EPISODE.01



子分盃という異例の誓いを交わし、大宴会も大盛り上がりのうちに幕を閉じた。

ルフィたちはそれぞれの戦士達と別れを告げ、ヨンタマリア号からバルトクラブ海賊団の海賊船、"ゴーイングルフィセンパイ号"に乗って今、ゾウへと向かっている最中である。


――このゴーイングルフィセンパイ号という思いきった海賊船・・・名前だけではなく船自体にもかなりのこだわりがあり、船首にはルフィの銅像、ルフィたちが最初に持った海賊船ゴーイング・メリー号のオマージュ、木工職人に頼んでルフィのゴムゴムの腕を再現した湾曲型の船縁、船の後ろはチョッパーのオマージュ、ナミが大好きなみかん畑など・・・・・いかにバルトロメオがルフィ達を尊敬しているか手に取るように分かり、ウソップは「うちの船よりルフィが乗ってそう」と呟くのだった。

バルトクラブの船員は全員、バルトロメオと同じくルフィ達を神様のように扱っており、ルフィが自分たちの船に乗っているという現実に皆が大粒の涙を流し、ルフィ本人は「面白い奴らだな」と腹を抱えて笑った。


「それにしてもおれのビブルカード、サボが作ってくれてたとはな!」
『いつの間に作ったんだろ・・・』
「いやぁさすがはサボ大先輩!気も回るし強ェしなんて方だァ!」
「うん!」


ルフィは自身のビブルカードを見て頷く。別れ際、子分盃を交わした戦士たちが持っていったので半分ほど無くなっており、頼もしい仲間が出来たことに笑みを深めた。


「いやあー楽しい宴だったなァ・・・あいつら好きになった!」
「しかしサンジたち、ちゃんと島についてるかな?」
「ナミがいるから航行は問題ねェが・・・ビッグ・マムの船がどうなったか・・・」
「心配ね・・・」
「・・・ん?おいルフィ、どうやらおれ達懸賞金上がってるぞ」
「え!?本当か!?」
「あれま!ご存知ねがったですか!?んじゃおらの部屋に手配書あるんでどうぞどうぞ!」


新聞を読んでいたゾロの言葉をきっかけに船員たちが手を繋ぎ、部屋へと続くアーチが出来上がる。バルトロメオの部屋に入ってみると奥の壁には麦わら海賊団全員の手配書が丁寧に額に入れられて飾られてあった。
手配書の隣には先ほど書かされたサインの色紙も飾られてあり、興奮した様子でバルトロメオが声に出して懸賞金をそれぞれ発表する。


モンキー・D・ルフィ――5億ベリー。
ゾロ――3億2000万ベリー。
ニコ・ロビン――1億3000万ベリー。
フランキー――9400万ベリー。
ウソップ――2億ベリー。
サンジ――1億7700万ベリー。
ナミ――6600万ベリー。
チョッパー――100ベリー。
ブルック――8300万ベリー。


「そんでもってェ!!なんと!!今回の一件から晴れて麦わら海賊団になったナマエ様もォ!」
『・・・え?』


マリンフォードの一件以来、全国指名手配にされたことは知っていたが・・・懸賞金がある事すら知らなかったナマエは驚いたように顔を上げた。そこには何時の間に撮られたのだろうか・・・歌っている自分の写真が映された手配書があり、その下に記載されている懸賞金はなんと――。


「ポートガス・D・エース大先輩と同じ!!5億5000万ベリーだべえええ!さすがナマエ様だァ・・・!!!」
「ええ!?すげェなナマエ!おれより上じゃんかよ!」
「ナマエ様の悪魔の実の力は伝説級!さらに大海賊ゴールド・ロジャーの子どもにして、あのエース大先輩の妹ときたらこれでもまだ安いほうだっぺ!!」
『・・・エースと、同じ金額』
「はい!!ほらここに、エース大先輩の手配書もあるべよ!」


バルトロメオから渡されたエースの手配書を見てナマエは困ったように、しかしどことなく嬉しそうに笑ってみせた。まさかエースと同じ懸賞金がつけらていたとは思ってもいなかったのだ。・・・ナマエのその笑顔にバルトロメオ含めたバルトクラブ船員たちが見惚れて言葉を失ったのはいうまでもない。


「今回の事件に関係して際立った危険度を示した人たち以外は全員一律に5000万アップなんだべ!おら達も5000万アップ!・・・んだどもォ・・・ちょっとこれ見てけろ。黒足のサンジ先輩は額の上がり方も手配書も少しおかしいんだべ」
「ん?・・・生け捕りのみ・・・?」


他の手配書には"DEAD OR ALIVE"と書いてあるのだが、サンジと、ナマエだけには"ONLY ALIVE"と書かれているのだ。ナマエに至っては世界政府が、理由はまだ詳しくは分からないがキラキラの実の能力を持ったナマエの力を欲しがっているため生け捕りにしているというのは分かる・・・が、なぜサンジもそうなのか・・・。


「サンジのことだ、女の事で恨みでもかって直接攻撃したいってやつがいるんじゃねェのか?」
「ははっ!違いねェ!」


なぜサンジが"ONLY ALIVE"なのか――・・・一同が知るのは、もう少し後のことである。



*



ドレスローザ出航から約1週間・・・ゴーイングルフィセンパイ号は霧の深い、前の見えない航路を進んでいた。海賊だというのにバルトクラブの者達は船酔いに襲われており、マストにいた見張りの者が何かを見つけたのか、顔を真っ青にしながらも報告がされる。


「ボ、ボスー!2時の方向に何か見えます!」
「うッ・・・なにかってなんだべェ!?うええェ・・・」
「深い霧の中に・・・あれは山か怪物か・・・さ、さっきからゆっくり動いてるような・・・!」


ローはゾウにいる仲間のビブルカードを取り出した。するとそれは深い霧の方角に向いており・・・ゾウは深い霧と押し返す海流で侵入を阻む島だと聞いていたローはこのまま進むよう指示をし、急いで帆を畳みオールで漕ぐバルトクラブの船員たち。
暫く進んでいくと・・・目の前にはありえもしない光景が広がっており、全員が同じ驚いた表情で上空を見上げていた。

なんとそこには島ではなく本物の"象"の姿があり、その大きさは見上げても見上げても背中が見える事は見えないほどで・・・先ほど見えた山というのは象の足の部分だったのだ。


「トラ男・・・お前これ・・・っ象じゃねェか・・・!?」
「ああ・・・ゾウは巨大な象の背に栄えた土地の名だ」
「ええ!?生きてんのかこれ!?」
「常に動き続け一定の場所には存在しない・・・幻の島。陸じゃねェから記録指針ログポースでは辿りつかねェ・・・おれも来るのは初めてだ。背を向けてるってことは黒足たちはもうだいぶ早くついた可能性がある」
「わたし達は遠ざかるゾウを追いかけていたのね」


ゾウの島には人を嫌う種族――ミンク族が住んでいる。人を寄せ付けずその歴史は1000年近いといわれており、この海の上を歩く巨大なゾウも1000年近く生きているということになり、ルフィ達は度重なる驚きの連発にあんぐりと口を開くのだった。


「モモの助は無事であろうか・・・」
「・・・上陸の準備をしろ!」



   



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