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未来でも君と

―――――――――――――


「ダメ」
「イヤや!」
「だぁめ」
「いぃやぁや!」
「だ・め!」
「い・や・や!」

数分前から果てしなく繰り返してる問答。
理由は中三の俺らを想像してもらえれば簡単だろう。
「わいもコシマエと同じとこいく!」
そう、受験高だ。言葉を変えれば進学先。これから3年間を過ごす場所だ。
そんな大事な場所の決定権をこの馬鹿は『コシマエと同じ高校に進学するわ!』とかほざきやがった。
例えば距離が近ければ良い。身近に親戚がいるなら良い。
でも、俺の進学に選んだ高校は、大阪でも東京でもなく、というか日本ですらないアメリカの大きなテニスクラブのある学校なのだ。

「大体遠山お前英語は?」
「コシマエと話せれば問題ない!」

全く呆れる他無い返答だ。何を云ってるんだろうかこいつは。

「お前が良くてもそれじゃ俺が困る」

そう云えばぷくりと頬を膨らませて、嫌や嫌やと再び手足をじたばたさせ駄々をこね始めた。本当、お前幾つだよ。
はぁあ、と大きく溜息を吐けば、一瞬びくりとして、おずおずと覗き込んでくる。

「コシマエはそんなにわいと一緒んとこは嫌なんか…?」

ああもうだからそういう事じゃなくて!
がしがしと頭をかけば、遠山は更にしゅんとする。

「お、怒らんといてやコシマエ…わいはコシマエと離れたくないだけやねん…」

全くこいつは。
こうやっていつも子供みたいに駄々をこねて俺を困らせる。昔は「知らない」と一言で一蹴したがそうもいかなくなってるのはやはり惚れた弱みというやつなのか。
こうやって好きな奴に俺から離れたくないと云われれば、流石の俺でも絆されるに決まってる。
つい、と手を伸ばせば、一瞬こちらを伺って素直に頬をすり寄せる。動物みたいだ。

「遠山、」

名を呼べば「なんや?」と不安そうに眉を寄せる。

「俺もお前とずっと一緒にいたいけどさ、」
「おん」
「俺はテニスをしたいんだ」
「おん」
「もっと強い奴らと、沢山」
「…おん」
「お前はそうじゃないのか」
「…!」

そこまできてやっと俺が云いたい事がわかったんだろう。パッと顔を上げ、しばらくパクパクと口を動かして、笑顔になった遠山は、急いで荷物をかき集めると、楽しそうに部屋の扉を開けた。

「おかん達に相談してくるわ!あとオサムちゃんにも!またなコシマエぇええ!」

バタバタ走り去っていく音が聞こえて俺は苦笑する。
「思い立ったらすぐ帰っちゃうのかよ」
まぁでも、あいつのそういうとこも嫌いじゃない。

クスリと一人残された部屋で、俺はそう遠くない未来を考えて微笑んだ。



(また一緒にテニスやろうぜ、遠山)


 end

*********


よくわかんなくなった!←

リョーマにとって一番重要なのは
実は金ちゃんの志望動機だったりね。
勿論「リョーマと離れたくないから」ってのは嬉しいけどそれだと何かと困るのでどうにかして「強い奴とテニスをしたいから」という気持ちに切り替えて欲しかった。とか、そういう流れの話です説明しなきゃわかんない!残念!←

リョ金は妄想はするけど中々金ちゃんが暴走するのでちゃんと話を書いたのは初めてですね(笑)

ルキズ可愛いよはあはあ




――未来でも君と――




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