あまりに君が可愛いから
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千歳は、恐らくものすごく独占欲が強い。
おまけにそれを隠そうともしないので、俺は常に被害を受ける側や。
そりゃ、独占欲をあんなにむけてくれる位に好きやって云うてくれるんは嬉しい。嬉しいけど、あいつの場合はそれで済むレベルやなかった。
「…白石、背中どしたん?」
部活が終わり、皆と談笑しながら着替えていれば、金太郎が心配そうに声をかけてきた。
背中?なんの話だと思いながら背中を見やるがどうやら自分からは見えない位置の話らしく、クエスチョンマークを頭上に仰山並べれば、ギョッと目を見開いた一氏がジャージで俺の身体を覆った。
「な、なんやねん一氏いきなり、」
「さっさと着替え!」
焦りを含んだ声に俺は益々わけがわからなくなる。取りあえず云われた通りに着替えれば、隣で眺めていた財前が深い溜め息を吐いた。
「あん人、独占欲強すぎるやろ」
ぽつりと呟かれた言葉にハッとすれば、謙也に(ご愁傷様)と口パクで云われた。
周りと金太郎の様子からして、それは酷い有り様なんやろな…。俺は恥ずかしすぎて死にたくなった。
「蔵りん、そんなにされとるのに、部活きて大丈夫なん?」
キツかったら無理せんでもええんよ?と気遣ってくれる小春の言葉が今は辛い。
ちゅーか、むしろ昨夜は逆やった。
普段なら翌日部活に出るんもキツい位激しいくせに、昨日は比較的俺の身体を気遣ってくれて、なんや、むっちゃ嬉しかったのに。
(こうなる事予想しとったんやな…!)
俺は背中にそれは目も当てれない程幾つもの痕を残されたのであろう事を考えて、そろそろあいつにもお灸を据えないかんな、と拳を握り締めた。
「ふふ、ほんこつむぞらしかー」
一方千歳はと云えば、部室で怒っているであろう愛しい恋人を想い、帰路で一人そよ風に揺れていたのだった。
(あれはどういう事や千歳!)
(なんのこったい?)
(背中の…その、…っ事や!)
(むぞらしかね蔵)
(誤魔化すなやアホ千歳!)
(蔵の肌は綺麗ばい)
(っ、だから、)
(ばってん、他の奴には見せたくなかと)
(…っ、大概にせぇや!)
(蔵、顔真っ赤ばい)
end
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千歳は色んな意味で最強。
ちとくら可愛いです。
相変わらず熊本弁も関西弁もわからん!←
――あまりに君が可愛いから――
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