苗字野球が好きと言った時は最初は俺の事を言ってんのかと思った。
好きな女に好きと言われて勘違いしない男が一体どれ程いるだろうか。
だけど苗字が自分から自分について教えたのは初めてだった。いつもどこか見えない壁を作られていたけど昨日はなかった。

苗字の昨日の発言で点と点が少し繋がった。苗字は野球が好きで朝早く学校来て俺たちの朝練をあそこの席から見てて、いつも授業中はグラウンド見てて、それしか分からなかったけどすごく苗字の事が分かった気がした。


「…おはよう」

「はよ」

苗字は平然といつものように自分の席に座ってた。いつもと違う事は苗字から挨拶して来たことぐらいだ。

「苗字は何で野球好きなんだ?」

「…高瀬は何で好きなの」

「俺?俺は物心ついた頃から野球好きでやってたから、何でって言われてもな」

「…あたしは小学校からソフトやってて、中学で腕やっちゃって、出来なくなったけど高瀬と同じような理由で好きなんだと思う」

そう言っていつものように窓の外を見る苗字だけど口が少し笑ってる?






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