「いらっしゃいま、」

「ぷっ」

バイトを始めて早数ヶ月。この女俺を茶化しに来やがった。

「何しに来たんだよ」

「ドーナツ食べに来た。あ、店内で食べます」

「帰って食え」

「やだ。泉のがんばる姿がみーたーいー」

「あー、もう。分かったから大声だすな」

「ドーナツ代は泉の給料から引いといて、じゃあ」

ドーナツの乗ったトレイを持って平然と席に座る名前。なんなんだよ。

3時頃になるとお客さんも増えてきて閉店時間に店内を見渡すといつの間にか名前はいなくなっていた。

「お疲れさまでした。…あ」

「ぷっ。お疲れさまでしただって」

「笑うな」

「帰ろ」

「待ってたのかよ」

「今日あたしは泉を買いに来たのに一行に買えないからさ、待ってた」

「可愛くねぇ女」

だけど俺がそう言ってくしゃっと笑う名前は可愛かった。




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