女子のやけに高い声に吐き気がした。世界が歪んで見えた。頭がクラクラする。夏バテ?まさか、あたしは大丈夫。ちゃんと、意識もある。ちょっと、高い声が頭に響いただけ


「名前大丈夫か?」

「…」

「なぁ?」

「ほっといて…」

「すげー、顔してなに行ってんの?ほら保健室行くぞ」


あたしの顔を覗き込み不安そうな顔をしてあたしの手をひく。あたしに優しくしないで。泣きたくなるから。高瀬は自分の彼女を精一杯大事にしたげて。あたしには慎吾さんがいるから。
出るに出ない言葉たち。


「先生いねーけどベットで寝てれば大丈夫だろ」

「ごめん。ありがとう、高瀬は教室帰って」


「…」


えっ、なんで?見たいな顔をして何も喋らない高瀬。
その沈黙を破ったのは高瀬でもあたしでもなかった。


「高瀬!」

「…佐藤先輩」

「苗字さんが倒れたって聞いて」

「先輩あたし、倒れてません」


心配したのに。とか先輩は高瀬に言っていたけど実際高瀬とあたしの関係を気にしてるだけなんだろう先輩は。


「高瀬授業遅れるよ」

「でも…」

「早く行こ」

そう言って繋がれた手をあたしはただただ見るしかなかった。一人になった保健室はやけに白くて暗かった。


「高瀬、私不安だよ」


ふと、保健室の外から出て行ったはずの高瀬と佐藤先輩の声。聞く気はないけど耳に入る。


「私、ときどき高瀬は苗字さんが好きなんじゃないかって思っちゃう」

「俺が好きなのは佐藤先輩です」



響く声。揺れる脳内。

胃がいたい。











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