「苗字体育大会なに出んの?」
あれから高瀬はちょくちょく話しかけて来るようになった。でも満更でもないあたしがいる。
「リレー」
「マジ、俺も」
ニコニコしながら話しかけて来る高瀬が何を考えてるか分からないけど少し楽しい自分がいて悔しかった。
「高瀬なんか1組の奴が呼んでんぞー」
ドアの方を見ると可愛らしい子が立っていた。
彼女?告白?
よく考えてみたら高瀬は桐青のエースでかっこよくて誰もほっとかないだろう。あたしなんか相手にしてたら高瀬の株が下がる。
「ちょっと、わりぃ行ってくるわ」
なんで謝ったのだろう。彼は優しい。優しすぎる。こんな中途半端な気持ちにさせるくらいなら最初からほっといてほしかったのに。
ドアの所で頬赤らめながら何か話している彼女が女ながらかわいいと思ってしまった。
「ごめん、苗字と話してた途中なのに」
別に話してくれとも言ってない。なのに謝る彼。あたしは彼の一つ一つの行動が不思議でたまらない。
「…別に」
窓の外を見るあたし。ホント可愛くない女。