実をまっすぐに見て言った。


「・・・もうどんな未来も受け入れる。差し伸べられた手は掴む!!おれを裁く白刃も受け入れる・・・もうジタバタしねェ、みんなに悪い」


死に直面した若き人のその言葉を、ガープとセンゴクは黙って聞いた。エースの目の前の現実は、悲惨なまでに激化し、混乱を極めていた。


『・・・!』


一方のナマエも、あともう少しという所で体が光に包まれる。なぜなのか、まだあれから1時間と経っていない。
まさかと思い空を見上げてみると先ほどまで快晴だったはずの空が今は灰色の雲に覆われ、月が今にも隠れそうになっているではないか。もってあと5分・・・10分、というところだろうか。


『(っエース!)』


――海軍は、湾の外側を戦桃丸と大量の「バーソロミュー・くま」で塞ぎ、海賊達の退路を塞いだ。バーソロミュー・くまという同一人物が大量にいるという事態に海賊達も、中継を見ていた市民達も驚いた。

戦争は急速に流れを変え、最終局面へと一気に雪崩れ込もうとしている――。



   



戻る
















×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -