「名前好き」
「慎吾さん暑い」
慎吾さんと付き合ってから慎吾さんは一緒にいるときはずっと引っ付いてる。慎吾さんはあたしの事をホントに大事にしてくれていると思う。未だにキスの一つもしてこない。多分あたしが高瀬のこと引きずってること慎吾さんは気づいてる。
「あたし教室戻るよ」
「えー、サボろうぜ」
「テスト近いし駄目だよ」
「分かった。昼迎えに行くわ」
そう言って頭をポンポンとして教室に戻った慎吾さんを見送り自分の教室に入る。高瀬と目があった。一瞬ドキッとした。
「なー」
席に座ると隣の席の高瀬が声をかけてきた。話したの何日ぶりだろう。久しぶりに聞いた高瀬の声は数年間のあたしの気持ちが引き戻される。
「…な、に」
「なんか最近俺の事避けてねぇ?」
「避けてない、よ」
「てか、なんで慎吾さんと付き合ってること言ってくれないわけ」
「…」
「なぁ」
「別に高瀬に報告しなくてもいいでしょ!」
大声を出した。八つ当たりした。教室は変な空気になったから、慌ててカバンをもって教室をでた。あたしの名前を呼ぶ高瀬の声が聞こえたけど聞こえないフリをした。なんだか泣きそうだったから。