黄瀬くんは可愛い


黄瀬くんは可愛い
「あ?黄瀬、お前今日も仕事あんのかよ」
「そっスよー。明日は流石に練習出るけど…ちょっと撮影長引いてて…」
「チッ、いつもそればっかだな。だからお前は弱えーんだよ」
「、…そ、っスね」
「…」
「…お前なんてヘラヘラ笑ってるだけじゃねーか」
「…っ」
「いくぞテツ」
「…、はい。…じゃあ、黄瀬くん、頑張って下さい…無理はしない程度に」
「っ、あの、黒子っち!」
「はい」
「…今日、仕事、何時に終わるかわからないんスけど…」
「…12時までなら、待ってます」
「…っうん!行ってくるっス!」
「はい」

「…(もうすぐ12時…)2時くらい、にしておけば良かったでしょうか」
「…っ黒子っち…!」
「ー、黄瀬くん、」
「っは、ごめ、…っ、時間、…っはぁっ、」
「大丈夫です、今日は満月なので、帰りは少し遅くても」
「でも俺たち、…っは、…これじゃ、補導対象っス、ね、」
「…ああ確かに…僕はほとんど気付かれる事はありませんが君は目立ちますからね…端っこの方に行きましょうか。息も整えて下さい」
「…ん、…はー…」
「…走ってきたんですか?」
「ん…待たせちゃってごめんね黒子っち…でも、待っててくれてありがとうっス」
「いえ…お疲れ様です」
「…ね、黒子っち、ぎゅって、していいっスか?」
「はい」
「…っはー…安心するっス…」
黄瀬くんは、可愛い。
「…ふふ、」
「え、」
「いえ、いつも思うんですけど、黄瀬くんは二人きりになると甘えてくれるので、可愛いなって」
「…黒子っちは、可愛い俺って、好きっスか?」
「うーん、どうでしょう」
「えっ」
「可愛い君、というよりは、君だから可愛く見えるんだと思うので」
「…っ、そ、か…」
「はい」
「…黒子っち、俺、頑張ってるっスよね」
「…そうですね」
「…ごめん、少し、愚痴、云いたい」
「どうぞ」
「…今日の、青峰っちの、」
「…ああ、」
「緑間っちにもこの前、両立出来ないなら迷惑だからやめるのだよって云われたんスけど、」
「…それは、」
「ん、わかってる、きっとどっちも心配してくれてるんスよね、でも…っ、俺だって、どっちも両立しようって頑張ってるんスよ、だけどきっとキセキの皆は弱音とか嫌いだろうし…なのに、あんな…っ!」
「…黄瀬くん、それは少し、違います」
「…え、」
「…彼らは、ちゃんと労わる気持ちは持ってます。…そういうのを隠して、なのにそこで責められて文句を云うのは、少し傲慢だと思います」
「え、あの、」
「良いんですよ、もっと皆に弱いところをさらけ出して」
「っ」
「…君が意図的に隠しているのに、それを汲み取って慰めろ、責めるな、というのは少しだけ、違うような気がします…あくまで僕の個人的な意見ですが…」
「…」
「たとえ話をしましょう」
「へ」
「青峰くん、緑間くん、そして君。3人が、とある重りを持つことになりました。それぞれの重さは誰にもわかりません。」
「…へ?」
「青峰君は、その重りを軽々と持ち上げました。緑間君は、少しキツそうにしながら持ち上げました。そして君は、すごく重いのを隠して笑顔で持ち上げました。でも実は、青峰くんのものが一番軽く、次に緑間くん、そして君が一番重いものを持っていたとして」
「…、」
「けれど誰の重りの重さもわからないから、周りの人間はその様子を見て重りを増やすしかないんです。でも正直君は限界で、ある時重りを増やされる事に対して不満を投げます。…そうすると、周りは驚いてしまうんですよ」
「え、あの、」
「我慢するのは大事ですが、隠しておいて理解しろと云うのは、無理な話なんですよ」
「…黒子っちの説明わかりにくいし全然云いたいことわかんないっス…」
「…そうですね。僕も最初に思ってたのとちょっと違う感じになって正直伝わらないなと思いました」
「っふは、なんスかそれー!」
「…黄瀬くん、」
「ん?」
「…好きです」
「っ」
「…色々云いましたが、他の人には隠しても良いし、正直僕だけにこうして愚痴を云ったり甘えてくれるのが、すごく嬉しいです」
「…鬱陶しく、ないっスか…?」
「さっきも云いましたが、僕は君だから可愛いと思ってます」
「…、」
「…僕は多分、君がする事はどんなことでも結局愛しくなるんだと思います」
「…黒子っち、」
「…なんでしたっけこういうの、恋は盲目?うーん…惚れた方の負け、みたいな…」
「くろこっち、」
「なんでー、」
「…っ、ん…っは、…すき、」
「…お行儀が悪いですね」
「…こういう俺は、嫌いっスか?」
「(ああもう、ほら、君はいつだって可愛い)いいえ、大好きですよ黄瀬くん」
【僕の恋人は、とても可愛い】


0701 (21:11)






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