エピローグ
ウタワールドに閉じ込められていた人々は、全員無事に目を覚まし、それぞれの日常生活へと戻っていった。
心酔していた歌姫を失っても、歌声は残り続ける。歌姫の声は、困難な現実に立ち向かう人々の背中を押した。
希望が欲しい時、明るい気持ちになりたい時、誰もが音貝に耳を傾けた。
「わあ・・・!二人とも、天使みたい・・・!」
とある村の少女が、瞳をキラキラと輝かせてそう言った。
その音貝には、ナマエがフランキーに頼み込み、自身の歌も一緒に記憶してもらっていた。
これまで一度も世間に出回ったことのない大海の歌姫とウタ、二人の歌声が記録された音貝は瞬く間に世界中に知れ渡り、今や手にしていない者はいないというほどだ。
ナマエが歌わなくなり、そしてウタがいなくなった後も、二人の曲は人々の希望であり続けたのだ。
人々は、前より少し逞しくなって、以前と変わらぬ日常を送った。
そしてエレジアを発ったルフィも、仲間たちとの航海の日々に戻った。いつもの特等席、サニー号の上で、船の進む先を見守る。
「おーい、サニー!サニー!」
ウタワールドで自由に動き回っていたサニーの姿をふと思い出し、ぺしぺしと鼻先を叩いたりくすぐったりしてみる・・・が、サニー号は当たり前だがルフィの声がけに反応を見せてくれなかった。
――楽しいライブは終わり、日常に戻ってきた。
仲間との冒険こそが、ルフィにとっての日常だ。
ルフィはすくっと立ち上がると、大海原に向かって大声で叫んだ。
「海賊王に!!おれはなる!!!」
「ちょっとハック、いい加減サボ君何とかして!近ごろずーっとあの調子なんだから」
「わ、私に言われてもな・・・」
「サーボーくーんー!?いつまでナマエの歌聞いてんの、よ!」
「あ、こら返せよコアラ!ナマエが俺に向けて歌ってる愛のメッセージなんだぞ!」
「ぬぁーにが愛のメッセージよ、よくそんなこっ恥ずかしいこと言えるわね!?」
「ナマエは俺の恋人だぞ!当たり前だ」
「だから何よ!ナマエの歌はみんなのものなの!それより今から大事な任務なんだから、任務が終わるまでこれは没収!」
「そ、そりゃねえよ!おい、コアラ!」
END
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