EPISODE.15



"私は大昔・・・"

『・・・っゾウは大昔に、罪を犯し、ただ歩く事しか許されていない、・・・ッ』
「命令に、従い続けている・・・!ッだから・・・!!」


"だから一度だけ・・・許可をくれ・・・!命じてくれ・・・戦え、と・・・!"

「『!!』」


砲弾によって足の、しかも同じ部分ばかり狙われ続けている象主ズニーシャ。しかし限界が来ているのか体は傾き始め、その場にいる全員は真っ逆さまにならないよう近くのものに必死にしがみついた。


"一度だけ・・・許可を・・・!"

「ッゾウが、許可を求めておる・・・!戦えと、命じてくれ、と・・・!」
「!象主ズニーシャが・・・!?」
「錦えもん、カン十郎、拙者、どうすれば・・・!?」


問いかけるモモの助だが、それは錦えもん達にも分からなかった。するとルフィが、困惑するモモの助に声を上げる。


「ッモモ、ナマエ、お前達が言え!お前達の声なら届く気がする!」
『!』
「!し、しかし・・・!」
「ゾウがやられたらオレ達みんな海の底だぞ!」
「しかし!どんな大声を出せば・・・!?」
「いいから叫べ!!!ゾウが死ぬぞ!!!!」
「ッ・・・!!」


声は聞こえるものの、ルフィには象主ズニーシャが見せる光景までは見えなかった。それが何を意図としているかは分からないが・・・恐らく象主ズニーシャはナマエとモモの助に助けを求めているのだ。

どうすればいいか分からず、ナマエに視線を向けるモモの助。その視線に気づいたナマエは頭を抑えながらも小さく頷くと、渾身の力を込めて空に向かって叫んだ。


『負けないでゾウ!!!倒れちゃダメ・・・!!!』
「!ジャックを・・・・・・ジャックを追い払ってくれーーーー!!!!!


"・・・!承知した!!"


「「『!!』」」


その声はハッキリとルフィ、ナマエ、モモの助の頭に届いた。・・・その声を最後に揺れは徐々に収まっていき、やがてさっきの騒動が嘘のように静まり返る。一体何が起きたというのか・・・ナマエとモモの助も、象主ズニーシャが見せていた光景はすでに見えなくなっており、声も聞こえなくなった為に分からなかった。

すると緊張の糸が解れたのかモモの助は意識を失うように眠ってしまい、慌てて体を支える錦えもん。さすがのナマエも疲れたのか、ローに『ごめんね』と謝りながらローに体を預け、小さく息を吐く。


「大変でござる〜〜!!!報告、報告でござる〜〜!!!」


森の奥からモコモ公国の門番猿、バリエテが血相をかいて現れる。バリエテの報告とは、つい先ほどまで象主ズニーシャの足を砲弾で集中砲火していたジャック達の海賊船が、象主ズニーシャの鼻によって全艦、一撃で沈められたというのだ。


「このゾウすげェな!?」
「なんという事だ・・・象主ズニーシャの意思など考えた事もなかった。ましてや話が通じるとは・・・」
「・・・おでん様はモモの助様のこの力を知っておられたのか?しかしまさかナマエ殿まで同じ力を・・・・・・?」
「な、なあ!ジャックは能力者なんだろ?海に落ちたんなら、もう・・・!」
「ニャンニャ!死んだっちゅうことぜよ!」


ネコマムシの言葉にホッと胸を撫で下ろすウソップ。


「おーい!どうした!?まだ深刻な顔して」
「突然の出来事に呆気に取られておるのだ」
「まずジャックがなぜここへ来れたがかを突き止めにゃ・・・ここはもう安全じゃのうなるぜよ」
「そっか!まあ、上手くやれよ。ひひっ、このゾウも味方になったらすげぇな?」
「気楽な!ゴロニャーニャ!」


ルフィの陽気にあてられたのか、それまで真剣な表情だったネコマムシも笑顔を浮かべた。ニシシッと笑い返したルフィは「ナマエはまだゆっくりしてろ」と言って持っていた大きなリュックを出し、キャロットの案内で食糧庫から食料を調達しにいった。

――他の者たちは準備に取り掛かり、早速錦えもんはネコマムシに作ってもらったビブルカードをそれぞれの"チーム"に配った。

元白ひげ海賊団一番隊隊長不死鳥マルコの探索を担うネコマムシチーム、そしてゾウに残り後に合流するイヌアラシチーム、サンジを取り戻すためホールケーキアイランドへ向かうルフィチーム、ワノ国に戻り同志を増やし作戦を練りながら皆を待つ錦えもんチーム。

この忍者海賊ミンク侍同盟の目的はワノ国の将軍及び、四皇カイドウの討伐である。


最終確認と準備を終え、一足先に出航することになったルフィ達を見送りにゾウの正門へと集まる一行。ルフィチームにはペコムズとそしてもう一人、ペドロもついていく事になった。


「結局こっちは6人か・・・なあなあー、本当にナマエ来ねえのかー?」
「ペコムズが言ってたでしょ!ビッグ・マムもナマエを狙ってる、って。わざわざ危険な目にあわせるっていうの?」
「そん時はおれが守る!」
アンタが一番不安なのよ!!


ゴンッ、と鈍い音が響き渡る。ナミに殴られたルフィは不服そうに唇を尖らせ、苦笑いを浮かべたナマエはルフィの手を取ると、プレゼントしてからずっと肌身離さず付けてくれている数珠のブレスレットに触れた。


『無茶しちゃだめだからね。ナミ達の言う事、ちゃんと聞くんだよ』
「にししし!分かってるって」


ワノ国で待ってるから、とそう言ったナマエはナミ達にも気を付けるよう伝え、ミンク族達とも別れの挨拶をしたルフィはカン十郎が降りる手伝いをしようと筆を持ち構えた・・・が、ルフィは首を左右に振ると両腕をめいっぱい伸ばし、それを隣にいたナミ達全員に巻き付けはじめた。
全員を抱きしめた状態でニシシと笑みをこぼしたルフィは「じゃ行ってくる!」と言って、なんと・・・そのまま後ろに向かって落ちて行ったのだ。

ルフィに抱えられていたペドロは驚愕、ナミは涙を流しながらこちらに手を伸ばし、チョッパーやペコムズは気を失う寸前、ブルックはすでに口から魂が出かけており・・・それを目の当たりにしたミンク族達も驚きの声を隠せなかった。


「サンジの事は任せとけ!ワノ国で会おう!!」
「おう!」
「ビッグ・マムには見つかるなよ!相手は海の皇帝だぞー!!」
「ああ!行ってくる!!」
『頑張ってねー!!』

「いいいいいいいいやああああああああああぁぁあ〜〜〜〜〜!!!!!」


ルフィの突拍子もない行動に慣れているナマエやゾロ達は落ちていくルフィ達に手を振るのだった。











   



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