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特別な日に君と

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「今日、泊まりに行ってもええですか」

いつもなら俺から誘わなければ絶対泊まりになど来てくれない恋人が自分からそう云うものだから、電話越しにもかかわらず俺は何度も頷いた。


誕生日っちゅうんは普通友達に祝ってもらえるもんやけど俺の場合大体が春休みに入っとって当日に祝ってもらうんは滅多に無くて、正直なんでこんな微妙な日に俺を産んだんやっておかんを恨んだ事もあった。あ、勿論恨むっちゅーてもネタ的な感じやで。
せやけど、多分今日の事を見越して神様は俺をこの日に産み落としたんやななんて、頭の悪い事を考えながら俺はドアを開ける。

「すんませんいきなり」
「や、ええよ、ちゅうか嬉しいわ」
部屋に迎え入れれば、財前は慣れたようにベッドに腰をおろし「そっすか」と満更でもなさげにはにかんだ。

ほんまにいきなりやったけど、春休みで、部活も引退したから久しぶりに財前と会える機会を得て俺はすぐに部屋を片付けて招き入れる用意をした。こんな機会逃すのは勿体無いやろ。

「せやけどどしたん急に、」
なんとなく予感はしつつもはっきり聞きたくてそう問えば、財前は少し戸惑って「あんた明日誕生日やろ」と呟いた。
ああやっぱりそうなんや、と再確認して胸が熱くなる。
「謙也さん?」
愛しくなって、ベッドに座っている財前を抱き締める。
「あかん、めっちゃ嬉しいわ…」
「なんすかそれ」と呆れたように云われたけど、なんとなく空気が甘いものに変わったのがわかる。そのまま少し体を離して向き合えば、財前の頬が少し紅くなっていてむっちゃ可愛え。

「…プレゼントとか、あるん?」
微笑んで問えば「一応…」と返される。別に何も無くてええんやけどな。そう云えば「そういうわけにはいきませんやろ」と突っ込まれたけれどそれを無視してそのままベッドに財前を押し倒した。
「プレゼントとして財前が欲しいんやけど…」
「ちょ、謙也さん、」
慌てて身体を起こそうとする財前の上から抑えつけるようにのしかかれば、「おばさん達おるやろ」と戸惑う様に云われ「声我慢出来るやろ」と囁くと一瞬文句を云おうと開かれた口が、肯定する様に引き結ばれ逆に興奮する。いつもなら絶対嫌やって云うとこやのに大人しくしとるんは多分俺の誕生日やからなんやろな。ほんま可愛すぎるわ。にやける顔を引き締めてると、くい、とシャツの裾を引っ張られる。どしたん?と問えば
「…久しぶりやから声、我慢出来ひんかもしれん」
と顔を真っ赤にしてそう告げられた。あーもうこんな可愛い恋人に誕生日祝ってもらえるんほんま俺幸せもんやな。そう思いながら「我慢出来んかったら俺の肩噛んでええから」と告げれば、財前は少し戸惑って、頷いた。


「ん、っ…けん、やさ…っ、」
「…もうちょい待ってな財前、まだ、」
久しぶりやから当たり前の様に財前のそこは閉ざされていて、俺はいつもより念入りにそこを解す。勿論我慢するんは無茶苦茶キツいけどそこは俺なりの誠意や。せやけどそんな俺に財前は「なんでこんな時ばっか焦らすんアホ」と文句をたれた。アホてお前な、と云いかけた口に財前の唇が重なって俺はぽかんと瞬きをした。唇を離してそんな俺の顔を見つめる財前の顔は真っ赤に染まっていてめっちゃ可愛え。せやのに追い打ちをかけるように恥ずかしそうに視線をそらしながら呟かれた台詞は、俺のなけなしの理性を吹っ飛ばすには充分過ぎるもんやった。
「…謙也さんが早よ欲しいんす、わ…っ」
「〜っ、…ほんま、お前…っ」
「あっ、んっ、…っふ、」
「…っ大丈夫か財前?痛ない?」
我慢出来ずに挿入したもののやはり不安になり伺う様に問えば大丈夫だと首を振る。俺とは違って痛んでない綺麗な髪が、ぱさりと音を立てた。
「…へ、きなんで、…っもっと、」
ああもうなんでこんな可愛えんやろ。我慢出来ずにガツガツと腰を打ちつければ財前の口からは嬌声が響く。
「っあっ、はぁ、け、謙也さ、あかん、声っ、」
「っ我慢出来んのやったら噛んでええよ…すまんけどもう止まらんわ…!」
「あっ、…っん、ふっ、ん、ぅうっ…」
云う通りに俺の肩を噛んで我慢する財前はほんま可愛いくて、それすらも興奮材料にしかならなくてまた自分が大きくなるのがわかる。
「っ、…なん、で、っあぅ、」
「財前が可愛い過ぎるのがいかんっちゅー話やで…」
「なんやそ、っ…あ、あかん謙也さんっ…」
服を掴んでいた腕が背中に回され、財前の中が激しくうねった。もっていかれそうになるのを堪えれば、「一緒がええ、」なんて可愛い事を云われる。
「おま、ほんまっ…あかんてそれ、」
そう云いながらもその言葉を拒否する理由もあらへんし俺は更に激しく腰を打ち付けた。
「あっ、あかん謙也さんっ、イく、イってまう、」
「ええよ、俺ももうっ…っ」
「ぅあっ、っ、…謙也、さ、…っ!」
俺にしがみつきながら射精して、びくびくと収縮するそこに俺も熱を吐き出した。我ながら中々に多いそれに若干不安を抱いたが
「は…あっつ…久しぶりの謙也さんや…」
と笑いながらも愛おしげに云う財前を見てそれもすぐ消え去った。
「…おおきにな財前」
自身を引き抜いて後始末をしながらそう呟けば、「別に…春休みなんやから理由作らな会わへんし、部長とかのが先に祝ってたら嫌やないスか」と、また可愛い事を云われてしまう。…うわぁあああ、あかんてこれ、ほんま。
「?…謙也さ、っん、」
問いかける財前にキスをすれば、数度瞬きをされる。あかん、かわええ。
「すまん財前、もっかい…したなった…」
そのまま抱きしめながらそう云えば
「あんたほんましゃーない人やな…」
と呆れた様に呟きつつも「せっかく春休みやし付き合うたりますわ」
と財前はくすりと笑って抱きしめ返してくれた。
ああもうほんまGJやでおかん…!こんな最高なプレゼントもらえるなら春休みで他の誰に祝われんくてもええっちゅー話や…!

そんな相変わらず頭の悪い事を考えながら、俺は再び財前の唇にキスを落とした。



(Happy birthday謙也!)


end


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今更感がハンパないですが
せっかく書いたので…!w







――特別な日に君と――




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