EPISODE.05



――此処は右腹の砦。
砦に招待された麦わらの一味は、ミンク族に歓迎されて宴の真っ只中であった。
食事を取りながら、ルフィはナミ達にナマエが仲間になったことを告げ、初めて会うルフィの仲間――ナミ、そしてチョッパーと挨拶を交わすナマエ。


「ナマエのこと、ルフィから耳にタコが出来るくらい聞いてたからなんだか初めて会った気がしないわね」
『そうなの?』
「ええ!でもまさかルフィのお姉さんがあの伝説の大海の歌姫セイレーンだったなんて驚きよ」
『ふふっ。ルフィのお世話するの、大変でしょ?』
「そうなのよ!この前も3日分詰め込んだ食料を一気に食べたの!しかも1人で!」


同姓だからだろうか・・・ナミとはすぐに打ち解ける事ができたナマエ。チョッパーとも、その愛らしい見た目に思わずその小さな体を抱きしめ、今もまだ腕の中にいたまま・・・けれどチョッパーも慣れているのか特に嫌がる素振りも見せるそのまま好物のわたあめを食していた。


「まァ飲みなされ自慢の猿酒。この森の豊かな木の実で作った酒じゃ」
「確かにこれはいけるが・・・・・・ッだァー!!!邪魔だおめェら!ジャレてくんな!!」
「えー!?ジャレようぜ!」
「ウッセー!甘ったれんな!!」


猿のミンクと酒を交わしていたゾロが怒鳴る。
ワンダ曰く彼らのしてくる"ミンクシップ"は友好の証らしく、多少の文化は違えど彼らが麦わらの一味に心を開いている証拠なのだ。
現にゾロだけではなく他の者達も他のミンク族に纏わりつかれており、パンダのミンクにモフモフされているナマエの顔は始終、幸せに満ちている。


「うめェー!これ何の肉だ?」
「カバ、トカゲ、ワニ、カエル!わたし達、毛のある動物は食べないの」

「あーーーーー!!!!」


突然聞こえてきた声の方に視線を向けてみれば――そこにはガイコツのブルックの姿があった。どことなく疲れた様子のブルックはルフィ達の姿を見るなり、安心したように涙を流し始める。


「み・・・み、皆さん!!はぁ・・・はぁ・・・ザ・安堵!!新聞読みましたよォ!!無事でよかった!!」
「ブルック!どうしたボロボロで!」
「ルフィさぁああん!サンジさんの件、申し訳ない・・・!合わせる顔がありません!元々顔面ないんですけど!!」
「あれ!?おいモモ一緒じゃねェのか?」
「!!シー!!!」


慌てた様子でウソップの口を塞いだブルックは、ルフィ達に召集をかけた。モモの助はミンク族が苦手で部屋に篭っているらしく、そしてこの国では"侍"や"ワノ国"という言葉を極力控えるよう、伝えた。もう暫くすれば錦えもんたちも頂上に辿り着く頃なのだが・・・。


「多くの人々を傷つけ・・・恨み、怒りを買うかもしれません」
「何で侍が?」
「それはまた追々・・・おや?あなたがルフィさんのお姉様ですか?」
『よろしく』
「わたくし、ブルックと申します。噂はかねがね・・・ヨホホ!噂に違わぬ美しさですね!パンツ見せてもらっても――」
「見つけたぞ!!死体男爵!!!」
「ハッ!!」


話の途中、扉を開けてやってくるのは狼のミンクだった。狼のミンクたちはブルックを見るなり嬉しそうに尻尾を振り、よだれを垂らし、そして一斉にブルックに襲い掛かった。襲い掛かる・・・といっても、ブルックを上から下まで甘噛みしているだけのようだが。


「死体ぃ・・・?」
「ああ・・・親しみを込めてそう呼んでる。正直驚いた・・・この世にあんな魅力的な種族がいるとは・・・わたし達、犬のミンクは・・・ほ・・・骨に目がない・・・」
助けてェエーー!!しゃぶらないでェー!!!
「・・・勝手にやってろ」
「そういえばトラ男はどうしたんだ?」
『ベポ達に会いに、クジラの森に行ったよ』

「ねえ、それよりどうするのよサンジ君のこと!!」
「だから手紙もあるんだろ?なんとかなるんじゃねェのか?」
「うーん攫われたわけでもねェしなァ・・・」
「そういう雰囲気でもなかったから深刻なのよー!!」


正直言えば、今来たばかりのルフィ達からしてみれば話の表面を理解するのでやっとであった。ナミたちとの最後の通信はビッグ・マムの船に出くわしたというところで、やっとゾウへ辿り着いたと思いきや都市は滅んでおり、ミンク族は敵かと思いきやその逆で、なぜか大歓迎される始末・・・ロビンはナミに、ドレスローザを出てから11日間、一体何が起きたのか――1から話してもらうことにした。


ビッグ・マム海賊団の船に乗っていた確認できた戦力は以前にルフィが魚人島で遭遇した2人組――ペコムズと、タマゴ男爵と、そしてもう1人――最悪の世代の1人、カポネ・ギャング・ベッジ。


「ベッジ?」
「彼らはビッグ・マムの傘下に入ったみたい。奴らの狙いはシーザーだったけど・・・シーザーも捕まる事を恐れてて・・・かといって正直逃げられる相手じゃないし、何もしなきゃやられるのは時間の問題だった」


風来クー・ド・バーストで逃げるにしてもコーラの量が足りず、サンジの作戦によってビッグ・マムの船体の一部を破壊する事に成功し、何とか撒くことが出来た。
そしてその翌日、丁度近くにいたゾウに辿り着く事が出来たナミたち。それは今から10日前の出来事だ。


「・・・わたしの見た範囲ではゾウの中心にある都市の最も古い破壊の痕跡が2週間と少し、経過していたわ」
「!その通り・・・!そして10日前、国はもうほぼ全壊していた。でもあの日――ナミたちがここへ上陸してきてくれたのは奇跡としか言いようがない。彼女たちの勇気とチョッパーの医学がなければ・・・っこのモコモ公国の全員が、成す術なく死んでいただろう・・・」
「!」


苦しそうにそう話すワンダ。・・・ワンダだけではない、他のミンク達も酷く悲しそうな表情を見せていた。


『まだ傷も癒えてない最近のこと・・・ムリに話さなくても・・・』
「いや、全て話そう。ゆティア達には全てを知る権利がある」

「みんなァーー!!!!」
「!」
「こ、公爵様が・・・!公爵様がお目覚めに!!!」


――血相をかいたナマケモノのミンクがそう叫ぶと、ワンダ含めた全員のミンクたちが涙を流しながら喜んだ。"公爵"とは一体、誰なのか――話は分からないが、ナマエの腕から飛び降りたチョッパーはリュックを背負うと医師であるヤギのミンク――ミヤギと、その助手であるリスのミンク――トリスタンを連れて慌しく部屋を飛び出していった。


「ワンダ!イヌアラシ公爵がぜひ恩人達にお会いしたい、と!」
「ああすぐに!ゆティア達、共に来てくれぬか?」
「いいけど・・・誰だ?イヌアラシって」
「モコモ公国の公爵様・・・つまり、この国の王だ!都市の消滅と共にずっと昏睡状態であった・・・もう1人の王も」
「!もう1人!?」
「ああ・・・この国には2人の王がいる。昼の王イヌアラシ公爵、夜の王ネコマムシの旦那――ゾウの国は2人の王によって守られてきたのだ!」



   



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