EPISODE.18



「ジンベエの操舵技術、ホンットにすごいのよ!」
「サニー号でサーフィンしたんだぞ!」
「!そうか・・・やっと夢の船の本領を引き出す男が現れたか!」
「この舵を握るたびに思う・・・まっこといい船じゃ!」
「ありがとな!よし・・・・・・乾杯すっか!」


フランキーの言葉に一同は賛成するように頷いた。ジンベエの加入を祝って乾杯だ、と声を上げるルフィだが・・・両鼻にティッシュを詰め込んだサンジが口を挟む。今、サニー号には酒など積んでいない、と。
するとスンスンと鼻を動かしたゾロが「酒の匂いがする」と言って、指を指した方角には――鬼ヶ島があった。その手前には大きな鳥居で出来た要塞が待ち構えており、たくさんの砲台まで用意されてある。

目を輝かせたルフィは「食い物の匂いもする!」と身を乗り出すと、操舵手のジンベエに要塞に向かうよう指示を出した。


「・・・百獣海賊団はなかなかいい酒を揃えているみたいだな」
「おいルフィ、ほんとに突っ込むのか?」
「要塞だぞ?あそこは」
「どっちにしても邪魔なもんはぶっ飛ばす!酒もカイドウの首もおれが貰う!」


サニー号に気付いた要塞から、いくつもの砲弾が飛んでくる。サニー号はジンベエの操舵により大きく揺れ、放たれた砲弾を全て避けながらも前進した。

フランキーはジンベエに言われた通り、要塞に向かってサニー号の錨を投げ、錨は弧を描いて要塞の鳥居に突き刺さる。錨のロープを巧みに使って強引ながらも要塞に突破する事が出来た麦わらの一味はすぐさま上陸し、待ち構える門番兵を次々と薙ぎ払っていった。――ナミ、ウソップ、チョッパーを除いて。


「し、死ねェぇーー!!」
『っ、!』
「ぐええーっ!?」


襲い掛かる門番兵は、素顔を露にしたナマエに頬を赤らめながらも次々と襲い掛かってくる。けれどナマエは全ての攻撃を見聞色の覇気で避けかわし、反撃していった。
――もはや敵に正体を隠す必要はなかった。カン十郎が内通者だとするとナマエの存在はすでにカイドウ側にもバレているのだから。


「ナマエちゃん・・・戦う姿も美しい・・・!!」


戦場で戦うナマエを遠目で見ていたサンジだったが、離れていてもまだ刺激が強いのか鼻に詰めていたティッシュが真っ赤に染まってしまったのはいうまでもない。

戦いの最中、ナマエは雲の隙間から見えた太陽の兆しを見つけると口角を持ち上げ、鳥居を足場に空高く舞い上がった。――同じようにルフィも高く飛ぶとナマエと並び、二人は背中合わせに、ルフィは拳を、ナマエは両手をかざして構える。


「ゴムゴムの――!」
『集え星の力――!』

火拳銃レッドホーク!!」 「銀河星団コスモメモリー!!」


ルフィの炎の爆発を伴った攻撃と、ナマエの手の中に集まった月と星の力が合わさったエネルギー波は要塞にトドメを刺した。
ルフィとナマエは地上に着地するとお互い目を合わせ、ニッと笑ってハイタッチをする。

――鳥居の門番は全滅し、敵が全員いなくなったのを確認するとそれまでサニー号で身を隠していたウソップ達が姿を現した。


「よーしお前ら上出来だ!」
「まずまずね」
「ぼちぼちだ!」
「「「みんなお疲れさん!」」」

ちょっとは手伝えおめェら!!ったくしょうがねぇな」
「うほー!乾杯だァー!!」


門番兵もまさかルフィ達がここまでやって来るとは思ってなかったのだろう。
鬼ヶ島と同様に要塞でも宴会が開かれていたのかゾロの言っていた通り、辺りにはたんまりと酒が用意してあり、ルフィのお目当ての料理も並んでいる。
目を輝かせたルフィはすぐに目の前の肉に食らいつきながら、遠くからやってきた錦えもん達の船に手を振った。


「おーい錦えもんー!敵がいたー!ナハハッ」
「おう、みんな追いついてきたか」


ゾロが瓦礫の中から見つけてくれた酒樽を中心に、ジョッキが皆に配られる。


「我が一味待望のスーパー操舵手に乾杯だ」
「時間があれば1曲いきたいところですね、ナマエさん!」
『うん、ほんとに!』
「ハハハ!こんな愉快な固めの盃は初めてじゃな!」

「ジンベエ!――待ってたぞ!」


ルフィの言葉に、ジンベエも強く頷くと麦わらの一味を見つめた。


「わしもお主らと共に海を行ける日を心待ちにしておった」
「にししし!よーし!用意はいいか?お前ら!」


一同は持っていたジョッキをルフィへ向ける。大きく息を吸い込んだルフィは、リズムに乗ってジョッキを構えた。


「ジンベエの〜ウチへの加入を祝して〜」

かたじけない、ルフィ殿!!迅速なる関門突破・・・感謝いたす――!
「ん?」


全員のジョッキが重なろうとした、その瞬間――どこからともなく響き渡る錦えもんの声。思わず手を止めたルフィが振り返った先には、大きな水飛沫をあげて、ローの海賊船を先頭に海の上を駆け抜ける全船・・・侍たちの姿があった。

難関だった要塞が制圧された事により、侍たちの士気は一気に上がったのだ。


「こりゃ一気に鬼ヶ島まで上陸するぞ」
「だ、だったら俺たちも乾杯済ませてさっさと合流しようぜ!」
「・・・・・・やめだ!」


突然、持っていたジョッキを床に叩きつけたルフィが嬉しそうに叫ぶ。


「あいつらとやろう!」
「「はあ!?」」
「宴も、乾杯も!カイドウぶっ飛ばしてよ!オロチもビッグ・マムもぶっ飛ばしてこの戦いに勝って――今までで一番でっけぇ宴をやろう!!」


はあ、と呆れたようにため息を吐くナミとウソップ。ナマエはロビンと目を合わせると笑い合い、ゾロ達も笑みを浮かべていた。


「まったく・・・あんたが言い始めたんでしょ。ホンット勝手なんだから!」
「ナミさんの言うとおりだぜ!」
「そうか?」
「まあいつもの事だ」
『あはは、ルフィらしいね。でも・・・主役のジンベエの意見も聞かないと」
「――うむ。わしの答えは決まっとる!」


ジョッキを高く上げたジンベエに続くように、ナマエ達も顔を見合わせると同時にジョッキを高らかに上げ、


"のったーー!!!"


と、ルフィ同様にジョッキを地面に叩きつけた。
ジョッキから溢れ出たお酒は、雲の隙間から照らし出された太陽の光によってキラキラと宝石のように輝き、満面の笑みを零したルフィは、仲間を連れてサニー号に乗り込むとすぐさま、鬼ヶ島に向かって出航をした。


「行くぞお前ら!侍たちに続けーー!!」
"おう!キャプテン!!"



   



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