夏休みは学生としての本業をしっかりとはたし、有意義な夏休みにしてください。
などと戯れ言を言う校長の長い話が終わり、晴れて私も自由の身。夏休みなにしようか。高瀬は部活だろうし、バイトでもなんでもなにかやりとげてやろう。
と、意気込んだ矢先島崎先輩と遭遇した。トイレの前で。まさかの状況におどおどしてしまう私とは対象的にいつものように飄々とした様子の先輩。てかなんか先輩頬腫れてませんか。
「あ、の…」
「久しぶりだな」
「あ、はい、お久しぶりです…」
「こないだ悪かったな」
「え、はい?」
「ガトーショコラ」
「え」
「なんつーか、強く言い過ぎた」
「あ、そ、そんなの全然大丈夫ですよ!気にしないで下さい」
「そ?」
「あの…てゆーかその頬…」
「あー、奈々に叩かれた」
「え」
しれっと言った島崎先輩はなんでもないような顔をしている。え、なんで叩かれたの。
「さっきあいつに告らて、断ったら、なら私に気があるような態度とらないでよ!て」
「は、はあ…」
あの先輩見かけによらず怖いなー…。けど二人はよく一緒にいるっぽいから私もてっきり付き合ってんのかと思ってたけど……って、この展開はちょっとおいしくない?だって唯一のライバル(?)の奈々先輩がいなくなったわけだから、ここで私が告白して……いやいや、まだ私島崎先輩とあんま仲良くないし、これから交友を深めていけば……
「…なあ、」
「…え、あ、はい」
悶々と一人考えてると島崎先輩がふと口を開いた。てか頬大丈夫なのかな。私がなんか手当て的な事した方がいいのかな。
「夏休み、メールするな」
「え」
「じゃ、またな」
ポンポンっと頭を撫でられた。
いい、夏休みになりそうだ。