エピローグ
「なんの冗談だ!永久指針に記録したのか!?」
帰途、ゴール・D・ロジャーはラフテルの永久指針を持つ船員を睨みつけた。
船員は命じられてもいないのに、万が一のためといって最果ての地ラフテルの座標を記録してしまっていたのだ。
「ま、万が一のためです!もし、また必要になったら」
「万が一?ならねェよ。おれ達の海賊団の"冒険"は終わったんだ」
ロジャーはその場にいた全員に静かに、そう宣言した。
船員から永久指針を奪い取ったロジャーは何の躊躇いもなくそれを海に投げ捨てる。
「こんなモンに頼るやつに手に入れられる宝じゃねェ!そうだろう!」
「あァ〜!船長〜!!もう行けねェ〜〜!!」
「おれ達は・・・早すぎたんだ」
そして記憶は引き継がれるのだ。
嘆く船員の隣で、副船長のレイリーは静かに笑うと呟いた。
「ひとつなぎの大秘宝か・・・だれが見つけるんだろうな?」
「そりゃ、おれの息子だな!!娘にはそうだなァ・・・世界一の歌姫にでもなってもらいてェな!あいつの娘だ、絶対美人だぞ?」
「ガキなんかいないだろう?」
「はは!これからできるってんだよォ!!」
*
「「「えええぇええ〜〜〜!!!!!」」」
海軍艦隊の包囲を突破したサニー号にいた麦わらの一味は、ルフィからことの顛末を聞くと絶句した。
「ぶっ壊しちまったのか?ラフテルの永久指針!」
「ああ」
「なにやってんのよバカじゃないの!!!ひとつなぎの大秘宝への近道かもしれなかったのにー!!」
ルフィの胸倉を掴み、ぐわんぐわんと揺らすナミ。しかしルフィも後悔はしておらず、そんな船長の姿にウソップは笑いながら言った。
「あはは。まァお前ならそうすると思ったけどな」
『ほんと。ルフィらしいよね』
「しししし!まだまだ、すんげぇ冒険がおれたちを待ってんだ!!近道なんかもったいねェだろ!!」
楽しそうに笑いながらそう言うルフィに、もはやナミはそれ以上何も言えなくなってしまった。
ルフィはゴムの腕を伸ばし、サニー号の船首に立つと首にかけていた大切な麦わら帽子をかぶりなおし、叫んだ。
「野郎ども!!新しい冒険にむけて、出航だァー!!!!」
〜Fin〜
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