EPISODE.05



「な、なに!?」


突然、船の周囲で湖ごと地面がまくれあがる。地割が走り、突きあげる振動にサニー号も大きく揺れた。

なにか巨大なものが下からぶつかってきたような衝撃・・・けど一体なにが――そんな疑問も一瞬で消え去った。宝島を包んでいたシャボンが突如として割れてしまったのだから。

シャボンの力を失った宝島は浮力を失い、それだけでなく最初の衝撃で地割れが生じた宝島は突きあげる海流アップストリームの水圧を直に喰らい、全面崩壊をはじめた。


『わ、わ!?』


こうなってしまったらお宝争奪戦どころではない。目の前で地面に亀裂が生じ、空に投げ出されるナマエたち。
さらに追い討ちをかけるように崩壊していく宝島に一隻の軍艦が"地上"から物凄い勢いで飛んでくるとそれは宝島の底に突き刺さり、大規模な爆発を起こした。


次々と起こる摩訶不思議な出来事に状況が追いつくことも出来ないまま、突きあげる海流アップストリームごと吹き飛ばされる宝島・・・。

まるで雨のように落ちていく宝島の残骸の中を、フライングモードのサニー号を励ましながら操縦するフランキー。


「うわああああーーー!!!」
『きゃあああーーー!!!』
「ッ・・・!ルフィ!ナマエ!」


宝島の真下にあった港・・・海に落下するルフィとナマエを見つけたゾロが、後を追うように海へと飛び込んでいく。

――万博島の中央港に宝島の残骸が降り注ぐ。宝島から落ちてきた海賊達は次々と海から岸へと上がり、その中にゾロの姿もあった。海から這い上がってきたゾロの両腕には海水によって力の抜け切ったルフィとナマエもいて、なんとか危機を乗り越える一同。


「大丈夫か2人とも!?」
「ひぐっ、死ぬかと、思ったァ・・・!」
『げほっ・・・・ありが、とう、ゾロ』

「信じられない!突然どこからか飛んできた"軍艦"がシャボンを突き破って宝島に命中!!爆薬が炸裂して宝島を崩壊ィー!!」


モデラートの実況はもはやメイン会場にいる者達にも、海賊達の耳にも届いていなかった。
宝島の残骸によってメイン会場も被害を受け、立ち並んでいた出店も催しもメチャクチャだ。皆が逃げ惑うなか、海賊王のお宝がどうなったのか・・・こんな状況だというのにさすがは仕切り屋のプロというべきか、確認するようにモデラートが辺りを見渡す。
最後に宝箱を手にしたのはバギーだったが、爆発のせいでその行方は謎のままだった・・・。


「ッ、だれだナメたまねを・・・!」
「!キッド」
「あァ!?」


キラーに呼ばれ、振り返ったキッドの視線の先には――1人の軍人のような男が立っていた。
軍服にたくさんの勲章徽章をつけており、海軍本部とは違う・・・どこかの国の兵士だろうか・・・。


「この海は、戦場だ」


軍人の野太い声が響き渡る。

その手には血まみれになった何かが掴まれており――起き上がったルフィが確認してみればなんとそれは、仲間のウソップであった。
ウソップはすでに意識を失ったまま、変わり果てた仲間の姿にルフィの表情が強張る。


「ッなにやってんだ、お前ェ!!」
『!待って、ルフィ!』


軍人のただならぬ覇気に慌てて呼び止めようとするナマエだったが、ギアセカンドになったルフィが蒸気を纏って飛び出す。
口角を持ち上げた軍人は掴んでいたウソップをルフィ目掛けて放り投げ、咄嗟にルフィが受け止めようとする――が、その一瞬の隙をついて一気に間合いをつめた軍人の拳がルフィの横顎を襲った。


「『っ、ルフィ!!』」


物凄い勢いで遠くまで殴り飛ばされていくルフィ・・・だがすぐに立ち上がる。武装色の覇気で軍人の攻撃を防いだつもりだったが、受けたダメージは想像以上に大きく、この時ルフィは直感した。


「・・・・トラ男をやったのは、お前だな」


その光景を遠くから見ていたバギーは、見覚えのある軍人の姿に愕然としていた。

ルフィと戦った軍人――ダグラス・バレットは、海賊王ゴールド・ロジャーの元船員で、鬼の跡目と呼ばれていた"バケモノ"だ。
その強さは、当時ロジャーの右腕と謳われていた冥王レイリーとタメをはるほどで、しかしバレットはロジャーが処刑された後にインペルダウンに放り込まれたはず・・・どのようにして逃げ出したというのか。
その真相は闇のまま、とにかく目の前にいるバレットの姿に、バギーは嫌な予感しかせずすぐにこの島から離れようと、仲間に告げようとした――その時だった。



キーン――・・・ザパァァアアン!!!!




万博島の四方八方から聞こえてくる砲声と、水飛沫の音。
今度はなにが起きたのだと同じ中央港の中でも高い場所にいたボニーが島の外に視線を向けてみれば・・・そこにはなんと、海軍の大艦隊があった。

いつの間にか島は海軍の軍艦によって完全包囲されており、響き渡る砲弾を合図に目の前にいるバレットが怪しげに笑みをこぼして言った。


「さァ、はじめようか!」



   



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