「俺と付き合おう」
しばらくして、泣き止んだあたしにいきなりの一言をぶつける慎吾さん。いつになく真剣な顔で、あぁ、この人本気なんだって思った。
「…ごめんなさい」
あたしは高瀬が好きだし、叶わない恋だとしてもこの気持ちは大事にしたい。
慎吾さんを利用して忘れたり、都合のいいときだけ慎吾さんと居たりできない。
「俺、待ってるから、今は振んないで」
そう言ってあたしの頭をポンポンとやり朝練に戻って言ってしまった。
慎吾さんには迷惑かけてばっかりだ。朝練まで遅刻させてしまって、あたしは本当弱い人間だ。
あたしは結局、部活に行かないまま高瀬のお弁当だけ置いて帰った。というより、逃げた。
暫くしてから高瀬から正式に佐藤先輩と付き合うことになったというメールがきた。
もう、一生家にいったり、馬鹿みたいにはしゃぎながら登校したりすることはなくなったんだ。そう思うとまた、涙がでた。