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それはまるで死刑宣告にも似た

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白石が現実主義なのはわかっていたし、
自分が夢見がちなのも知っていたけれど
それはあまりにも今の自分には残酷だった。


「好いとうよ白石」
「知っとる」
いつもの様に布団の中で交わされる会話。白石はいつだって綺麗で、セックスをした後だと云うのにそう笑う白石は本当に綺麗で。
「…幸せばい」
思わず漏れた言葉に「何がや?」と返される。
「こっから先もずっとこうやって白石と一緒におれる、ち思ったら、幸せっちゃね、て」
それは本当に心の底から思っていた事だったけれど、今思えばどうしてそんな事を云ったのかと、この時の自分に問いかけるしか無かった。


「…ずっとって事は無いやろ」
控え目に、けれどもはっきりと云われた言葉に、今までの幸せな気持ちは一気に冷めて、ついでに思考まで停止したようだった。
「…な、なんでそぎゃん事云うとね」
辛うじて絞り出した台詞に対して返された言葉は情事後の甘ったるい思考を麻痺させるには充分すぎて、ぐらぐらと頭が揺れて感じる。

「俺かてそんなん嫌やけど、…進路とか、色々考えてくうちに、なんや怖なってくるねん」
「俺が頼りなかとがいかん?それなら、」
「千歳、」
気付けば布団から身体を起こして白石に馬乗りになる俺を、いつもと同じ穏やかな表情で諭す白石に、いよいよ俺は意味がわからなくなる。

(なしていきなりそういう事ば云いよっとね白石、なして、)

「そういうんやなくて」
そんな俺に気付いた白石が、「取りあえず落ち着いて聞きや」と自分も身体を起こして向かい合うように座り込む。その間も俺は全てを理解出来ずに呆然とするばかりだ。

「…現実的に考えて、男同士で生きていくんとか、やっぱり無理あるて」
「…いつかお互い家庭を持たないかん」
「いつか千歳も、俺やなくて女の人と結婚するやろうし、俺もそうやと思うねん」

「なんね、それ…」
寂しげに呟かれた言葉達はあまりにも辛辣で、俺は呆然と問い掛けた。冗談だと、云って欲しかった。
「…現実見ないかんくなる時が来るやろって話や」
それでも白石の口からはそんな言葉しか出てこなくて、俺は嫌だと云うように首を振る。
「そぎゃん…っ…し、白石は俺と一緒にいたいち思わなか?」
「思っとるよ、千歳と一緒におりたいし、おれたらええなって思っとる」
「それならなんで、」
「せやけど…実際大人になったらあかんって思う様になると思うんや」
「…」
「お互いに女の人を選ぶ時が来ると思うんや」

必死になってした問い掛けにも冷静に返されて、あまりにも自分と白石の見ている先が違うのだとわかって、涙が頬を伝うのを感じた。
「…俺は白石しか愛さん」
「わからんやろ」
「っ、わかっとうよ…!」
「千歳、」
「…なんで今そんな事云うとね?白石は俺と別れたか?」
「せやからそういうんやなくて、」
「最初から終わりが見えとるのに、付き合ってても虚しかよ…!」

どうしてこんなにも言葉が通じないのかわからなくて、涙が止まらない。嗚呼、きっと酷い顔をしているのだろうな、なんてその時の俺は考えていられなかった。それ位、俺は必死になっていた。

「ほんなこつ俺は白石だけばい…白石だけで良か…白石以外は欲しくなかよ…」
「…それじゃあかんねん」
「なんでっ…!…酷か…」

いつの間にか自分よりも小さな白石にすがりついて必死に、冗談だと、嘘やから泣くんやないで千歳、といつもの様に微笑んで欲しいのに、自分の気持ちを露呈すればする程白石の口からは現実を伝える言葉しか出なくて、それがとても悔しかった。

「白石は酷かよ、そうやって好いとるち云うくせに未来は保証してくれんばい…!」
「…すまん」
「謝る位なら俺だけにしてくれなかねっ、そしたら、」
「すまん千歳、それはもっと無理や」
「…嫌ったい…白石、捨てんで、」
「…捨てるわけやないやろ、先の話や」
「俺は別れたいわけやなか」
「俺かて別れたいっちゅうとるわけやなくて、」
「それでもずっと一緒にはいてくれんとやろ?」
「…」
「ほんなこつ酷かよ白石…そぎゃんこつ、今別れたいち云われるより残酷ばい…」
「…愛しとるよ千里」
「…っ、くら、」
「…せやから今、一緒におれる間いっぱい愛し合おうや」
「…っ」

…そうやってようやく見せた白石の笑顔は、俺が大好きないつもの綺麗な白石の笑顔で、…それでも白石が云ってる言葉はあまりにも残酷で、俺はひたすら涙を流す事しか出来なかった。


(いっそそうなる前に二人で死んでしまえたら良いのに)


end

*************


すいませんでした←
光謙とかラブルスとか
ルキズとか銀副だったら絶対
書かないような話ですね。

ちとくらちとみたいな(笑)
なんか、白石はいつだって背伸び
してるイメージなので勝手に先を見て
色々割り切ってる子って感じなんですが
逆に千歳は今が幸せで、幸せが
いつまでも続くと信じてたら
いつかすれ違いが起きるよな、と。

うん、意味わかんないですねw
なんか最初に台詞だけばばばっと
書いたんでいつにも増して読みにくい
かもしれませんかwww






――それはまるで死刑宣告にも似た――




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