「佐藤先輩ちょっとそれとって下さい」

「はい、高瀬」

佐藤先輩、野球部のマネージャー。よく動くしかっこよくてすごく可愛い。すごく憧れる先輩できっと高瀬の好きな人。

「名前教室戻んねぇの」

「えっ、あ、これ書いたら戻る」

「じゃあ、待つわ」

「先、教室戻ってていいよ」

「待つ」

別に待たなくてもいいのに思わせぶりなことしないでほしいよ本当。これと言った会話はなくあたしの前に座る高瀬。

「…もうすぐ、夏だね」

「あぁ」

「勝ってよ」

「甲子園連れてってやる」

覚えてたんだ。てっきり忘れてると思ってた。小学校の頃の約束なのに。小学校の頃ソフトをやってた時腕をやっちゃってソフトやれなくなって、投げたいのになげれなくて悔しくて、悔しくて。いっぱい泣いてた時に高瀬に「俺が甲子園連れてってやる」って言われたからあたしは今ここでマネージャーやれてる。

「あたしも頑張る」

「あぁ」










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