「あんた、いつマネジ辞めんの」
「…辞めません」
「ちょー、うざいんですけど」
野球部の連中はモテる。だから周りからしたらマネージャーは目障りで仕方ないだろう。
「痛い目みとく?」
そう言って振り上げられた彼女の右手。綺麗にあたしの頬に入った。痛いし。ヒリヒリする。
「あんたなんか居なくなっちゃえばいいのに」
そう言って、甲高い笑い声で屋上を出てった。チャイムなってるし。もう、授業サボろ。
「あれ名前サボり?」
「…慎吾さん」
「悪い子わ駄目だぞー」
「最初から全部見てて仲裁入らない慎吾さんは性格悪いですね」
「あぁ、バレてた」
「えぇ」
あたしの頬をさすり、大丈夫。と根拠のないことを言ってフェンスにもたれかかりあたしの隣に座る。
「慎吾さんは優しいんですか?意地悪なんですか?」
「そりゃー、慎吾さんは優しいぞ」
「嘘だー」
「少なからず準太に片思いする名前ちゃんを慰めてあげることはできますよー」
「ハハッ、冗談はよしこさん」
「…え、マジだったんだけど」
「……え」
何これ、なんか恥ずかしくなってきたんですけど。だんだん顔が赤くなっていってる気がして、あたしは慎吾さんから視線を逸らし慌てて「用がある」と嘘をついて屋上をでた。
頬が赤いのは叩かれたから。