the basktball whichi kuroko plays.


無防備な首筋


がり、と云う音と共に走る痛みに思わず声が漏れる。

「ひ、っ桜井…、それほんま止めや…!」
「えっ、あっ、す、すいませんつい、」
ついで噛まれていてはこちらの身が保たない、と呆れる今吉に再びすいませんと謝ると気を取り直す様に腰を進める。
ぐちゃぐちゃという音と共に零れる今吉の嬌声に桜井はふるりと身を震わせた。

高校に入学してすぐの頃からずっと今吉に想いを寄せ、つい先日我慢出来ずに強姦まがいな事をしようとした桜井を、彼は笑って受け入れてくれた。
それからまだ数ヶ月と経っていないけれど、二人は数え切れない程身体を重ねた。
男子高校生なのだから性欲なんて有り余っているし仕方ない、と割り切っているが、受け入れる立場に回ってしまった今吉にとっては翌日に響くこの行為は出来れば少ない回数で減らしたいものであり、桜井もそれはよくわかっていた。

そうして2人で相談した結果、休日の練習は避けようのないものだけれど、授業が無いだけマシなのと、最終手段泊まっていけるという理由から金曜日の夜にだけセックスをする事にした。
今吉としては妥当、むしろもう少しペースを減らして欲しい気もしたが、連日身体を重ねる事に慣れた若い身体にはどうやらそれでもキツい事を知って何も云わない事にした。

「っ、ほんまお前、性欲有り余りすぎやろっ…!」
一週間しか無いはずの間でも我慢するのがしんどかったとでも云うように腰を打ち付けてくる桜井に悪態を吐きながら今吉はシーツを握りしめる。
「っ、すいませ…っでも、んっ、…好きなんですっ…!」
瞬間桜井を締め付けるそれが強くなる。
「っ、せんぱ、今のー…」
「や、やかましい!はよイけや阿呆っ…!」
自分でも締め付けた事でそれの形をより感じて恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして枕に顔を埋めた。
後ろから突かれている為顔を隠すのは簡単だが桜井の反応が見えないのは少し怖い。
(好きとか云われて感じてまうとかほんまっ…!)
桜井と付き合い始めて、後ろでの快楽を覚えてからの自分が今吉は嫌いだった。
普段の自分がどんな認識をされているかなんて云われずともわかっていて、そんな自分がこうして後輩に組み敷かれてよがっているなんて、我ながら吐き気がする。
桜井も元々の自分に憧れて交際を申し込んできたのなら、こんな風に雌のように男を求めて喘ぐ姿を見続けていたら、愛想を尽かすのではないか。
そんな不安に目頭が熱くなるのを感じたのと同時に首筋に走った痛みに目を見開いた。
「いっ…、桜井っ…!」
思わず振り返り睨み付ければ、試合中ですら見れないような余裕のない顔にぞくりとする。
「すいません先輩…、先輩が、可愛すぎるので…」
謝罪の言葉は入っているものの、発された声は情欲にまみれており今吉は何も云えなくなる。
大体、
「可愛い、とか…っ嬉しないわボケ、」
嘘だ。桜井に可愛いと云われる度に安堵している自分を知っている。
このままの、自分で良いのだと。

おまけに桜井が噛んでくるという事は、今吉が愛しくてたまらなくて色々と理性が飛んでいる状態なのだと云われた事を思い出して、びくびくと自身が震えた。変な性癖を持ってたんだな、と呆れたがわかりやすくて良い気もする。少なくとも今吉には都合が良かった。
「…本当は、嬉しいんですよね、先輩…」
その様子に柔らかく微笑み後ろから桜井が口づけてくる。
数度啄む様にキスをして、浅い息を繰り返す今吉の腰に手を回すと桜井はその身体を反転させる。
ぐちゅりと結合部から淫らな音が響き今吉の口からは微かに喘ぎが漏れる。
「ぅあっ、んっ…!っ、せやから、そういうんいきなりやんなや…!」
「すいません…もう我慢出来ないですっ…!」
その言葉通り桜井は先程の比じゃない速度で腰を打ち付けてきた。
「っひ、んっ、ぅあ、あっあああっ…あか、あかん、桜井もう少しゆっく、っひぁああっ…!」
「先輩、っ先輩っ、…気持ち、良いですか…?痛くはー…、」
パサパサと音を立て頭を振る今吉を気づかう桜井の声は届かない。つまりそれ程行為に没頭しているのだろう。
そんな今吉の姿に微かに口端を上げ桜井は胸の飾りを口に含む。
「っん、あ、…っ桜井、そこ、あかっ…やっ、あっ、あぁあうっ、んんっ、っは、」
最初はこそばゆいだけだと嫌がっていたが、繋がりながらそこを弄ってやると嬉しそうに締め付ける事を最近知った桜井は愛おしげに愛撫する。
転がすように舌で嬲ればはしたない喘ぎと共に秘孔がきゅうきゅうと締め付けてきて持って行かれそうになる。
「…っ、先輩、そろそろー、」
イきますねという声は恐らく今吉には届いていない。なによりダメだと云われたところでやめてあげる事など出来はしないのだけれど。
「っんぁああ、…っはぁ、や、あっ、桜井っ、桜っ、ぁん、んぅう、っ、んっ…!」
「っ、先輩、せんぱっ…翔一、さんっ…!」
「…!!…っ、や、あっ、イくイくイく、や、あっ、さくら、ひっ、あ、んぁああっ…!」
びくびくと身体を震わせる今吉に思いきり腰を打ちつけて桜井も絶頂を迎える。
名前を呼んでやれば食いちぎられそうな程に締め付けられて、追い詰められるのはあっという間だった。
「っひ、ん、あっ…中、…めっちゃ出とる、桜井ん…っは、気持ちええ…、」
「っ、先輩っ…!!」
ひくひくと余韻に浸り艶めかしく微笑む姿に再び自身が硬くなるのを感じ慌てて抜こうとすれば肉付きの良い脚に絡みつかれて思わずいつものくせで謝罪が出る。
そんな桜井に溶けきった顔で今吉は囁いた。
「…なぁ良、もっと、愛してくれや、」
その瞬間、桜井は明日叱られる事を覚悟した。
「すいません先輩っ…今日は我慢せずにいかせて頂きますっ…!」
そう云いつつ再び口づけを交わせば嬉しそうに今吉は笑みを零した。
「ええよ、ワシん事、食べてまえ、」
甘美すぎる誘いに、桜井はまたその首筋に噛みついた。

(ああもう先輩、本当に、食べてしまいたい位愛おしいんですよ?)


title by ゆち



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