「なんか飲むか」
「いい」
「取りあえず座れよ」
久しぶりの榛名の家。相変わらず汚い部屋。さっきまでイライラしてたのにこの汚い部屋で少し落ち着きを取り戻す。
「あたし榛名が好きだよ」
「んなこと分かってんだよ」
いつから好きって言ってくれなくなったけ。
「っふ」
すぐに誤魔化す。すぐにキスする。キスしたら許してもらえると思ってるとこがムカつく。でも好き。矛盾してんな
「…ー」
「ふっ、ん、ふぁ、はるなぁ」
いつも榛名のペースで大事なことはいつも流される。でも榛名のキスは好き。もう榛名からしたらあたしは性欲処理の役目しかないのだろうか。
朝、起きたら隣に榛名はいなかった。もう、ダメかもしれない。電話は滅多に出ない、会っても話なんかまともに出来ない。悔しい。あたし達の3年はそんなもんだったんだと実感した。
机に書き置きがあった。
「電話する」って一言と鍵が置かれていただけだった。一先ず部屋を片付けてポストに鍵を入れあたしも仕事に向かった。
「おはようございます」
「お、おはようございます」
「あれ?」
「今日からここで働かせてもらう事になった高瀬です」
愛想がよさそうな子だなと思った。話すと実際にいい子だった。しかもあたしと同い年。しっかりしてる子だしね。どっかの誰かさんとは違うな。あれ?あたし、すぐ榛名と比べてる。