白銀の狂詩曲【短編】 | ナノ


3  




「これをね、今からエレミアちゃんのおちんぽに挿してあげるからねぇ」


室内の明かりに照らされ、棒の先端がぎらりと光る。
太さは5ミリ程だろうか。遠目からならば、バーでカクテルと一緒に添えて出すマドラーの様に見えなくもない。
だが、男の台詞を聞き、ジェレマイアは恐怖に息を飲んだ。何を言っているのか、冗談にしては性質が悪過ぎる。あんな棒が、どうやって己の性器に入ると言うのか。


「ひっ、ちょ……!?」


恐怖の余り、男から距離を取ろうとして、性器を握り込まれる。潰されるのでは無いかと思う程の圧迫感に、息が詰まった。逃げる事は許されない。抵抗する事も許されない。ジェレマイアに与えられている選択肢は、ただ耐える事だけだった。
男が片方の手でジェレマイアの性器を握り、動かない様先端を固定する。それからもう片方の手に持つ棒をジェレマイアの鈴口に宛がうと、少しずつ中へ棒を押し込み始めた。


「あ、ぐぅっ……!」
「最初は痛いかもしれないけどぉ、きっとすぐに気持ち良くなるよぉ」


本来ならば排泄器官である筈の部分に、細く長い異物が入り込み、内壁を刺激する。ぞりぞりと無機質な物体で擦られる感覚に、ジェレマイアは痺れる様な快楽を覚え、上体を仰け反らせ、鳴いた。例の薬の効果なのか、痛みは無く、異物感すら心地良いと感じてしまう。ただ、中に有った、外に出そうとしていた液体も押し戻され、如何とも言えない圧迫感に息苦しさを感じる。
男は時間を掛け、奥まで棒を挿入すると、一度手を止め、一息吐いてからそれを更にゆっくりとした動作で引き抜き始めた。先程とはまた異なる刺激にジェレマイアは全身を戦慄かせ、駆け抜けていく快楽に悶え、苦しんだ。気持ち良い。認めたく無いが、薬の所為だと言いたいが、この気持ち良さは、自慰等では決して味わえないものだ。


「ほら見て見て、エレミアちゃんのおちんぽ、ずぽずぽしてる」


わざとらしく音を立て、何度も抜き差しを繰り返し、男はジェレマイアの様子を眺め、楽しむ。望み通りの展開が楽しくて仕方が無いのだろう。脂肪だらけの醜い顔を更に歪め、その動きを少しずつ激しくして行った。


「やっ……!?あ、やだっ、やめて、くださ……っひぁ!あ、あっ……うっ……!」
「えぇー?嫌じゃないでしょおー?エレミアちゃん凄く嬉しそうじゃんー。もっとして欲しいって言いなよー」
「だっ……誰、がぁっ……!……っふぁ、あ……!」


快楽の所為で質量を持ち、硬くなった性器は、慾を吐き出したくて仕方が無い。けれど、その吐き出し口となる部分には異物が挿入されており、栓となって解放を妨げている。気持ち良いのに、達したいのに、快楽を与えている物体が、同時にそれを塞き止めている。もどかしさに、如何にかなってしまいそうだった。


「イきたい?ねえねえ、エレミアちゃん、イきたいんでしょ?」
「べ、別にっ……っひ、ぃ」
「うっそだぁ。エレミアちゃんのおちんぽ、もうギンギンになってるよぉ?」


嗚呼、言わないで欲しい。黙っていて欲しい。普段ならば気丈に振る舞い、侮蔑の眼差しを向ける所だが、今の状況では、そんな余裕は無い。強烈な快楽を得ながら解放されない切なさに、顔は紅潮し、両の目には涙が滲んでいた。男の言う通り、イきたくて仕方が無い。けれどそれを素直に認めるのは、己のプライドが許さない。ただそのプライドも、押し寄せる快楽の波によって崩れ落ちる寸前だった。
いっその事、恥を捨て、頼んでしまおうかと。そう思った刹那、男が奥まで押し込んだ棒を、今までに無い速さで一気に引き抜いた。


「あ、あぁあああ゛あああっ!?」


内壁を勢い良く擦られ、その後に出口を解放される。それにより、必死に耐えていた理性の糸はぷつりと切れ、快楽の先に有る絶頂を迎える事となった。絶叫と共に達したジェレマイアは、全身を激しく痙攣させ、口を魚の様にぱくぱくと開きながら後方に倒れ込む。普段は細まっている双眸は大きく見開かれ、中心にある瞳孔は収縮し、揺れていた。


「あっはぁ!エレミアちゃんイっちゃった?射精する前にイっちゃった?かっわいいねぇー!」


ジェレマイアの反応が予想以上だった事に、男は驚き半分、喜び半分と言った様子で声を掛けて来る。未だびくびくと痙攣を続けるジェレマイアの性器の先端からは、それまで塞き止められていた白濁が勢い無くどろりと溢れ出、ベッドのシーツの上に広がって行く。相当気持ちが良かったのだろう。欲の濃さを象徴するかの様に、その精液もまた、濃厚であった。


「良かったでしょ?ねえねえ、すっごく良かったでしょ?やっぱりエレミアちゃんは最高だなぁ。世界一可愛いよぉー」
「あ……ぁ、あ……っは」
「うんうん、声にならない位良かったんだねぇー。今夜はまだまだ時間が有るから、たくさんイかせてあげるねぇ?」
「ひ、は……?」


今、この男は何と言った。絶頂の余韻から徐々に現実へ思考が引き戻されて行く中で、ジェレマイアは男が発した言葉の意味が理解出来ず、困惑の表情を浮かべながら彼を見返す。
そして、ぼんやりとしていた頭の中がクリアになって行くにつれ、男の言葉を理解し、戦慄した。まさか、まさかとは思うが。この男は未だやるつもりなのか。一晩中、あの様な行為を続けるのか。


「エレミアちゃんが気持ち良くしてるのを見ると、ボクも気持ち良くなっちゃうんだぁー」


その答えは、男の恍惚とした笑みと、再び手にした棒が出していた。無理だ、絶対無理だ。こんなの一晩持つ訳が無い。勘弁してくれ、頭がどうにかなってしまう。
泣きそうなジェレマイアに対し、男は満面の笑みを浮かべた儘、射精して萎えているジェレマイアの性器を握った。


「それじゃ、続き始めるねぇー」
「や、やだ……やだっ……やめ――!」


そうして。
ジェレマイアは朝日を拝むまでに、数え切れない程の絶頂を男の尿道責めによって迎える事となった。




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