白銀の狂詩曲【短編】 | ナノ


1  




ニュクスの朝は遅い。
朝と言っても起きる時間帯は最早朝では無く、昼になる。日が高く昇り、多くの者が昼食を取る時間帯になって、漸くベッドから起き出す。
その日の気分にもよるが、起きてまず最初にシャワーを浴び、冷蔵庫に有る食材で適当に食事を作る。一人暮らしの生活は決して長いとは言えないが、料理の腕は悪く無い。取り立て拘りが有る訳では無いものの、何だかんだでしっかりとしたものを何時も作っていた。
食事を済ませると、家の中の片付けをし、着替えてから外に出る。目的は主に買い物で、生活用品や食料の調達が主だ。偶に同業者と会い、情報交換と言う名の雑談をする事も有る。割と自由な時間とも言えよう。
夕刻を過ぎ、行きつけであるバーが開店すると、その時間に合わせて足を運ぶ。カウンター席の端は完全に指定席だ。マスターに夕食となるメニューを注文し、取り留めのない会話をしながら近況報告を済ませる。そして、食事を終えた所で仕事の話を始めるのだ。日によっては、相棒のジェレマイアと会う事もある。そうすれば軽口を叩き合いつつ、共に出来る効率の良い仕事を探す。尤も、流血沙汰に余り耐性のジェレマイアと共にとなると、やれる仕事は大分限定されてしまうのだが。
仕事が上手く見付かれば、その儘店を出て現場へ向かう。終わる時間は内容にもよるが、長期に及ぶ場合は上手く時間を区切っていた。
そうして仕事を終え、バーに戻って来て、マスターに報告をする。この時点で大体日付が変わり、バーも閉店準備を始めている事が多い。小腹が空いていれば、最後に軽食を頼む事も有る。
自宅に戻るのは大体深夜で、帰宅すると真っ先に風呂に入る。汚れや汗、血を洗い流さないと、ベッドで眠る気になれないのだ。長い髪も必ず洗う。風呂上り、ドライヤーは面倒なのでかけず、何時もタオルで適当に拭き、自然乾燥にしている。
風呂から出て一息吐く頃には外が明るくなり始める。早い者ならば起床する時間帯に、ニュクスはベッドに潜り込み、眠る。昼夜逆転状態だが、体は完全にそれに慣れてしまっている為、仕事等で支障を来す事は無い。

そんなニュクスの一日。




prev / next

[ list top ]


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -