…ープルルル、プルルル

ガチャっ

「あ、榛名」

「お掛けになった電話は現在電波の…」

最近滅多に電話に出なくなった榛名。しかもテレビでしか見てない。会う暇すらないってことか。最後に会ったのは何時だっただろうか。
でも、明日会える。先日の高校時代の友達に榛名が出る野球の観戦チケットをもらった。榛名に会えると思うだけであたしはこんなに嬉しいけど榛名はきっとあたしなんかと会えなくても全然平気なんだろう。そんな事を考えながら直ぐに寝た。



球場には沢山人がいた。榛名を見に来た人なんてきっとこの中に沢山いるのだろう。
試合を見てたら呆気なく榛名が投げて呆気なく勝っていた。だけど榛名の投げる一球々が高校の時を思い出させた。
試合が終わって榛名を待った。一時間くらいした頃だろうかサングラスかけて、帽子をかぶった榛名らしき人が出てきたから駆け寄ろうとしたが出来なかった。だって、女の人と出てくるんだもの。なにも出来ない自分が悔しくて慌てて榛名に電話した。いつもはすぐでないのに榛名はすぐに出た。

「もしもし」

「…榛名、寂しかったよ」

「忙しくて電話出れなかったんだ」

前はすぐに謝ってた。けど今はすぐに言い訳ばっかする。

「会いたい」

「今、忙しい」

女と会ってるから?あたしなんか相手に出来ないの。3年付き合って遊びで済まされんの?

「榛名!」

「っんだよ。大声だすなよな、耳いてー、…名前?」

榛名と目があった。サングラスかけて目があったか分かんないけど榛名はこっちに気づいて足を止めた。

「おまっ、何してんだよ」

「榛名のバカ。もう、知らない」

それだけ言い捨てて逃げようとしたけど手を捕まれ半泣きの顔をばっちり見られた。

「逃げんなよ」

「忙しいんでしょ。もう何処でも行けばいいじゃない!」

「落ち着けって!」

「…ごめん」

「取りあえず俺んち来い」

そのまま手を引かれ歩くあたし。涙がとまらない。情けない。こんな事慣れたはずなのに









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