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だって僕たちオトコノコ

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「ん、っ…コシマ、…っ、」
やらしい水音が響く部屋で、俺は何をしているんだろう、と軽い自己嫌悪に陥っていた。



「なぁコシマエ、わいらえっちせぇへんの?」
「…は」

恒例になってきた月に一度のお泊まり会。
付き合い始めて半年が経っても今までそういう素振りを全く見せなかった遠山にそう問われて、俺は思わずあんぐりと口を開けてしまった。

「な、何いきなり、」
どもりつつ問えば「コシマエ変な顔や」と笑われたがそこはスルーする事にする。取りあえず言葉の真相を確認しない事には俺が恥ずかしい奴になってしまう。
「あ、あんな、前に部室でそういう話になって」
「そういう話って」
「コシマエとわい、どっちが女役か、て話」
四天宝寺は部室でどんな話をしてるんだと頭が痛くなったが、そういえばあそこの部長の口癖はそんな頭悪い感じの言葉だったなと思い出して考えるのを辞めた。

「ほ、ほら、先月泊まりにきたときに、今度ねってコシマエ云うたやん?今度って事はー…」
「ち、ちょっと待って!」
「へ」と間抜けな顔で見つめ返されるが、そんな顔されても今の発言がおかしいのは変わらない。
「今度って、何…?」
続けられたおかしな言葉に恐る恐る問えば、「コシマエ、わいが先月泊まりに来たときに云うたやん。今度ねって」ちゃうの?と首を傾げられる。う、可愛い。じゃなくて…

「俺そんな事云ったの…?」

正直こいつの話は半分位聞き流してる自覚があるだけに、そんなやり取りが無かったとは云えなくて、俺は記憶を探りつつそう呟く。
そんな俺の言葉に一瞬悲しそうな顔をして、すぐに遠山は笑った。

「え、ええねん!わいの勘違いやと思、」
「遠山」
「っ」
明らかに空元気で、俺も流石に申し訳なくなる。なによりそこでそんな顔をするという事は、
「セックス、したかったの?」
「っ……………おん…」
真っ直ぐに目線を合わせて問えば、一瞬息を詰めて数秒戸惑いに視線をさまよわせ、真っ赤になって頷いた。
可愛い、っていうか、なんて云ったっけこういうの。愛しい?ああそうそんな感じ。そう思いながら頬に触れれば、すり、と頬をこすりつけてくる。こうしてる時の遠山はいつも幸せそうだ。

「…わい、ほんまにコシマエの事好きやねん」
ぽつりと呟かれて、胸がとくりと音を立てるのがわかる。

「コシマエが好きやって、付き合えて嬉しくて、キスできるんも嬉しくて、…せやから、男同士でもえっち出来るって知って、嬉しかってん…」
ああもういつもは馬鹿なくせになんでこいつはこうも健気で俺のツボなんだろう。
「結構、大変らしいけど」
本来の用途と違うそこを使うからには、大分大変だと聞く。その痛みに、耐えきれるのか。不安に問えば、「それでもわいはコシマエに抱かれたいねん…」と囁かれた。
正直これでオチない奴はいないと思う。好きな奴に抱かれたいと云われて放置する男がいるならそいつは馬鹿だ。手塚部長とかはそういうのも出来なそうだけど。だから俺も男として向き合ってやろう。


…そして冒頭に戻るわけだけど。
どうして自己嫌悪か?そんなの自分の知識不足に対してに決まってる。
いくら相手がこいつだからって、世の中何があるかわかんないんだから何事も早期に用意しとくのは大事だったんだ。実際俺は予想してなかった展開に頭がついていかなくて、現在進行形で遠山を泣かせてしまって激しい自己嫌悪に陥っているんだから。

「っ、…ん、ぅ、」
「遠山、まだ痛い?」
恐る恐る問えば、ふるふると首を左右に振られたが多分嘘だ。
なにより俺だって締め付けがキツくて千切れるんじゃないかと思うレベルなんだから痛くないわけがない。
(女と違うんだから、自分達で準備しなきゃいけなかったんだ)
男同士でのセックスに知識も何も無かった俺は、自分の欲求のままに突っ走って碌に慣らしもしないで遠山の中に突き入れてしまい、当たり前のように遠山のそこは真っ赤な血を流した。
(一度抜いて濡らした方が良いのかな、それとも、)
「コシマエ、」
パニック寸前の頭で必死に考えていたら、不意に名を呼ばれて頬を両手で包み込まれる。

「遠、山?」
不安げに名を呼び返せばにこりと微笑まれて、「コシマエらしくない顔や」とからかわれる。
「こんな時に何笑ってんだよ…」
自分で情けない位に声が尻すぼみになるのがわかる。格好悪いけど泣きそうな状態に、いつもの様な憎まれ口も思い浮かばない。(やっぱりダメだ)そう判断して、慎重に遠山の中からずるりと自身を引きずり出せば、ふ、と遠山が息を吐くのがわかる。やっぱり痛かったんだ。

「ごめんな遠山…」
視線を合わせきれずに俯けば、両手が背に回され、ぎゅう、と抱き締められて思わず息を詰めた。

「わいも、堪忍な…ちゃんと調べれば良かったわ」
えっち出来るってだけで浮かれててん。とはにかまれて、堪えてた涙が一筋だけ遠山の肩に落ちる。なんでこいつはこんなに強いんだろ…。

「遠山、」
「ん?」
「俺もちゃんと調べて、次は絶対痛くしないから」
「…おん」
「…また『今度』な」
「っ…おん!約束やでコシマエ!」
綺麗な微笑みと共に差し出された小指に自らの小指を絡めて俺は「約束、」とその指に唇を落とした。




(…でもムラムラするから擦り合いせえへん?)
(…まぁ…)
(…コシマエ可愛いなぁ)
(あんたに云われたくないんだけど…)
(否、ちゅーかアレのサイz)
(もっかいぶちこまれたいのあんた)


end

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すいませんでした^p^
本当は2人をいちゃいちゃちゅっちゅ
させたかったのに思った以上に
リョーマがヘタレてしまったwww
てか金ちゃんが男前やwww

以前書いた四天話
「君の笑顔が眩しい」
の続きみたいな
感じですね(*´ω`*)
楽しかったwww







――だって僕たちオトコノコ――




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