the basktball whichi kuroko plays.


生みだした罪状の重さも知らないまま


「僕と付き合ってくれませんか」
そう云っていつもとなんら変わらない表情でこちらを見つめる黒子っちに、俺は嘘を吐いた。


「ねぇ、…聞いてますか黄瀬君?」
じっと丸い瞳で見つめられて俺は慌てて笑顔を作る。
「な、んの話だったっスかね?」
ああ、不自然な反応だったかもしれない。不安になる前に服の裾を少しだけ引かれて戸惑う。
「、ここで、ッスか?」
まだ帰宅路で、空はようやく緋色に染まり始めた位だ。
だけどこうして黒子っちがキスを求めてくれるのは嬉しくて。周りに人気が無いのを確認してそっと触れるだけの口づけを交わす。黒子っちから甘い香りが微かに漂って、自分を待っている間にまたシェイクを飲んだのだろうと小さく笑みを零した。
「…なんですか?」
笑われたことに首を捻って数度瞬く黒子っちに思わず吹き出し「何も」と頭を撫でれば、少し考えて「また青峰君ですか」と面白くなさそうに呟かれて手を固くした。
「…ち、ちが、」
「良いです」
わかってますから、と頭に乗せた手を振り払われて息をのむ。
「黒子っち、あの、」
言い訳をしようと再び手を伸ばせば真っ直ぐに見つめられて
「大丈夫です。最初っからわかってますから」
と、仄かに拒絶を含まれうなだれる。
「…黄瀬君に告白したあの日よりもずっと前から、わかってる事なので」
君が彼を好きな事は、と視線を外され、俺も何も云えなくなる。

普段は何も読み取れない表情が少しだけ辛そうに見えて、俺は心の中で小さくごめんと呟いた。
(青峰っちが好きなのは確かだけど、黒子っちにそういう顔をさせたいわけでも無いんスよ)

…胸がちくりと傷んだ理由を俺はまだ知らない。


title by ゆち


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