深夜のコンビニ。久しぶりに外に出たと思う。スウェットに健康サンダルを引きずって店内を歩く。特にコンビニに用事はないけどなんとなく来たかった。ちょうど小腹もすいたし。ウィダーでも買おうかな、それかカロリーメイト……あ、あとアレだ。
「おーい、中学生がタバコ買っちゃだめだろ」
「え」
レジ横のタバコに手を伸ばしたら誰かにその手を掴まれた。声のした方を見るとそこには慎吾さんが立っていた。え、なんでこいついんのこんな時間に。
「こんなん吸ってんのかよ」
「いや。てかなんでここにいんの」
「女とヤってちょっと疲れたからなんか飲み物買おうと思って」
「……」
「嘘に決まってんだろ。今も俺はおまえ一筋」
「……」
フツーにさらっと言わないでほしい。胸がドキドキしてどうしようもない。
「おまえはここでなにしてるんですか」
「……どうでもいいじゃないですか」
「たしかになー」
コンビニ出たタイミングが一緒だったということもあって一緒に帰ることになった。けど、慎吾さんがちょっと話あるとか言ったので途中公園に寄ることになる。話ってなに。あんなことがあった後だから話しづらいんですけど。私はブランコに座ってウィダーを開けた。慎吾さんはその隣に座った。
「……で、話ってなんですか」
「あー…いっぱいありすぎてなにから話せばいいかわかんねえ」
「……」
「とりあえずあれだ、おまえまじで野球部やめるとかなんなんだよ」
「慎吾さんのせいとか思ってます?」
「多少な」
「全部あたしのせいですよ。だから慎吾さんは夏大に向けて頑張ってください。」
マネージャーぽいこと言ってみて自分馬鹿だなーなんて思いながら慎吾さんを見る。
「俺がさ、甲子園連れて行きたかったなー」
「……」
「俺さ、いつでも待ってから戻って来いよな」
ニコッと笑った慎吾さんを見て初めて部活を辞めたことを後悔した。