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大人になる必要なんて

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「わい、コシマエと一緒に暮らしたい」


そう云ってからのあいつは、本当に早かった。

「コシマエー!荷物こんなもんか?」
ベランダの下から馬鹿でかい声が届いて、近所迷惑だと思いつつ、云っても治らないしと諦めて一度だけこくんと頷けば、遠山は「りょーかいや!今持ってくさかい、待っとってなー!!」とさっきよりも大きな声を出す。
「…選択早まったかな…」
もう少しあいつが大人になってからの方が良かったかも知れない、と呟けば、軽々と3つの段ボールを抱えた遠山がひょこんと顔を出した。そんなに軽い荷物達では無いはずなのに息ひとつ上がってない。

「何が早かったんや?」
足元に置かれた段ボール達は、やはり重いのだろう。どすりと音を立ててそこに居座った。
「別に」
「ふーん。あ、これ、どこにやる?」
「奥の箪笥。そっちの小さいのは雑貨だから置いといて」
昔なら食い付いて来ただろうに、と思いつつ指示すれば、おん、と頷きそれに従う。

さっきはああ云ったが、正直遠山は大人になった、と思う。
年齢はお互いに高校を卒業したのだから当たり前なんだろうけど、そういうわけではなく、内面的な話。
遠山は、大人になった。
昔が幼すぎたと云われればそれまでかもしれないが、嫌な事があっても、暴れ出したりしない。なんといったか…そう、ごんたくれなくなった、んだろう。

「何考えとるん?」
不意に後ろから声をかけられ「何も」と振り向けばもう片し終わったのか暇そうにこちらを眺める遠山と目が合う。

「終わったの?」
「荷物がこれだけっちゅうなら、終いやな」
「そー…何?」
するりと腰に手を回され俺はあからさまに呆れてみせる。生憎今はそういう気分ではない。
遠山もそれを感じ取ったのかちぇ、という様にすぐに離れた。

(あ…)

それを望んでいたはずなのに、少し寂しいと感じる自分に呆れる。

「なんやコシマエ、今日機嫌悪ぅない?」
伺うように問われ、眉の下がった顔に俺は笑う。遠山の、こういう表情が俺は好きだ。
今はほとんど見なくなった、子供みたいな表情。
…遠山は大人になったのだ。
昔みたいにわがままを云わなくなり、空気を読むようになって、けれど自分がやりたい事を実現出来るような力を付けた。
今だって、俺が大学進学で家を出ると告げた翌日には、自分も一緒に住むと、全ての処理を済ませてきた。
子供の手がかからなくなった親はこういう感じなんだろうか。

「ずっと子供で良かったのに」

俺は遠山に聞こえないように小さく呟いた。

「ん?何や?」
「別にっ」
「えー今日コシマエそればっかりやん」
ぷくりと頬を膨らませる遠山に俺は小さく微笑んだ。


(甘えられなくなって寂しいなんて、絶対云ってやらない)


 end



*********


よくわからないですねすいません(笑)
振り回され慣れてしまって
段々しっかりしてくる金ちゃんに
寂しさを覚えるリョマとか
可愛いんじゃね?って思った
結果ですがなんか微妙になりました^p^






――大人になる必要なんて――




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