EPISODE.01



親愛なる海賊ご一同

敵船、同盟、入り乱れ
酒を酌みかわすのもまた一興

来る者こばまず去る者追わず
この世界一の大宴
海賊万博に参加されたし










「フェスティバル海賊団船長ブエナ・フェスタ・・・」
「世界一の大宴ねェ」


郵便で届けられた招待状を読みあげるウソップ。


――海賊万博。
この船の最年長ブルックが言うには船や食べ物に情報など世界中からいろんなものが集まるらしく、謂わば海賊の闇市場みたいなものらしい。
そしてこの海賊万博は今回、余興として海賊王ゴールド・ロジャーにまつわるお宝探しを用意しているらしく・・・。ウソップ、チョッパー、そしてルフィは目を輝かせながら、いったいどんな宝なのかと様々な想像を膨らませていた。
しかし航海士であるナミは少し疑心暗鬼に入っているのか、あまりノリ気ではなさそうだ。
丁寧に会場の島への"永久指針エターナルポース"まで同封し、おまけに海賊王の宝があるなんて・・・何か裏があるとしか思えなかった。

しかしそんなナミの疑いも他所にすっかりお祭りモードのルフィ、ウソップ、チョッパーの3人組は肩を組んで盛り上がっており、そんな3人をたしなめるナミの姿を遠目で見ていたナマエは困ったように笑みをこぼすと海に視線を移し、小さく呟く。


『ゴールド・ロジャーのお宝、かあ・・・』
「!そういやナマエの父ちゃんだったよな!なあなあ、ナマエも気になるだろ!?お宝がなんなのか!」


突然視界いっぱいに映り込んだルフィに驚き、後ろに倒れそうになるナマエだったが隣に座っていたロビンに背中を支えられ助けてもらった。
――実の父親が残した財宝・・・とはいえ、一度も会ったことも話したこともないため、そこまで気にならないのが本音だ。しかし目の前で、子どものように瞳を輝かせながら聞いてくるルフィにそんなことは言えず・・・頷くことしかできなかった。


「ブエナ・フェスタ・・・世界一の祭り屋として知られた男。情報屋や武器商人とも強い繋がりがあって、黒い噂が絶えなかった海賊よ。でも、たしか死んだはず・・・」


隣にいたロビンがつぶやく。
フェスタは海難事故で海王類に喰われ亡くなったと、そう報じられていたそうだ。


「死んだはずの男と海賊王の宝か。ま、真偽はともあれ海賊王と聞いたら・・・なァ?船長」
「海賊王のお宝探しだぞ?絶対に楽しいに決まってるじゃねェか!」


船首像の上に立つルフィは進路の先に見える島影を見つけると立ち上がって叫んだ。


「見えたぞーー!!!!」


――万博島に着いた瞬間、祝いの空砲、紙吹雪のシャワーが海賊たちを迎えた。
運河にかけられたアーチをくぐればそこには海賊旗を掲げた海賊船がわんさかと大集合しており、その数はまるで新世界にいる海賊が全て集まったのかと思うほどだ。


興奮した様子でルフィたちはサニー号を港につけるとすぐさま上陸し、お祭り会場を見てさらに瞳を輝かせた。
特にルフィが目を輝かせたのはあちこちにある出店の食べ物だ。肉、肉、肉と常に肉を頬張るルフィの後についていたナミは美女コンテスト、のど自慢と書かれた二つの催しに目を鋭くさせるとすかさずナマエの腕を引っ張り、それぞれの催しにナマエを半ば強制的に出場させた。

・・・結果、美女コンテストでも、のど自慢大会でもブッチギリの優勝を見せたナマエに、優勝賞金を手にしたナミの目がお金に変わっていたのはいうまでもない・・・。


――海賊万博のメイン会場である万博島の噴火口跡はそのまま、中央港の海を囲んだスタジアムがあった。
その一角には出店とイベントスペースがあり、噴火口の斜面に沿って階段状のスタンド席がぐるりと設けられており、既に多くの人で賑わいを見せていた。
スタンドの一角にあるステージから視界進行のドナルド・モデラートが目の前のマイクで声を張り上げる。


「海賊諸君!!海賊万博、楽しんでいるかー!?いいか、お前ら!わかってると思うが、この海賊万博・・・ケンカ、強盗、なんでもあり!だがただ一つにして絶対の掟!この祭りのことを海軍にだけは言っちゃいけねェ・・・!密告したやつァ、この場にいる全ての海賊に地獄の果てまで追われて消されちまうだろう!ひょー、おっかねェ!」


がはははは、と湧く観客席。この場において密告するバカがいるわけがない。


「自己紹介が遅れたァ!おれは司会進行役、仕切り屋ドナルド・モデラート!でもってアシスタントは・・・かの有名な伝説"大海の歌姫セイレーン"が認めたと言われている!みんな大好き〜!歌姫アン!!!」
「よろしくお願いしまーす!」


美少女のアイドル、アンの登場に客席がまた違った意味で盛り上がる。
アンはビジョビジョの実の悪魔の実の能力者で、モデラートは余興の一つとしてどこからともなく出したドラゴンの絵が描かれた紙をアンに渡してその能力を披露してみせた。

アンがその絵に触れた瞬間、空間が揺らぎ、絵とまんま一緒のドラゴンが会場に出現する。


「ビジョビジョの実は触れた絵を幻として出現させて動かすことができる!」


すぐ消えちゃうんだけどな、とモデラートが言ったそばからドラゴンは一瞬で消え去った。
あまりにもリアルなその幻に最初こそ驚いていた観衆も、やがて興奮したように叫んだ。


「さて・・・!今回約20年ぶりに海賊万博が復活し、この万博島を舞台にしたのにはわけがある!時は大海賊時代・・・より少し前、海賊王ゴールド・ロジャーはこの島を発見し、すげェ宝をこの地に隠したといわれている!そして!!こう言い残したらしい!!!」


――深く高い暗闇に、われらの答えを葬り去る。


「さぁ諸君!!これは海賊王からの挑戦状だ!!この謎を解き明かし、その手に宝を掴もうではないか!我こそはと思う者は、みな船に乗れ!!!」



   



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