白銀の狂詩曲【短編】 | ナノ


 雑木林  




「ふぐっ、ぅ……ん――ッ!」


深夜の雑木林にくぐもった悲鳴が上がる。
太い木の幹に全裸で拘束されているニュクスは、最早何度目かも分からぬ絶頂を迎え、全身を激しく痙攣させた。


「おっ、コイツまたイったぜ!」
「あー……中やべーなおい。何人も咥えてる癖にぎゅうぎゅう締め付けて来やがる」
「犯されて悦んでるってか?ははっ、銀月様はとんだ変態野郎だな!」


頭上から降って来る下卑た笑い声を聞き、ニュクスは声を封じる為に咥内に押し込まれている布を強く噛み締めた。快楽の余韻に浸りながらも、その理性は未だ失われず、自らを犯す男達を如何して殺してやろうかとひたすら考えていた。
仕事の帰り、或る男に突然背後より襲われ、抵抗する間も無く拘束された。
その儘ニュクスはその場で男に一度犯され、雑木林まで連れて来られた。男に再び犯されるのかと思ったが、男はニュクスを無数に立つ木の一本に麻縄で縛り付けると、猿轡を噛ませ何処かへ去って行った。
それから暫くして、今居る男達がニュクスの前に現れたのだ。彼等の話を聞けば、此処に犯して欲しい「好き者」が居ると教えられたのだと。間違いなくあの男だ。己を此の場に拘束したのは、肉便器として男達の欲望の捌け口にさせる為だったのだ。


「んっ……ふ、ぐぅ……」
「へへ、まだ終わらないぜ。今度は俺の番だ。たっぷり中に出してやるからよ、全部受け止めな」


今し方ニュクスを犯した男が孔の中より性器を引き抜き、下がって行けば、今度は別の男がニュクスの前に立ち、肉棒を中に突き入れて来る。最早何人の精を受け止めたのか分からない。
手の自由さえ利けば、今此の場で全員射殺してやるのに。抵抗も出来ず、ただこうして犯され続ける苦行に、ニュクスは快楽に蕩けそうになりながらも抗っていた。早く己に飽き、何処かへ行かないか。或いは腕の拘束を解く手段が無いか。内壁を擦られ、最奥部を激しく突かれながら、ニュクスは考えた。しかし、考えた所で如何する事も出来ない。


「なぁ、もう直ぐ夜明けだが、どうする?」
「人が来ると面倒臭ぇな……どっかに移動するか」
「確か町の外れに廃屋が有っただろ。彼処なら誰も来ないぜ?きっと」
「そうするか。コイツのケツマンコがガバガバになるまで犯してやろうぜ」
「それまで俺達の性欲が持つかねえ」


嗚呼、何と下品で気持ち悪い会話だろう。あの男もそうだったが、どうして己を犯さんとする者達は皆揃ってこうなのだろう。元々男の身体で抱かれるのは好きでは無いが、彼等の様な品の無い者達に犯されるのは特に嫌だった。


「ん……ふ……、……」


腹が苦しい。精液を注がれ過ぎたせいだろうか。言葉にし難い圧迫感にニュクスは顔を顰めた。もう此れ以上彼等の精液を受け止める事は出来ない。身体は疲弊し、体力の限界はとうに超えている。目の前が少しぼやけて見えるのは、己の意識がまもなく沈まんとしているからだろう。


「――――、――」
「――――」


彼等が何か話している様だが、ニュクスの耳には届かない。
そうして現在ニュクスを犯している男の精液が体内に注ぎ込まれたのとほぼ同時に、彼の意識は彼方に飛んだ。


Ende


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